ロシア語
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ロシア語の文法


名詞

名詞は、男性、中性、女性の3つの性に分かれている。ロシア語の名詞は、例外はあるものの総じて、男性名詞(単数)は子音、-й, ьで、女性名詞は-а, -я, -ь で、中性名詞は-о, -е, -мяで終わる。そのため、名詞の性の判別が比較的容易である。

複数形の場合、男性及び女性名詞は語尾の硬・軟で-ыと-иで終わり、中性名詞は-аと-яで終わる。歴史的には、他にハサミやズボンなど、二つ一組のものに用いられる組数(双数)があったが、現在は数詞との結合の中にその痕跡を残すのみである。

名詞の格は主格生格与格対格造格前置格の6種類の他、一部に呼格(例:Боже! 神よ!)、処格、物主格?(притяжательный падеж)、分離格?(разделительный падеж)が残る。

数詞とそれに関連する名詞は特殊な変化をみせる。1 は単数主格だが、2-4 は単数生格、5以上が複数生格をとる。2-4 の単数生格は古い双数形の名残である。


人称代名詞

単数複数
一人称я -私は(I, ich)мы -私達は(we, wir)
二人称ты -君は(you, du)
вы -貴方は(敬称)вы -貴方達は(you, Sie)
三人称он -彼は(he, er)
она -彼女は(she, sie)
оно -それは(it, es)они -彼らは
彼女らは
それらは(they, sie)

表中は全て主格を用いている。敬称としての「вы」は、文中でも「Вы」のように大文字で書き始めることがある。


動詞

動詞は1回限りの動作や、その開始と終了がはっきりと意識できる一まとまりの動作など(日本語で言えば「食べてしまう」「読み切る」のような)を表す完了体と、進行・継続・反復する動作、動作そのものなど(「食べている」「読む」のような)を表す不完了体(未完了体とも)の2つの体(相 (言語学)参照)に分類され、多くの動詞で対になっている。一部には対になる体を持たないものや、完了体でもあり不完了体でもあるものなど、変則的な動詞も存在しているが、いずれにも属さない動詞は存在しない

時制は過去・現在・未来の3つのみと単純である。基本的に全ての動詞は過去と現在しか持たない(唯一の例外が、be動詞に当たる быть で、過去形・現在形・未来形の3形態を持つ)。現在形は主語の人称・数により、過去形は性・数によって変化する。未来形は完了体と不完了体で表現の方法が異なり、完了体の場合は、その現在形がそのまま意味上の未来を表すのに対し、不完了体では助動詞 быть の未来形との結合で表される。

コピュラ動詞(…である)быть の現在形は基本的には明示されない(例:Я чайка.「私はかもめ」)。かつては、主語の人称と数に一致した быть が用いられていたが、そのような機能は現在の быть からはほぼ完全に失われており、現在形が用いられる局面は、所有を表す場合に限定されると言っても過言ではない。その際には、所有される側が文法的な主語に当たるため быть の三人称単数形 есть (例:У меня есть сын.「私には息子がいる(私の許には息子がいる)」)を用いることになる。所有される側が複数の場合、以前はбытьの三人称複数形に当たる суть を使用していたが、現在では数に関係なく есть を使う傾向にあるようである。

さらに言うと、この есть は存在の有無のみを問題としているため、存在することが前提となっている場合は不要になる(例:У меня маленький сын.「私には小さな息子がいる」→息子の有無についてではなく、それがどのような息子なのかが問題となっている)。

なお、否定の表現(…がない…がいない)は нет を使い、存在を否定する名詞を生格にかえる(例:У меня нет сына.「私に息子はいない」)。ちなみに、この нет は、не есть の音便形であり、"Да(はい)"、"Нет(いいえ)" の "Нет" とは、別物である。

また動詞が変化したものとして形動詞(西欧語の分詞のように形容詞の働きをする)や副動詞(副詞の働き)がある。ся動詞と呼ばれる一群の動詞(語尾に再帰代名詞сяがつく)はフランス語などの再帰動詞と同様に用いられ、また相互の動作や受動表現にも用いられる。


形容詞

形容詞は名詞と同様に性・数・格によって変化し、限定的用法(名詞につく場合)はそれらが一致する。叙述的用法では語尾が短い「短語尾形」も用いられる。


ソ連崩壊後のロシア語の現状

1991年末にソ連が崩壊し、ソ連を構成していた各共和国はそれぞれ独立し、それぞれの民族語が公用語へと昇格したが、その後の言語状況に関しては様々である。

バルト三国と呼ばれるエストニアラトビアリトアニアでは、ソ連からの独立以降急速に各民族語(エストニア語ラトビア語リトアニア語)が使用される機会が増えている。もちろんソ連崩壊後15年しか経過しておらず、またロシア系住民が多い地域などではロシア語が今でも使われるが、ソ連時代と比べるとロシア語はそれほど使われなくなっていると言える。特にこの3カ国が2004年EUに加盟してからは、英語ドイツ語がより広く学ばれるようになっている。ただし、ソ連時代後期にはロシア語人口がラトビア語人口を逆転するのではないかと言われたラトビアでは、独立回復後に制定した国籍法で国籍取得要件にラトビア語の習得を義務付けたため、多くのロシア系住民をロシアへ移住させる事に成功したが、国籍を与えられない残留ロシア人の権利が阻害されているとするロシア政府からの抗議を受け、さらに欧州委員会からもこの言語規定が市民の平等を定める欧州憲法に違反しているという指摘を受けた。その結果、ラトビア政府によるロシア語排除策は沈静化している。

また、ロシア影響圏からの離脱を模索するウクライナモルドバでも、ロシア語ではなくウクライナ語モルドバ語がより広範に使われているといえる。但し、ウクライナで長年ロシア語が強要されてきたこともあり、またウクライナ語とロシア語両言語の混交なども起こっており、完全なロシア語排除は難しいとされている。西部を中心に専らウクライナ語のみを使用している地域もあるが、ウクライナ語とロシア語両方が使われている地域もあり、東部やクリミア半島ではロシア語が優勢ともされるなど地域差も大きく、今後もロシア語は使われ続けるといわれている。さらに、将来的にはロシア語の公用語化もありえない話ではないとされる。

それ以外の地域に関しては、今でもロシア語は幅広く使われ続けていると言ってかまわないだろう。ベラルーシカザフスタントルクメニスタンなどでは非ロシア人でもロシア語しか喋れない人も多く、また多民族が入り混じって生活する中央アジア諸国ではロシア語が民族を超えた共通語として使われている。なお、ロシアとの統合に積極的なルカシェンコ大統領の独裁体制が続くベラルーシでは、隣国ウクライナとは逆にロシア語が奨励されており、ベラルーシ語に関しては弾圧的政策がとられている。このことから、元々普及の基盤が弱かったベラルーシ語の消滅が危惧されている。

ポーランドブルガリアなど旧共産圏諸国では、共産主義体制ではロシア語が広く学習されていたが、民主化後は英語やドイツ語(歴史的にはチェコハンガリーなど、オーストリア帝国の支配下にあった国も少なくない)など西欧の言語に押されて、ロシア語学習は下火になった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki