大気中に伝播するレーザー光は、気体分子による吸収や散乱により減衰される。気体分子による吸収の少ない波長は可視〜赤外領域の一部に存在し、大気の窓と呼ばれる。一方、気体分子による散乱は波長が長い光ほど少なくてすむ。このため、大気中で長距離を伝送する用途には、大気の窓の中に発振波長をもつ赤外線レーザーが用いられる。たとえば炭酸ガスレーザーは、大気中の伝送させる用途によく用いられるレーザーのひとつである。
X線の高出力レーザーを空気中に照射すると、気体分子をプラズマ化させ、プラズマから放射される光を見ることができる。このとき、レーザーのエネルギーは、空気をプラズマ化させることに使われて激しく減衰してしまい、長距離を伝搬させることは難しい。
レーザーは、多くの分野で利用されている。
医療分野
歯科用レーザー
レーシック(眼科)
ホクロ・メラニン斑の除去(皮膚科)
レーザーメス
科学分野
測量計(光波測距儀)、粒径分析、非破壊検査
レーザー走査顕微鏡
レーザー送電
レーザー分光
レーザー核融合
レーザー冷却
宇宙船の推進(レーザー推進)
情報・家電分野
指示棒の代わりとしてのレーザーポインター
CD・DVD等(MO・MD)光学ドライブやレコードの読み取り(或いは書き込み)
光ファイバーを用いた通信用光源
ページプリンタの感光体への書き込み
バーコードスキャナ
レーザーマウス
ソニー製デジタルカメラのサイバーショットの一部機種(F828やV1など)に装備されているAF補助光システムである、「ホログラフィックAF」
工業分野
レーザー加工機(切断、穴あけ、彫刻 など)
レーザー溶接
レーザーマーキング
はんだ付け、ワイヤーストリッピング
軍事
銃の照準器(レーザーサイト及び一部のドットサイト)
レーザー誘導(誘導爆弾)
目潰し用レーザー兵器(規制が議論されている兵器)
対空レーザー兵器(THEL)
弾道ミサイル迎撃用空中発射レーザー(AL-1A, A-60)
娯楽
レーザーライトショー
ホログラフィー
建築
避雷装置(レーザーで大気を電離して避雷針にする)
レーザーは出力の低いものでも、直視すると失明の危険があり注意が必要である。国際機関である国際電気標準会議(International Electro-technical Commission、略称IEC)の60825-1「レーザー機器及びその使用者のための安全指針」により、レーザー機器の出力、レーザー光線の波長等による、クラス分けがなされており、クラス毎に労働衛生安全管理体制の整備が必要となる。
国内における安全基準
JIS(日本工業規格)
JIS C 6801 「レーザー安全用語」
JIS C 6802 「レーザー製品の安全基準」
アメリカにおける安全基準
ANSI(米国規格協会)
ANSI Z 136.1 「レーザーに関する安全な使用」
FDA(米国食品医薬品局)
FDA 21CFR PART1040_10and1040.11 「保護と安全のための放射線規制法」
上記JIS C 6802の平成17年改訂を元にしたクラス分け。
クラス1
合理的に予見可能な運転状況下で安全であるレーザー。どのような光学系(レンズや望遠鏡)で集光しても、眼に対して安全なレベルであり、クラス1であることを示すラベルを貼る以外は特に対策は要求されていない。
クラス2
可視光のみに規定され、眼の保護は「まばたき」などの嫌悪反応により行われることによりクラス1なみの安全が確保されるレーザー。
クラス1M
合理的に予見可能な運転状況下で安全である302.5 - 4000nmの波長範囲の光を放出するレーザー。光学系で覗かない限りは安全なレベルである。このレベルの光を屋外に放射することは、望遠鏡等を覗いている人がいないとは言えないので危険と考えるべきである。つまり屋内などの使用条件が限定された場所でのみ安全なレーザーとみなすべきである。
クラス2M
可視光のみに規定され、眼の保護は「まばたき」などの嫌悪反応により行われることにより安全が確保されるレーザー。光学系で覗かない限りは安全なレベルである。
クラス3R
直接のビーム内観察は潜在的に危険であるが、その危険性はクラス3Bレーザーに対するものよりも低いレーザー。製造者や使用者に対する規制対策がクラス3Bレーザーに比し緩和されている。クラス1あるいはクラス2のAELの5倍以内である。鍵やインタロックを取り付ける必要がない点で、その上のクラスとは異なっている。
クラス3B
直接見ることは危険なレーザー。直視をしなければ安全なレベル。鍵やインタロックを取り付ける必要がある。使用中の警報表示等が必要。
クラス4
散乱された光を見ても危険なレーザー。皮膚に当たると火傷を生じたり物に当たると火災を生じる恐れのあるものを含む。出射したレーザービームは必ずブロックする等の対策が必要。当然のことながら鍵やインタロックを取り付ける必要がある。使用中の警報表示等が必要。