レアメタルの産出地は、中華人民共和国・アフリカ諸国・ロシア・南北アメリカ諸国に偏在している。
レアメタルの産地に関する特徴として、ほとんどのレアメタルが産出量上位3カ国で50%〜90%の埋蔵量を占めている。例えば希土類元素(レア・アース)やタングステンは中国だけで90%以上の埋蔵量があり、バナジウムは南アフリカ、中国、ロシアの三カ国で98%を占める。これらの国の政策、経済情勢、政情不安などによって、将来さらに入手が困難になることが予想されており、安定供給やリサイクル技術の確保が求められている。
国家備蓄
アメリカ合衆国やスイスでは、第二次世界大戦直前より国家の非常事態に備えてレアメタルの国家備蓄を行ってきた。戦後になると、アフリカのレアメタル産出国の政情安定に対応するため、経済安全保障の立場から備蓄を進める国が増えた。
日本では、1983年改正の「金属鉱業事業団法」によって経済安全保障の理由から供給停止等の障害に備えて平常時の消費量を基準にして、国家備蓄の42日分と民間備蓄の18日分の合計60日分の国内備蓄が石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって行われている。品目対象はニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムの7元素。供給の障害が生じた場合は緊急放出を行い、市場価格が高騰した場合も国家備蓄分を売却することで価格の安定化を図るとしている。バナジウムについては実際に、1998年の市場価格高騰時に国内市場への放出が行われた。現在の7種に加えて、インジウム、リチウム、多種のレア・アースを新たに追加するか検討されている[2]。
レアメタルは主産物としてのベースメタル鉱石中に副産物として得られるものが多く、以下に主要な主産物と副産物の関係を示す。
レアメタルの主要な主産物と副産物主産物レアメタル
銅コバルト Co
鉛アンチモン Sb
アルミニウムガリウム Ga
亜鉛ゲルマニウム Ge
亜鉛インジウム In
亜鉛、銅タリウム Tl
鉛ビスマス Bi
銅セレン Se、テルル Te
リチウムルビジウム Rb
モリブデンレニウム Re
主産物である鉱石の採掘を停止すると副産物の産生も行なわれなくなる。日本のケースでは、2006年2月に豊羽鉱山の採掘・操業が停止されたため、世界第1位の産出量であったインジウムの供給源を突然失った[2]。
日本でも黒鉱ベルト(グリーン・タフ)と呼ばれる、鉛、亜鉛、バリウム、アンチモン、ビスマスを豊富に含む鉱床が存在するが、硫化鉱と諸金属からの分離に手間がかかるために、従来はコスト的に引き合わなかったため採掘は行なわれていなかった。これも、21世紀から始まったレアメタルの価格高騰が続けば、今後の開発も現実味を帯びてくる[2]。
日本の排他的経済水域内にはレアメタルの含有量の高いマンガンノジュールやコバルトクラストや熱水鉱床があり、開発が期待される。
世界の非鉄メジャーと呼ばれる企業群の中に日本企業の名前はなく(下の非鉄メジャー一覧を参照)、鉄鋼業界における日本の重要性とは全く異なる状況にある。日本の商社は日本企業向けのレアメタルの輸入を行なっているが、鉱山開発から精製、販売までの非鉄金属業界の中で自ら進んで戦略的に動く意思と能力は持っていない。
こういった中で、中国やロシアが「資源ナショナリズム」と呼ばれる自国資源の囲い込みを始めてているため、日本の国内産業に不足するレアメタルを輸入するには資源国の示す価格条件を受け入れるしか選択肢がない状況である[1]。
日本の経済産業省では、2007年より「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発足させた。インジウム、ジスプロシウム、タングステンの3つのレアメタルの代替材料を産官共同で開発する計画である。文部科学省も同じく2007年より「元素戦略プロジェクト」を行なっている。代替品開発と希少金属元素の効率的な使用方法開発を目指している[2]。
企業名国種類売上高
(2006年,百万ドル)
アングロ・アメリカン社
(Anglo American PLC)英、南ア総合資源18,825
リオチント
(Rio Tinto)英、オーストラリア総合資源12,111
BHPビリトン
(BHP Billiton)英、オーストラリア総合資源20,927
エクストラータ
(XSTRATA plc.)(グレンコア)スイス多種金属5,178
CVRD
(Companhia Vale do Rio Doce)ブラジル多種金属7,803
WMC
(WMC Resources Ltd)オーストラリア多種金属不明
コデルコ
(CODELCO, Corporacion Nacional del Cobre de Chile)チリ銅専門8,021