レアメタル
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価格と需給バランス

多くのベースメタルや貴金属は、世界の主要な商品取引所、たとえばロンドン金属取引所(LME)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、ニューヨーク商品取引所(COMEX)などで日々売買され市場価格の透明性が確保されている。一方、ほとんどのレアメタルは実需流通規模が小さく公正な市場価格の形成維持が困難なため、商品取引所に上場していない。代わりに、経済紙や金属専門雑誌、Webニュースでの流通価格情報が取引の指標として用いられており、取引の透明性や即時性、流動性に乏しい。

一般にレアメタルが希少な理由は、
地殻中の存在量が比較的少なく、採掘と精錬のコストが高い

単体として取り出すことが技術的に困難

金属の特性から製錬のコストが高い

といった点があげられている。

この他の理由として、過去の長期に亘って金属の取引価格が低く抑制されてきたことが挙げられる。仮にレアメタルがプラチナ並みに高騰を続けた場合、様々な鉱石に僅かに含まれるレアメタルを抽出製錬することで採算が取れるため採掘量は拡大していたと思われる。また、製錬の技術開発に多額の投資がなされていれば、より多くの量が抽出できている可能性がある。

実はレアメタルは、レア・アースを除けば地殻中の存在量は、鉄や銅の例外を除くベースメタル(コモンメタル)の存在量よりむしろ多い。レアアースが希少であるのは、採鉱される鉱石に含まれる割合が非常に少ないために、精錬による濃縮に大きな手間がかかるためである。金、銀、鉛、錫のようなベースメタル(コモンメタル)では特定の鉱石中に高い割合で目的の金属元素が含まれているので、昔から簡単な精錬方法で利用されてきたが、レアメタルはクロム、マンガン、ニッケルのように鉱石として採掘されるものは少数派で、ほとんどが他の金属鉱石中に微量が構成金属を置換して存在している。

レアメタルは1?3の理由のほか、用途が限られているため特定の産業でしか用いられなかったり、他の金属に代替できたり、価格高騰時には国家レベルで抑制策が打たれたり、などといった様々な制約から価格の高騰が抑制され、取引量が拡大しない点で希少性を保ってきた。

こうした状況の中で、レアメタルと呼ばれる各種元素で絶対的な枯渇が起きるという情報は無いがBRICsの経済発展と特殊な電子機器の部品開発に伴う急激な需要の増加に対して供給量が少ないために急激な価格の高騰が起こっており、2002年から2007年の5年間でニッケルの価格が8倍になった他、モリブデンレアアースなど多くの物質で価格が数倍に上がっている。

一方でレアメタルは用途が狭いために、代替技術が開発されると需要が急減するため市場価格が不安定である特性を持つことが、こういった特殊な地下資源産業への投資行動を躊躇させている。1979年の「ミネラル・ショック」時には、日本でもコバルトやモリブデンを触媒として消費していたメーカーは直ちにリサイクル技術を確立することで消費量を削減した[1]

レアメタルはほとんどの製造業で不可欠な素材である。半導体産業ではタングステンモリブデンニッケル等が必須の素材であるし、自動車産業では白金パラジウム等がなければ排ガス規制をクリアできる自動車を製造できないと言われている。ただし白金を使用しない燃料電池が開発されたことから、今後白金の需要は減退するという見方もある。捨てられた携帯電話や家電製品など廃棄物からの抽出によるリサイクルも行われており、新たな資源供給源として「都市鉱山」と呼ばれている[2]


産地の偏在性

レアメタルの産出地は、中華人民共和国アフリカ諸国・ロシア南北アメリカ諸国に偏在している。

レアメタルの産地に関する特徴として、ほとんどのレアメタルが産出量上位3カ国で50%?90%の埋蔵量を占めている。例えば希土類元素(レア・アース)タングステンは中国だけで90%以上の埋蔵量があり、バナジウム南アフリカ、中国、ロシアの三カ国で98%を占める。これらの国の政策、経済情勢、政情不安などによって、将来さらに入手が困難になることが予想されており、安定供給やリサイクル技術の確保が求められている。


国家備蓄

アメリカ合衆国スイスでは、第二次世界大戦直前より国家の非常事態に備えてレアメタルの国家備蓄を行ってきた。戦後になると、アフリカのレアメタル産出国の政情安定に対応するため、経済安全保障の立場から備蓄を進める国が増えた。

日本では、1983年改正の「金属鉱業事業団法」によって経済安全保障の理由から供給停止等の障害に備えて平常時の消費量を基準にして、国家備蓄の42日分と民間備蓄の18日分の合計60日分の国内備蓄が石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって行われている。品目対象はニッケルクロムタングステンモリブデンコバルトマンガンバナジウムの7元素。供給の障害が生じた場合は緊急放出を行い、市場価格が高騰した場合も国家備蓄分を売却することで価格の安定化を図るとしている。バナジウムについては実際に、1998年の市場価格高騰時に国内市場への放出が行われた。現在の7種に加えて、インジウム、リチウム、多種のレア・アースを新たに追加するか検討されている[2]


副産物レアメタル

レアメタルは主産物としてのベースメタル鉱石中に副産物として得られるものが多く、以下に主要な主産物と副産物の関係を示す。

レアメタルの主要な主産物と副産物主産物レアメタル
銅コバルト Co
鉛アンチモン Sb
アルミニウムガリウム Ga
亜鉛ゲルマニウム Ge
亜鉛インジウム In
亜鉛、銅タリウム Tl
鉛ビスマス Bi
銅セレン Se、テルル Te
リチウムルビジウム Rb
モリブデンレニウム Re

主産物である鉱石の採掘を停止すると副産物の産生も行なわれなくなる。日本のケースでは、2006年2月に豊羽鉱山の採掘・操業が停止されたため、世界第1位の産出量であったインジウムの供給源を突然失った[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki