アルカリ土類金属の一つ(現在は、狭義の意味ではアルカリ土類金属に含めない)。 比重は1.74、融点は650°C、沸点は1107°C(沸点は1090°C等異なる実験値あり)。主に海水中に溶けている塩化マグネシウムを取り出し、それを溶融塩電解することによって得られる。
純粋なマグネシウムは酸化され易い。非常に軽い軽合金の材料として重要である。 また、還元作用がある。 燃焼熱は602kJ/mol
水の還元
マグネシウムは植物の光合成色素であるクロロフィルに含まれて、光を受け止める役割を担っている。このためマグネシウムが欠乏すると、植物は生育が減退し、収穫量の減量につながる。これは砂地で生育する植物に特に現れる。カリウムが豊富に含まれる土壌でも、植物へのマグネシウムの供給が行われにくくなることもわかっている。このため肥料として、マグネシウム化合物を含んだものが使用されることがある。
人体にとってもリボソームの構造維持やたんぱく質の合成、その他エネルギー代謝に関する生体機能に必須な元素であるためマグネシウムの欠乏は虚血性心疾患などの原因のひとつと考えられている。生体内でマグネシウムは主に骨の表面近くにマグネシウムイオンとして保存され、代謝が不足した場合にはカルシウムイオンと置き換わり、マグネシウムが体内に補充される。マグネシウムの生体内での栄養素や薬理的な働きについては広範にわたって研究が行われているが、いまだその重要な面に関しては不明な点が多い。最近では、ミネラル成分のひとつとしてサプリメントや清涼飲料水などに添加されることが多くなってきている。
マグネシウムは動植物に対して毒性の強い元素でないため、植物肥料として過剰使用を特に警戒する必要はないが、動物が直接食物から摂取する場合には、他の無機物(リンやカルシウム)とのバランスを適切にしなければ、尿路結石などの原因になりうることがわかっている。これを受けて、猫用の飼料は、組成中のマグネシウムを減らすように改良されるようになった。
マグネシウムを過剰に摂取すると、下痢を起こす。これを逆手に取り、クエン酸マグネシウムなどは大腸検査のときの下剤として使われる。また、便秘の不快症状を緩和する目的の下剤として酸化マグネシウム(通称カマ)が投与される場合がある。弱いアルカリである酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムは、胃酸中和のために胃腸薬に配合される。食品では、豆腐や天然塩などに含まれるにがりからマグネシウムが微量に摂取される。 過剰摂取により高マグネシウム血症を引き起こすため注意する必要がある。なお、近年のダイエットブームにより、にがりの過剰摂取で死亡した事例もあるので、安易な過剰摂取は厳に慎むべきである。
異方性マグネシウムの異方性
0001:滑り面 0012:双晶面
マグネシウムの結晶構造は室温では2つの面でしか滑りを起こさないため、純マグネシウムや合金を加熱せずに切削や圧延などの加工をすると割れが発生しやすい。加工には加熱が必須となるが燃焼しないよう注意を払う必要がある。
金属マグネシウムはさまざまな合金の第一金属(合金の基本となる金属)としてや、その他の合金に付加されるなど、合金としての用途が大きい。反応性の高い金属であるため、脱酸素剤や脱硫剤として重要な役割を持つほか、たくさんの化合物の合成にかかわる物質として非常に重要である。化合物は生物に不可欠であることから食品添加物や医薬品、飼料、肥料として広く用いられる。また、酸化マグネシウムは重要な耐火材である。
金属マグネシウムは、酸化しやすいうえ、その際に強い光を出すという性質を活かし、かつては酸化剤と混合したものがカメラのフラッシュの発光材(フラッシュパウダー、閃光粉)として利用されていた。光量の調節が難しく発光時大量の煙を発生させ、シャッターとの同調も手作業であるため、閃光電球やエレクトロニックフラッシュが普及するとフラッシュとしては全く使われなくなった。 また、濡れていても発火できるため、キャンプ用の発火用具にも使われる。 合金よりも軽量で内部損失も高いことから、純マグネシウムを樹脂でコーティングすることで酸化の問題を解決し、スピーカーの振動板として使われている。
詳細はマグネシウム合金を参照
マグネシウム合金は工業的に使用されている中では最も軽い金属である。マグネシウム合金の用途は広く、航空機、自動車、農業機械、工具、精密機械、スポーツ用具、スピーカーの振動板、携帯用機器の筐体、医療機器、宇宙船、兵器などの多種にわたる。鉄などの「重い」金属が利用されていた多くの分野で、部品をマグネシウムに置き換えて軽量化することにより、省エネルギーや事故防止、使用感や安全性の向上などが可能となった。プラスチックと比べてリサイクルしやすいのも利点である。これはアルミニウム合金とも共通する事柄であるため、マグネシウム合金とアルミニウム合金とでは、コストや研究の面である種の競合が起こっている。昔は腐食などの問題があったが最近はその問題も解決され用途が広がった。
冷間加工がほとんど不可能なために加工の難しい金属であるが、鋳造によって成形し熱間加工することでさまざまな部品や製品が作られている。古くからの鋳造技術であるダイカスト法によって携帯電話の筐体などが作られている。近年は半溶解状態での鋳造技術であるチクソモールディング法などを使った射出成形機が開発されて、ダイカスト法と共に加工の双璧となっているが、さらに新たなプレスフォージング法が登場し、それぞれのシェアは60%、35%、5%程度となっている[1]。