マグニチュード
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マグニチュードと地震のエネルギー

地震が発するエネルギーの大きさをE(単位:J(ジュール))、マグニチュードをMとするとlog10E = 4.8 + 1.5M

という関係がある(マグニチュードの計算に用いる対数は常用対数である)。このことと一般的な波動の性質から、マグニチュードが1増えるとエネルギーは101.5×1倍(倍、およそ31.62倍)になる。


一般的なマグニチュードの種類

以下、振幅という場合は片振幅(中心値からの振幅)を意味する。


リヒターのマグニチュード ML

リヒターは、ウッド・アンダーソン型地震計(2800倍)の最大振幅A(単位:μm)を震央からの距離100kmのところに値に換算したものの常用対数をマグニチュードとした。従って、地震波の振幅が10倍大きくなるごとに、マグニチュードが1ずつあがる。ML = log10A


表面波マグニチュード Ms

グーテンベルク(1945)は、表面波マグニチュードをMs = log Ah + 1.656 log Δ + 1.818 + C

で定義した。ここで、Ahは表面波水平成分の最大振幅、Δは震央距離(角度)、Cは観測点ごとの補正値である。

これとほぼ同じであるが、国際地震学地球内部物理学協会の勧告(1967)では、Ms = log (A/T) + 1.66 log Δ + 3.30 (20° ≦ Δ ≦ 60°)

としている。Aは表面は水平成分の最大振幅(μm)、Tは周期(秒)である。


実体波マグニチュード mB

グーテンベルクおよびリヒター(1956)は、実体波マグニチュードをmB = log (A / T) + Q(h,Δ)

で定義した。Aは最大振幅、Tはその周期、Qは震源の深さhと震央距離Δの関数である。経験的に、mb = 0.63 Ms + 2.5

が成り立つ。


モーメント・マグニチュード Mw

金森博雄(1977)は、地震を起こす断層運動のモーメント(Mo)を、従来のマグニチュードに関連づけ、これをモーメント・マグニチュードとした。Mw = (log Mo - 9.1 ) / 1.5ただし Mo = μ×D×S

Sは震源断層面積、Dは平均変位量、μは剛性率である。

モーメント・マグニチュードの最大値は、1960年チリ地震で、Mw=9.5 であった。

断層面の面積(長さ*幅)と、変位の平均量、断層付近の地殻の剛性から算出する、まさに断層運動の規模そのものである。

M8を超える巨大な地震では、地震の大きさの割りにマグニチュードが大きくならない「頭打ち」と呼ばれる現象が起こる。モーメント・マグニチュードは、これが起こりにくく、巨大地震の規模を物理的に評価するのに適しているとされる。


気象庁マグニチュード(2003年9月24日以前)

2003年9月24日までは、下記のように、変位マグニチュードと速度マグニチュードを組み合わせる方法により計算していた。
変位計、h≦60kmの場合
Mj = log A + 1.73 log Δ - 0.83Aは周期5秒以下の最大振幅。
変位計、h≧60kmの場合
Mj = log A + K(Δ,h)K(Δ,h)は表による。
速度計の場合
Mj = log AZ + 1.64 log Δ + αここで、AZは最大振幅、αは地震計特性補正項である。


気象庁マグニチュード(2003年9月25日以降)

変位マグニチュードは、系統的にモーメントマグニチュードとずれることがわかってきたため、2003年9月25日からは計算方法を改訂し、合わせて過去の地震についてもマグニチュードの見直しを行った。ただ、モーメントマグニチュードと気象庁マグニチュードにはバラつきがあるため注意が必要である。
変位によるマグニチュード
Md = 1/2×log(An2+Ae2) +βd(Δ,H) + Cd (An,Aeの単位は10−6m)ここでβdは、震央距離と震源深度の関数(距離減衰項)であり、Hが小さい場合には坪井の式に整合する。Cdは補正係数。
速度振幅によるマグニチュード
Mv = α×log(Az)+ βv(Δ,H)+ Cv (Azの単位は10−5m/s)ここでβvは、Mdと連続しながら、深さ700km、震央距離2,000kmまでを定義した距離減衰項である。Cvは補正係数。


特殊なマグニチュードの種類


地震動継続時間から求めるマグニチュード

地震記象上で振動が継続する時間Tdはマグニチュードとともに長くなる傾向がある。そこで一般に、M = c0 + c1 log Td + c2 Δ

の式が成り立つ。c0、c1、c2は定数、Δは震央距離である。c2は小さいため、第3項を省略することもある。

ただし各定数は地震計の特性に大きく依存するため、この式はほとんど用いられない。過去には河角(1956)のWiechert式地震計に対しての式M = 4.71 + 1.67 log Td

などが提案されている。


有感半径から求めるマグニチュードML

グーテンベルグとリヒター(1956)は、南カリフォルニアの地震について、有感半径Rを用いて、ML = -3.0 + 3.8 log R

の式を得ている。 日本でも市川(1960)が日本の浅発地震に対してM = -1.0 + 2.7 log R

を与えている。なお、Rは飛び離れた有感地点を除く最大有感半径(km)である。


震度4,5,6の範囲から求めるマグニチュード

気象庁の震度で、4以上、5以上、6以上の区域の面積(km2)をそれぞれS4、S5、S6とするとき、勝又と徳永(1971)はlog S4 = 0.82 M - 1.0

また、村松(1969)はlog S5 = M - 3.2log S6 = 1.36 M - 6.66

という実験式を得ている。


微小地震のマグニチュード

微小地震については上記のMs、mB、気象庁マグニチュードなどでは正確な規模の評価ができない。そこで、たとえば渡辺(1971)は上下方向の最大速度振幅Av(cm/s)と震源距離r(km)を用いて、0.85M - 2.50 = log Av + 1.73 log r

の式を示している。なおこの式はrが200km未満のときに限られる。


津波マグニチュードMt

低周波地震ではMs、mB、気象庁マグニチュードを用いると地震の規模が実際よりも小さく評価される。そこで阿部(1981)によって、津波を用いたマグニチュードMtが考案された。Mt = log H + log Δ + 5.80

ここでHは津波の高さ(m)、Δは伝播距離(km)(Δ≧100km)である。


マグニチュードの目安

簡易な計算式として、マグニチュードがdM増えたときのエネルギーの倍数は1000(0.5*dM)となる。 たとえば、マグニチュードが1増えるとエネルギーは約31.62倍、2増えると1000倍となる(1節参照)。

また、マグニチュードが1増えると地震の発生頻度はおよそ10分の1になる(下記参照)。


規模の目安

一般にM6以上では災害となることがある。M7クラスの直下型地震では、条件にもよるが大災害になる。阪神淡路大震災はM7.3(Mw6.9)である。また、東海地震南海地震といったプレート型地震はM8前後である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen