市場では16ビットマイクロプロセッサは完全な32ビットを実装したマイクロプロセッサが現れるまでのつなぎでしかなかった。
世界初のシングルチップの32ビットマイクロプロセッサはAT&T ベル研究所のBELLMAC-32Aであり、最初のサンプル出荷は1980年で、正式出荷は1982年であった。1984年のAT&T分割の後、WE32000と改称され(WEはWestern Electricを意味する)、さらにWE32100、WE32200と続いた。これらのマイクロプロセッサはAT&Tのミニコンピュータ3B5や3B15、世界初のデスクトップコンピュータ3B2、世界初の32ビットラップトップコンピュータCompanion、世界初の(本程度のサイズの)超小型コンピュータAlexanderに使われた。AlexanderはROMカートリッジを装備しており、その点は現在のゲーム機に似ている。これらは全てベル研究所オリジナルのUNIXオペレーティングシステムが動作し、最初のウィンドウ型ソフトウェアであるxt-layersを装備していた。
インテルの最初の32ビットマイクロプロセッサはiAPX432である。1981年に登場したものの市場では失敗した。iAPX432は権限に基づくセキュリティ機構とオブジェクト指向という進んだアーキテクチャだったのだが、モトローラの68000などの対抗アーキテクチャに比較して性能が及ばなかったのである。
モトローラは1985年にMC68020で、データバスもアドレスバスも完全32ビット化されたマイクロプロセッサを出荷した。68020はUNIX市場では非常に人気を博し、多くの小企業が68020を使ってデスクトップサイズのシステムを製品化した。日本でもソニーのNEWS、NECのEWS4800、住友電工のEstationなどが68020を使って製品化された。続くMC68030はチップにMMUを内蔵し、68KファミリーはMS-DOS以外のあらゆるものが動作するプロセッサとなった。さらにMC68040ではFPUを内蔵して浮動小数点演算性能を向上させた。68050は予定していた性能目標を達成できず、リリースされなかった。そしてMC68060が出荷されたころ、市場にはより高性能なRISCプロセッサがあふれていた。1990年代初頭、68Kファミリーはデスクトップ市場から消えていった。
他の多くの企業が68020やその後継プロセッサを組み込み機器用に使用した。特筆すべきは、機器に組み込まれた68020の個数は、これまでに出荷されたインテルのPentium搭載PCより多いのである。ColdFireプロセッサのコア(中核部)は68020の正当な後継である。
1980年代中盤までに、ナショナル セミコンダクターは外部16ビットで内部アーキテクチャが32ビットであるマイクロプロセッサNS16032(後に32016と改称)と完全32ビット版のNS32032を開発。また、それを使用したOEM向け32ビット小型コンピュータシリーズをリリースしている。シークエント・コンピュータは1980年代中頃にNS32032を使った最初の対称型マルチプロセッサ (SMP) サーバコンピュータを開発した。これは設計という面では勝利と言えるものだったが、1980年代終盤には消えていった。
他にもザイログのZ80000などは興味深いが市場でチャンスを掴むには登場が遅すぎたため即座に消えていった。
インテルが発売した80386は、80x86アーキテクチャでの最初の32ビットプロセッサであり、ここで採用されたIA-32アーキテクチャ上では多くの本格的OSが動作し、後のインテルや互換プロセッサの基礎となった。
1980年代終盤、いわゆる「マイクロプロセッサ戦争」が勃発しいくつかのマイクロプロセッサが"戦死"した。前述の唯一の設計上の勝利と称したSequentは、NS32032が消えるとともにインテルのマイクロプロセッサに切り替えた。
Alpha・MIPS・SPARCなどのRISCプロセッサでは、1990年代初頭から64ビット化が行われており、特にAlphaは32ビット世代は存在しない。PC(PC/AT互換機とMacintosh)向けマイクロプロセッサは21世紀に入ってから64ビット化が行われた。2003年4月にAMDのOpteronが、同年6月にはIBMのPowerPC G5が出荷開始され、AMDのAthlon64は2003年9月、インテルXeonは2004年である。
Power Mac G5が最初の64ビットデスクトップとして登場したあと、AMDが2003年9月にAthlon 64で80x86 (IA-32) アーキテクチャを拡張したAMD64アーキテクチャの64ビットチップを導入し、それに続いてインテルがAMD64互換のIA-32eアーキテクチャの64ビットマイクロプロセッサを登場させるに及んで、Windowsパソコンにも64ビットデスクトップ時代が到来した。AMD64は64ビットのソフトウェアと同時に32ビットの従来のアプリケーションを動作させることができるので、64ビットに対応したオペレーティングシステムで動作させることにより、プロセッサの性能と機能を発揮させることができる。AMD64における64ビット化では、レジスタのサイズとともにレジスタの数も倍増し性能貢献している。デスクトップ向けでは64ビットWindowsはドライバの非互換性からあまり普及していないので、デスクトップではIntel 64/AMD64プロセッサは高速な32ビットCPUとして使われていることが多い。
PowerPCの64ビットへの移行は1990年代前半のプロセッサ設計当時から意識されていたため、大きな非互換問題にはならなかった。既存の整数レジスタはデータバス幅に合わせて拡張されている。IA-32と異なり、既に32本の汎用レジスタと32本の浮動小数点レジスタを持っていたのでレジスタの本数は増加していない。
1980年代中盤、複数の新たな高性能RISC (reduced instruction set computer) マイクロプロセッサが登場した。それらは当初、特殊な用途のマシンやUNIXワークステーションに使われていたが、その後インテルのCPUを使ったデスクトップ以外のあらゆる分野で使われるようになった。
最初の商用のRISCマイクロプロセッサはミップス・テクノロジーズの32ビットプロセッサであるR2000である(R1000はリリースされなかった)。続くR3000は更に実用的な設計となり、R4000では世界初の64ビットアーキテクチャを採用した。それに対抗すべくIBMのPOWERやサン・マイクロシステムズのSPARCシステムが生み出され、間もなく各主要ベンダはRISCアーキテクチャを採用したプロセッサをリリースした。AT&TのCRISP、AMDの29000、インテルのi860とi960、モトローラの88000、DEC Alpha、ヒューレット・パッカードのPA-RISCなどである。