ホビットの冒険
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ホビットの冒険
The Hobbit, or There and Back Again
A line-up of the American second edition printings of The Hobbit.
著者J・R・R・トールキン
イラストJ・R・R・トールキン
発行日 1937年9月21日
発行元 ジョージ・アレン・アンド・アンウィン
ジャンルファンタジー
イギリス
言語英語
形態上製本
ページ数310
次作指輪物語

ウィキポータル 文学

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『ホビットの冒険』(ホビットのぼうけん、原題:The Hobbit, or There and Back Again)は、1937年9月21日に出版されたJ・R・R・トールキンによる児童文学ファンタジー小説。『指輪物語』の前日譚でもある。
概要

ホビットと呼ばれる小人が、魔法使いドワーフとともにに奪われた財宝を取り戻すべく、竜の住む山を目指す冒険譚。

本作が成功したため、出版社はトールキンに続編の執筆を依頼した。これがのちに『指輪物語』となり、この執筆の過程でトールキンは、『指輪物語』との整合性をとるために本書に改訂を行った。1951年の第2版では「くらやみでなぞなぞ問答」(第5章)で重要な改訂がなされた。その後も、ビルボが足を踏み入れた世界に関するトールキンの考えの変遷を反映して、1966年の第3版でさらなる改訂が加えられた。

批評家から広く称賛を受け、カーネギー賞にノミネートされたほか、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン(英語版)最優秀児童文学賞を受賞。今日に至るまで人気を保ち、児童文学の古典的作品と見なされている。

本作の日本語訳としては、瀬田貞二の訳によるもの(1965年)と山本史郎によるもの(1997年)がある。

ピーター・ジャクソン監督による実写映画化のプロジェクト『ホビット』があり、3部作のうち第1部『ホビット 思いがけない冒険』が2012年11月に、第2部『ホビット 竜に奪われた王国』が2013年12月(日本公開は2014年2月)に、第3部『ホビット 決戦のゆくえ』が2014年12月(日本公開は2014年12月13日)に公開された。
あらすじ

ことの始まりは、ある四月も末の日、ホビット村のビルボを訪ねた魔法使いのガンダルフのたくらみにより、13人のドワーフ達が次々と押しかけて来た、ビルボ宅でのパーティだった。トーリン・オーケンシールド率いるこのドワーフたちは、邪竜スマウグに奪われた父祖の地はなれ山(エレボール(英語版))とその財宝を取り返す遠征を計画しており、ガンダルフの薦めによりビルボを「忍びの者」として雇うつもりでやって来た。何も知らないビルボは右往左往するばかりだったが、ドワーフたちの歌を聞くうち、我知らず冒険を求める「トゥックの血筋」の性向がかき立てられる。しかしそれも束の間、事情を聞くとパニックを起こしてドワーフたちの失笑を買う。ドワーフたちに馬鹿にされて憤然としたビルボは、思わず計画に乗ることを宣言してしまう。ガンダルフがトーリンの父スラインから預かったという「スロールの地図」を披露し、はなれ山の秘密の裏口の存在ゆえに「忍びの者」ビルボの存在が必要だと、ドワーフたちを説得する。こうしてビルボとドワーフ、そしてガンダルフの一行は旅立つこととなり、途上、ガンダルフはトロルからドワーフたちを救い、一行を裂け谷まで連れて来る。裂け谷ではエルロンドが「スロールの地図」の秘密を解明する。霧ふり山脈(英語版)を越える際、一行はゴブリンに囚われ、山の地下深くへと追い立てられる。ガンダルフによって救出されるも、ビルボだけは途中で一行とはぐれてしまう。ゴブリンの地下のトンネルで道に迷ったビルボは、偶然指輪を発見し、ゴクリと遭遇する。ゴクリとビルボのなぞなぞ問答では、ビルボが勝てばゴクリが出口までの道を教えるが、負ければゴクリがビルボを食べるという取り決めだったが、ビルボの「ポケットの中にあるものは何だ?」という問いにゴクリは答えられなかった。指輪がなくなったことに気づいて出口をふさぎにいくゴクリの後を、姿を消す指輪の力を偶然借りたビルボが追い、ビルボは無事ドワーフたちと合流する。この一件でドワーフたちのビルボへの評価は非常に高まるものの、ガンダルフからの何をやっていたかという問いに対してビルボは嘘をついてまで隠したい事があった。つづいて一行はゴブリンとアクマイヌの追撃を受けるが、ワシの王に助けられ、ビヨルンの家では、しばし憩う。

一行は闇の森の黒い森にガンダルフ抜きで入って行く。闇の森では、ビルボは、ドワーフたちをまずは巨大な蜘蛛たちから、次いで森のエルフから救い出す。湖の町(エスガロス(英語版))では、「山の下の王」がスマウグを滅ぼし富をもたらすという、予言の成就を望む人間たちから歓迎を受ける。遠征隊ははなれ山の秘密の裏口を発見し、スマウグの巣の偵察に送り出されたビルボは、財宝の中から大きなカップを盗み出し、またスマウグの急所を発見する。激怒したスマウグは、湖の町の人間たちが侵入者たちの手助けをしたものと推察し、町の破壊に赴く。ビルボがスマウグの急所について報告するのを聞いていたツグミが、弓の名手バルドにこれを伝え、竜はバルドの射た弓で退治される。

スマウグが山を留守にしている間に、ビルボはその財宝の中からトーリンの一族に伝わる家宝であるアーケン石を発見し、ドワーフには内緒で自分のポケットにしまう。森のエルフたちと湖の町の人間たちが山にやって来て、宝の分配を要求すると、トーリンはこれを拒絶し、北方の同胞を呼び寄せて防備を固める。ビルボは盗み出したアーケン石と引き換えに戦いを回避しようとするが、トーリンは憤怒に燃えてビルボを追い出し、さらに態度を硬化させ、戦いは不可避となった。

ガンダルフが現れて、ゴブリンとアクマイヌの接近を知らせると、一転、ドワーフと人間とエルフは、共通の敵を相手に力を合わせて戦うこととなる。この五軍による決戦は、折良くビヨルンとワシたちという援軍を得たドワーフと人間とエルフの連合軍側の勝利に終わる。この戦いで致命傷を負ったトーリンは、いまわの際にビルボと和解する。ビルボは宝の分け前として、小馬一頭で運べる金銀の小箱一つずつ以上は不要だと断ったが、それでもしかし、大変裕福なホビットとしてわが家に戻った。
登場人物

ホビット(Hobbits)

ビルボ・バギンズ(Bilbo Baggins) - ホビット族の由緒正しい名家の末裔。ドワーフの冒険に「忍びの者」として強引に参加させられる。旅を重ねるごとにたくましく成長していく。


魔法使い

ガンダルフ(Gandalf) - ビルボの友人の魔法使い。ビルボをドワーフの旅に誘い込んだ張本人。いとこに同じく魔法使いのラダガストがいる。



ドワーフ(Dwarves)

トーリン・オーケンシールド(Thorin Oakenshield) - 13人のドワーフの仲間の長。青空色の頭巾。はなれ山のドワーフの王族の末裔。若い頃スマウグに故郷を追われ、復讐を決意し旅に出る。

バーリン(Balin) - 赤い頭巾。ドワーフではトーリンに次ぐ年長者。見張り役。

ドワーリン(Dwalin) - 暗緑色の頭巾。バーリンとは兄弟。

オイン(Oin) - 火起こし名人。茶色の頭巾。グローインと兄弟。

グローイン(Gloin) - 火起こし名人。白い頭巾。オインと兄弟。のちに指輪の仲間の一員となる、ギムリの父親。

ビフール(Bifur) - 黄色の頭巾。ボフール・ボンブールとは親戚。

ボフール(Bofur) - 黄色の頭巾。ビフール・ボンブールと親戚。

ボンブール(Bombur) - うす緑の頭巾。太っちょ。闇の森で呪いをかけられる。

ドーリ(Dori) - 紫の頭巾。ビルボに最も積極的に手を貸した紳士。

ノーリ(Nori) - 紫の頭巾。

オーリ(Ori) - 灰色の頭巾。

フィーリ(Fili) - トーリンの甥。青色の頭巾。キーリと並んで最も若い。

キーリ(Kili) - トーリンの甥。青色の頭巾。フィーリと並んで最も若い。

以上13人は、はなれ山への冒険に同行した旅の仲間である。


鉄の足ダイン(Dain Ironfoot) - くろがね連山のドワーフの長。北方からトーリン救援に訪れ、五軍の合戦でドワーフ軍を率いる。



エルフ


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