ホテルの収益構造は、そのホテルの立地や形態によって大きく変わるものであるが、概ね以下のように言うことができる。
主要な収益源として、宿泊部門・レストラン部門・宴会部門が挙げられる。
宿泊部門
宿泊部門は、ホテルの基幹となる部門であり、ホテルである以上全てに存在するものである。宿泊施設の設置には相応の土地・建物を必要とするものの、客室清掃やベル・パーソンの仕事はパート・アルバイトなどを利用することが出来、また繁閑に合わせて人員数の調整やアメニティグッズの調達をすることができるので、運営に際して経費は低く抑えることが出来る。そのため部門の利益率(部門の売上からその部門に直接関係する運営経費のみを引いたもの。ホテル全体の費用、例えばホテルの広告費や管理部門の人件費などを配分しないで計算される。)は60パーセントを上回ることも可能である。近年では清掃業務などのアウトソーシングもよく行われている。
レストラン部門
レストラン部門の利益率は、その業態によっても異なるが一般に低くなる傾向にあり、20パーセント程度と見られる。レストランの設置には宿泊部門ほどの面積は必要とされないが、運営に関しては、調理・サービスにある程度の熟練者が必要とされ固定人件費がかかり、また食材などは売れ残れば廃棄となるため、経費は高いものとなる。ホテル直営のほか、外部の有力レストランをテナントとしていれることも行われている。宿泊客だけでなく地元客による利用も大きな割合を占める。
宴会部門
宴会部門は、予約が事前に確定するため、食材等を効率的に用いることができ、また宴会でのサービスに関してもアルバイトや派遣社員を利用して、受注に応じて対応できるため、レストラン部門より高い利益率が可能である。但し、宴会の中でも大きな割合を占める結婚式においては、特別な用意が必要となり、外部企業に対する業務委託などが大きくなるため、一般の宴会より利益率は低くなる傾向にある。ホテル外部に出張して宴会にあたる、ケータリングも行われている。レストラン部門とあわせて料飲部門と呼ばれ、総料理長が置かれる。
地価の高い日本においては、土地面積を宿泊施設ほど必要としない、料飲部門が重視される傾向にあり、各ホテルはレストランや宴会部門の強化に力を入れてきた。そのため、宿泊以外の部門の売上が全売上の6割から7割に達することも珍しいものではない。その点からすると、日本のホテルは外食産業的な側面が強いものであるといえる。
不況や、それに伴う企業の宴会需要の低下、あるいは外資の参入による競争の激化などで、多機能なシティホテルやリゾートホテルは厳しい状況にもあり、そのような中、収益率の高い宿泊部門のみに特化したビジネスホテルや、あるいはブライダル特化ホテルなど、特徴を打ち出したホテルが多く見られるようになった。
客室の種類
シングルルーム(セミダブルルーム)
1名用客室。シングルサイズベッドの他、近年日本ではセミダブルベッド(幅120~140cm程度)が用いられているホテルも多く、後者の場合はセミダブルルーム(シングルルームの二人使用)として、割安で利用出来る場合もある。
ダブルルーム
2名用客室で、ベッドはダブルサイズ(幅160cm程度)の他、高級ホテルではクイーン(幅180cm程度)やキング(幅200cm程度)が設置されている場合が多い。特に高級ホテルではシングルルームを設けず、1人客にはダブルルームの1名使用(シングルユース)で対応する所も多いが、1人客が中心のビジネスホテルでは設定していない所が多い。欧米のホテルでは概して最も多く設定されている客室形式であり、海外旅行の際にツインルームを希望しても、ホテルによってはツインの設定数が少ないために手配に苦労することもある。欧米では夫婦やカップルは一つのベッドで寝るのが一般的であるため、日本人でも夫婦・カップルの宿泊客にはダブルルームの部屋が割り当てられることがよくある。
ツインルーム
2名用客室で、シングルベッドまたはセミダブルベッドが2台設置されている客室。特に日本のシティホテルでは多く見られる形式である。
トリプル(ツイン・ダブル)
エキストラベッドという可搬式ベッドをツインルームに設置したり、予めツインルームに備え付けられているソファベッドを用いてベッドを3つ揃えたもの。チェックインの際には用意されておらず、夕刻になると係がエキストラベッドを運んできたり、ソファベッドのベッドメイキングにきて初めてトリプルになることも多い。
トリプルルーム
3名用個室で、予め3台のベッドが備え付けられている客室であるが、決して一般的ではない。旅行会社などのパンフレットにトリプルルームと書いてあっても上記のツインルームのトリプルユースである場合がほとんどなので、十分確認する必要がある。
フォース・ファミリールーム
トリプルルームにエキストラベッドまたはソファベッドを追加設置したり、予めベッドが4台以上設置されているもので4名以上が滞在できる客室。リゾートホテルやテーマパーク周辺のホテルに多い。和洋室の場合もあり、2人がベッドで、2人が布団を使用することになることもある。
エグゼクティブ/デラックス/コンフォート/スーペリア ルーム
一般客室(スタンダードルーム)よりも部屋面積が広く、大きめのベッドやソファなどが設置されていたり、バスルームとトイレ・洗面所が仕切られているホテルもある。日本や海外の高級ホテルではスーペリアルームとスイートルームのみ設置しているホテルが多い。一般的にはシングル・ツイン・ダブルルームに設定されており、サービスはスタンダードルーム宿泊に準じるのが通常ながら、エグゼクティブフロア(→#付加サービス)を設置しているホテルでは優遇される。
SOHOタイプ/ビジネスルーム
書類仕事や受験勉強などの知的作業を要する客のために、明るい直接照明や広い机、パソコンやファクシミリなどのOA設備の設置、OAチェアの採用など、快適な仕事環境を重視したもの。その具体的なサービスの内容はホテルによって様々であり、たとえ仕事に適した配慮をしていても、それを一般の客室と区別していない場合もある。主にビジネス客を主要な顧客とするホテルに見られ、2004年ごろから増加した。なお、客室内にはそれらの施設を設けず、上記のような設備を備えたスペースをビジネスコートなどとして有償または無償で提供するホテルもある。
スイート
英語でSUITE(「続き部屋」の意味)。マンションの一戸分に相当する。通常の部屋がベッドルーム(寝室)のみであるのに対して、独立したリビングルーム(居間)が付属している部屋のことをいう。高級な部屋になると寝室が複数あるものもあり、寝室の数により2ベッドルームスイート、3ベッドルームスイートなどという。また居間が完全に独立していないものをジュニアスイートという。広く、高級な客室で、クイーンサイズのベッドが一つ〜二つまたはキングサイズのベッドが一つ以上設置され、大型テレビや広々とした浴槽などが配置されていることが多い。ジュニアスイート以外のハイグレードなスイート(ロイヤルスイート等名称はさまざま)は、ベッドルームとリビング・ダイニングルーム、バスルームが分離しており、40平方メートル以上の部屋面積があり、添い寝やエキストラベッドを配置すれば四人以上が宿泊出来る。特にハイグレードなホテルでは、高級マンションの室内と見分けが付かないようなものもある。ホテルによってはデイユースで、ルームサービスのランチをスイートルームで食事したり、昼寝するなどのプランを設けている所もある。
コンドミニアム/レジデンシャルルーム
主にリゾートホテルやコテージ・オーベルジュに設置されるもので、スイートルームと同レベルの広さと設備の室内に、大型冷蔵庫やキッチンなどの自炊設備があり、家族やグループの長期滞在に適しているもの。
コネクティングルーム
隣接する客室との間に扉があり、二つ以上の客室を一つの客室として使えるようにしたもの。通常は扉は施錠されていて(若しくはドアノブがあるのは部屋の内側のみで外側からは開けられない つまり二重扉)別々の部屋として使用されていることが多い。スイートと違って、それぞれの部屋は通常のツインやダブルの部屋である。
照明は部屋の機能性、雰囲気に大きな影響を与える。照明は、ホテル側(概して雰囲気を優先したがる)と客(概して機能性を求める)の意識が最もずれるところの一つである。また、客室の照明の様子は事前に知りたい/調べにくいことがらの一つである。「明るい部屋ときいてきたら、確かに壁紙の色が明るい色だった」であるとか、「蛍光灯ではあったが、ブラケット器具のなかの電球が蛍光灯式だった」だとか、「蛍光スタンド貸し出しのはずが、白熱灯(酷い場合には超小型の懐中電灯のようなもの)であった」など、フロントとのトラブルの要因にもなる。なお、一般的に間接照明は直接照明と比較すると、明るさの割には電力消費量が大きい。
多くのホテルでは、価格、等級によらず高級感・非日常性の演出や、あるいは汚れを目立たなくするというような点もあって電球を用いたシェード型のスタンドやブラケット器具をベースとした間接照明が採用されている。