最大の都市は、南部のホーチミン(人口486万人、2003年)、次いで北部の首都ハノイ(183万4000人)、ハイフォン(64万6000人)、ダナン(59万1000人)、ビエンホア(40万7000人)である。人口10万人以上の都市は2003年時点で29都市存在した。
ハノイ(河内)
ホーチミン(胡志明市)
ホーチミン市第1郡:旧サイゴン(柴棍、西貢)
ホーチミン市第5郡:旧チョロン(堤岸)
ホーチミン市クチ県:クチ(古芝)
ダナン(沱?)
ハイフォン(海防)
ヴィン(栄市)
フエ(順化)
カントー(芹苴)
ホイアン(會安)
ニャチャン(芽莊)
ミトー(美萩)
タイニン(西寧)
ヴィンロン(永隆)
ダーラット(多洛)
ベトナムの国土は南北1,650km、東西600kmに広がる。インドシナ半島の太平洋岸に平行して南北に伸びるチュオンソン山脈(アンナン山脈)の東側に国土の大半が属するため、東西の幅は最も狭い部分でわずか50kmしかない。細長いS字に似た国土の形状を、ベトナムでは米かごを吊るす天秤棒に例えている。天秤棒の両端には大規模なデルタが広がり、人口の7割が集中する。北のデルタは、紅河(ソンコイ川)によるもので、首都ハノイのほか港湾都市ハイフォンが位置する。南のデルタはメコン川によるもので、最大の都市ホーチミンを擁する。
沿岸の総延長距離は3,260km、北部国境(中国国境)の長さは1,150km、国境の総延長距離は、6,127kmである。
沿岸には北部を除き、島嶼がほとんど存在しない。本土から離れた領土としてホーチミンから約600kmの東、南シナ海に浮かぶチュオンサ群島(スプラトリー諸島、南沙諸島)と、ダナンの約400km東のホアンサ群島(パラセル諸島、西沙諸島)の領有権を主張している。チュオンサ群島は一部を実効支配し、ホアンサ群島は全体が中国の実効支配下にある。ベトナム最大の島は、最西端の領土となるシャム湾に浮かぶフークォック島である。
主要な河川は紅河(支流であるカウ川、ロー川、ダーツ川)、ダンホアに河口をもつカー川、中部のバー川、南部のドンナイ川、メコン川である。天然の湖沼はデルタに残る三日月湖がほとんどである。最高峰は北部国境に近いファンシーパン山(3,143m)。アンナン山脈中の最高峰は中部のフエやダナンに近いアトゥアト山(2,500m)である。
ベトナム全土は北回帰線よりも南に位置し、赤道近くまで伸びる(本土の最南端は北緯8度33分)。このため南西モンスーンの影響を強く受ける。7月から11月まで台風の影響を受け、特に国土の中央部が被害を受けやすい。
北部は温帯性の気候であり、4月から10月までが雨期となる。首都ハノイの平均気温は1月が16度、7月が29度である。年平均降水量は1,704mm。チュオンソン山脈の影響により、山岳地帯では降水量が4,000mmを超える場所もある。ケッペンの気候区分では、温暖冬季少雨気候(Cw)に分類されている。
南部は熱帯性気候下にある(ケッペンによる気候区分はサバナ気候=Aw)。平均気温は1月が18度、7月が33度だが、平均降水量は1,000mmと少ない。 北部には紅河、黒河(ダー川)、南部には九龍江(メコン川)が広がる。
1986年12月のベトナム共産党第6回大会で、社会主義に市場経済システムを取り入れるというドイモイ政策が採択、中国と同様に改革・開放路線へと転換した。1996年のベトナム共産党第8回大会では、2020年までに工業国入りを目指す「工業化と近代化」を二大戦略とする政治報告を採択した。
政府開発援助と外国投資が経済を牽引している。アジア通貨危機で一時失速した国内総生産(GDP)の成長率も、2001年は6.8%、02年7.0%、03年7.2%、04年7.7%と安定成長が続いている。中国では人件費が上昇基調にあることから、新たな投資先として近年、注目されている。こうしたことからも、WTO加盟が政府にとって重要な目標となっていたが、2007年1月、ようやくWTOに加盟した。
労働人口の66%が第一次産業に従事しているが、近年は第二、第三次産業が急成長。観光業の伸びが特に著しく、重要な外貨獲得源となっている。
主な輸出品目は原油、衣料品、農水産物。特にコメについては、タイに次ぐ世界第二位の輸出国であったが、現在は輸出制限措置をとっている。
コーヒーは、現在ではブラジルに次ぎ、世界第2の生産量(99万トン、2003年)に達している。大部分が、インスタントコーヒー、缶やペットボトル入りの清涼飲料、製菓用抔で使われる安価なロブスタ種(カネフォラ種)であるが、レギュラーコーヒーに使われる高級品のアラビカ種の栽培も始まっている。
ベトナムは石炭・石油を中心とした有機鉱物資源、スズを中心とした金属鉱物資源に恵まれている。北部ハロン(ホンゲイ)から産出する石炭は上質の無煙炭であり、19世紀末からホンゲイ炭として採掘が始まっている。2003年時点の採掘量は1670万トン。ベトナムは産油国でもあり、1660万トンの原油を産出する。輸出品目の第一位は石油であり、2002年時点では全輸出額の19.6%を占めた。天然ガスの採取量は126千兆ジュール。
金属鉱物資源は、北部デルタ周囲の丘陵地帯に主に産する。もっとも重要なのが世界第4位のスズ(4000トン、世界シェア1.5%、2005年)。亜鉛、金、クロム、鉄、鉛のほか、リン鉱石を産出する。
住民はベト人(越人、京人)が85%から90%、その他にホア族(華人)3%、タイ人(ターイ族、タイー族)、クメール人(クメール族)、ムオン族、メア族、モン族(ミャオ族)、ザオ族、チャム族などの53の少数民族がいる。
言語はベトナム語(越語)が公用語である。その他、華語、クメール語、ロシア語なども使われており、フランス領インドシナ時代の影響から、少数のエリート層の間では、フランス語も話されている。