歴史の節で述べたとおり語彙には漢字語が多いが、固有語の形態素も形態上は漢字語根と同様単音節から成り立ち、自立語としての造語力をもっており、現在でも漢字語、固有語双方の形態素を用いた語彙が並立している。ただし造語にあたっては、固有語の場合は文法に従って修飾成分を後置するのに対し、漢越語は中国語からそのまま借用したため、修飾成分は前置されたままである。
固有語による造語
m?y bay: 飛行機(機械+飛ぶ 中国語「?机」の翻訳借用)
t?n l?a: ロケット(槍+火 中国語「火箭」の翻訳借用)
nh? m?y: 工場(家+機械)
漢字語による借用語
gi?o s? 「教師」: 教授
th? t??ng 「首相」: 首相
また現代中国語の語彙と意味が異なる漢字語も多い。
ph??ng ti?n 「方便」: 手段。中国語では「?法」、「手段」という。「方便」 (f?ngbi?n) は中国語で便利の意味。
v?n ph?ng 「文房」: 事務室。中国語では「?公室」、「写字楼」という。「文房」 (w?nf?ng) は中国語で書斎の意味。
日本語の和語に漢字を当てた漢字語が和製漢語として借用されそのまま定着した例もある。この場合ベトナム語では中国語、朝鮮語の例と同様すべて漢字音で読まれる。
l?p tr??ng 立場
tr??ng h?p 場合
th? t?c 手続
このほか、フランス語や英語からの借用語もある。アルファベット使用言語からの借用(とりわけ固有名詞の借用)はローマ字採用によって容易になったが、もとのスペルを生かすか、ベトナム語の音韻構造にそったスペルを採用するかをめぐって現在まで議論が続いており、借用形の使用には混乱がみられる。/m/, /n/, /?/, /?/ 以外の有声子音は音節末に立たないため、対応する無声子音(ない場合は調音部位の近い無声子音)に置き換えられる(フランス語の r を /k/ に音訳するなど)。
ga 駅 (fr: gare)
nh? b?ng 銀行 (fr: banque)
m?t-tinh 会議 (en: meeting)
Gia-c?c-ta / Jakarta ジャカルタ
ベトナム語の方言は、北部方言、中部方言、南部方言の三つに大別され、それぞれハノイ、フエ、ホーチミン市(サイゴン)を標準とする。このうち中部方言は他の両者と比べ音韻、語彙の両面にわたる差異がもっとも大きく、次いで北部と南部が対立する。これは、歴史的にハノイとフエが鄭氏と広南阮氏の分立以来の対抗の歴史を持っているのに対し、南部が18世紀末以降初めて領域に入った「新開地」であるためである。しかしフランス植民地化以降サイゴンは「東洋のパリ」と称される大都市に成長し、1975年のサイゴン陥落までハノイに対立する政治的経済的中心であり続けたため、現在のベトナム語においてもハノイ方言とサイゴン方言とはほぼ同等の威信をもって並立しており、音声メディアにおいてもサイゴン方言はハノイ方言と並んで使用されている。
音韻面においては、クオックグーで弁別される特徴のうち、音節頭子音(声母)における対立がハノイ方言で摩滅しているのに対し、サイゴン方言ではこれを保存している(詳細は「文字」「子音」の各表を参照。ただし音節頭子音の弁別はハノイ以外の北部方言ではかなり保存されている)。これに対し、音節末子音(韻尾)と声調の対立はサイゴン方言で摩滅する傾向にあり、n, ng, nh がいずれも鼻音化しているほか、声調では thanh h?i と thanh ng? の区別がなくなっている。
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参考文献^ Haudricourt, Andr?-Georges (1954), "De l'origine des tons du vietnamien", Journal Asiatique 242: 69-82
^ Sagart, Laurent (1998), " ⇒The origin of Chinese tones", International Symposium on "Tone languages in the world" December 10-12, 1998
^ 新谷忠彦, ⇒A.G. Haudricourt と声調の起源・分岐について. 2008-05-01 閲覧
外部リンク
⇒ベトナム語辞書 無料オンライン日本語⇔ベトナム語辞書
⇒ベトなび 有料・無料の各種ベトナム語辞書情報あり。
⇒ベトナム語版のウィキペディアがあります。
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更新日時:2008年8月12日(火)15:36
取得日時:2008/08/21 14:04