ヘリウム
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特徴

標準状態ではヘリウムは単原子ガスとしてのみ存在できる。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下におかなければならない。元素の中で沸点が最も低く、標準圧力下では温度を下げて絶対零度になっても液体のままであり、固化するにはさらに高い圧力をかける必要がある。液体とガスの臨界温度の差は 5.19 K しかない。固体ヘリウムは ヘリウム3 と ヘリウム4 で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の30%をコントロールすることができる。ヘリウムは比熱容量が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると素早く膨張する。

固体ヘリウムは 1.5 K、2.5-3.5MPa という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。だいたいこのくらいの温度以上になると相転移を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。

ヘリウム-4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、量子力学の研究(超流動現象)において重要で、物質が超伝導を帯びるような絶対零度に近い超低温で発現する。


用途

ヘリウムは空気よりも軽いため、浮揚用ガスとして使われ、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。ヘリウムは水素の92.64%もの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして風船のガスなど広く利用されている。

以下のような他の用途がある。

ヘリウムと酸素混合ガステクニカルダイビングなど、深海潜水用の呼吸ガスとして用いられる。ヘリウムは窒素よりも麻酔作用が少ないため、窒素中毒を起こしにくく、さらに粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速いため、使い方によっては減圧症になる可能性を低減できる。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり低体温症になる危険があること、また空気と比較してはるかに高価であることがある。

ヘリウム中では音速が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では約1000m/s)ため[1]、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る(ドナルドダック効果)。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。ヘリウムに毒性はないが、酸素を混入していないヘリウムを吸入したことによる酸欠事故がまれに起こっている。

ヘリウムは沸点、融点ともに最も低い元素であり、液体ヘリウムは他の超低温物質よりも低温となり、超伝導低温学など、絶対零度に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法がある。

ガスクロマトグラフィーなどの搬送ガスとしても使用される。

水素爆弾では水素がヘリウムになる核融合反応が使用されている。

液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、シリコンゲルマニウム結晶の保護材、あるいは原子炉冷却材超音速風洞実験での充満ガスとして用いられている。

同位体であるヘリウム3は核融合発電の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、トリチウム燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくい上、地球上で天然に採取する事はほとんど不可能である。太陽から噴出した太陽風月面に堆積した物を採取する、木星などの木星型惑星で採取する等の方法が検討されている。

液体ヘリウムはMRI超伝導電磁石の冷却に使われている。

ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため (ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で非破壊検査するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。


歴史

ヘリウム (: Helium、: ?λιο?、helios、太陽に由来)は1868年フランスピエール・ジャンサンイギリスノーマン・ロッキャーがそれぞれ別個に存在を予言した。二人ともその年にあった日食太陽光線について研究をしており、分光学での輝線スペクトルから未知の元素があることに気付いた。エドワード・フランクランドがジャンセンの予言を立証し、さらにその元素が太陽の観測から発見されたことから、ギリシャ神話の太陽神ヘリオスの名に -ium をつけた名前を提案した。-ium は本来金属につけるラテン語の派生名詞中性語尾だが、これはこの時点でヘリウムが金属と思われていたからだった。元素記号 He はその頭文字である。1895年にイギリスのウィリアム・ラムゼー卿によりウラン鉱石からヘリウム単体が取り出され、精製した結果金属でないことがわかったが、名前が変更されることはなかった。スウェーデン化学者ニールス・ラングレットとペール・テオドール・クレーベはラムゼーと別個にヘリウムの分離に成功していた。

1907年アーネスト・ラザフォードとトーマス・ロイズはアルファ粒子がヘリウムの原子核(ヘリウム4)であることを発見した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki