同位体239Puは、核分裂の起きやすさと合成の容易さのため、現代の核兵器における主要な核分裂性物質である。反射体のない球状プルトニウムの臨界量は16kgだが、中性子を反射するタンパーを用いると核兵器中のプルトニウムピットは10kg(直径10cmの球に相当)まで減らすことができる。1kgのプルトニウムが完全に反応したとすると、20キロトンのTNT相当の爆発エネルギーを生むことができる。
239Puがアルファ崩壊すると235U(ウラン235)が崩壊生成物として生成される。235Uも核分裂を起こしやすいが、親核種の239Puはより核分裂を起こしやすいので、いかに239Puが危険なのかは想像に容易い。また、239Puはアクチニウム系列に含まれている。
同位体238Puは半減期87年のアルファ放射体である。これらの特性により、人間の寿命程度のタイムスケールで直接保守することなく機能する必要がある機器の電力源に適している。そのため、238Puは原子力電池に利用され、宇宙探査機ガリレオやカッシーニの電源となる同位体電池にも用いられた。また、同様の技術が、アポロ月面探査計画における地震実験にも用いられている。
238Puは人工心臓のペースメーカーの電源にも用いられ、手術を繰り返すリスクを避けるのに役立っていた。近年ではほとんどが誘導電流で充電可能なリチウム電池に置き換わってきているが、2003年時点では50から100個程度のプルトニウム電源のペースメーカーが患者に埋め込まれている。ただし、日本国内ではプルトニウム電源のペースメーカーは使用はもちろんの事、製造も禁止されている。日本では放射性同位体の規制に抵触するからである。
大部分のプルトニウムは人工的に合成されるが、極めてわずかな痕跡量のプルトニウムがウラン鉱石中に自然に発生する。これらは、238U原子核が中性子を捕獲して239Uになり、その後二回のベータ崩壊により239Puになる。この過程は原子炉中でプルトニウムを生産するのと同様である。
244Puの痕跡が、超新星爆発から太陽系の誕生以来残っている。この核種の半減期が相当に長い(8千万年)からである。
1972年にガボン共和国オクロにある天然原子炉で比較的高濃度の天然プルトニウムが発見された。
1945年以来、約10トンのプルトニウムが、核実験を通じて地球上に放出された。核実験のフォールアウトのために、既に世界中の人体中に1〜2ピコキュリーのプルトニウムが入っている。[1] フォールアウト起源のプルトニウムが地表面の土壌に0.01〜0.1 pCi/g存在する。[2] このほか、原子力施設等の事故により局地的な汚染が存在する。
環境中のプルトニウムはほとんど二酸化プルトニウムの化学形で存在しているが、これは非常に水に溶けにくい。[3] 100万klの純水にプルトニウム原子1個が溶ける程度であるといわれている。
いったん高温で焼き締めた二酸化プルトニウムは硝酸にも難溶となるが、フッ酸を加えると溶ける。[4]
プルトニウムは酸素と容易に反応し、PuO、PuO2を産する。 また、その中間の酸化物も生成する。 また、ハロゲンとも反応し、PuX3の形の化合物を作る。 Xはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。 PuF4およびPuF6も見られる。 PuOCl、PuOBrおよびPuOIのようなオキシハライドも見られる。
炭素と反応してPuC、窒素と反応してPuN、またケイ素と反応してPuSi2を形成する。
プルトニウムは他のアクチニド元素と同様、二酸化プルトニル(PuO2)を形成するが、 自然環境中では炭酸など酸素を含む錯イオン(OH-、NO2-、NO3-およびSO42-)と電荷のある錯体を作る。 こうしてできた錯体は土との親和性が低く容易に移動する:
PuO2(CO3)2-
PuO2(CO3)24-
PuO2(CO3)36-
強い硝酸酸性溶液を中和して作ったPuO2は、錯体にならないPuO2重合体を生成しやすい。 プルトニウムはまた価数が3、4、5、6価の間で変化しやすい。 ある溶液のなかでこれら全ての価数で平衡して存在することも珍しくない。
常圧下でもプルトニウムはさまざまな同素体を持つ。これらの同素体は、結晶構造や密度が大きく異なる。α相とδ相では密度は25%以上も違う。
さまざまな同素体を持つということが、プルトニウムの機械加工を非常に難しいものにしている。相が非常に容易に変わってしまうからである。このような複雑な相変化をする理由は完全には解明されていない。最近の研究では、相変化の精密なコンピュータモデルに着目している。
兵器への利用においては、相の安定性を増し作業性と取り扱いを容易にする狙いで、プルトニウムはしばしばほかの金属と合金にして用いられる。例えば、δ相に数パーセントのガリウムを加えるなど。核分裂兵器においては、プルトニウムのコアを爆縮するための爆発の衝撃波も相変化の原因になる。このとき通常のδ相からより密度の高いα相に変化するので、超臨界を達成するのに大いに助けになる。
人類の利用の観点で重要な同位体は239Pu(核兵器と原子炉燃料に適)および238Pu(原子力電池に適)である。同位体240Puは、239Puが中性子に照射されると発生するが、これは非常に容易に自発核分裂を起こす。240Puそのものはほとんど役に立たないが、核兵器で使用されるプルトニウム中での不純物として重大な役割を果たす。240Puは自発核分裂により中性子をランダムに放出するので、ある希望の瞬間に正確に連鎖反応を始めることを難しくする。こうしてその爆弾の信頼度および出力を減少させる。
239Puの中に1%の不純物として240Puが含まれると、ガンバレル型核兵器の中で分裂連鎖反応が受容しがたいほど早く始まり、その材料がほとんど核分裂しない間にその兵器をばらばらに吹き飛ばしてしまう。この240Puの混入が避けられないことが、プルトニウム武器ではインプロージョン方式の設計にしなければならない理由である。理論的には100%純粋な239Puならばガンバレル型装置を構築することができるかもしれないが、このレベルの純度は現実には達成し得ないほど困難である。
なお240Puの混入課題は核兵器開発において2つの側面をもつ。ひとつは混入のためにインプロージョン技術を開発する必要が生じ、マンハッタン・プロジェクトに遅れと障害をもたらした。もうひとつは同じくその障害は現在では核拡散に対する障壁になった。 なお239Puの同位対比が約90%を越えるプルトニウムは兵器級プルトニウム(Weapon Grade Plutonium)と呼び、 1972年に機密指定が解除された資料である「WASH-1037 Revised An Introduction to Nuclear Weapons」に基づくと,兵器級プルトニウムは三つの等級に分けられている。等級238Pu239Pu240Pu241Pu242Pu
Hanford0.05%以下93.17%6.28%1.54%0.05%以下
Savanna0.05%以下92.99%6.13%0.86%0.05%以下
Rocky Flats Soil極微量93.6%5.8%0.6%極微量
一般的な商用原子炉である軽水炉から得られたプルトニウムは少なくとも20%の240Puを含んでおり、原子炉級プルトニウムと呼ばれる。
原子炉級プルトニウムでも核兵器の製造は可能であるという主張もあるが、不安定な原子炉級プルトニウムでは爆発装置の製造が兵器級プルトニウムに比べて困難であり、兵器としての信頼性にも欠けるため、わざわざ原子炉級プルトニウムで核兵器を作るメリットは殆ど無いといえる。
福井県にあるもんじゅのような高速増殖炉は、兵器級プルトニウムを産出する。