プラズマ (plasma) はその歴史的な背景から、一般には気体が電離したものとして認知されている。身近にある炎の中では通常の気体を構成する中性分子が電離して、正の電荷をもつイオンと負の電荷をもつ電子とに別れて自由に飛び回っている。全体として電気的に中性な系であるが、構成粒子が電荷をもつため、粒子運動がそれ自身のつくり出す電磁場と相互作用を及ぼしあうことにより、通常の中性分子からなる気体とは大きく異なった性質をもつ。 そこで気体とは別の物質状態であるとして、これにプラズマの名が与えられている。
気体状のプラズマは実験室内でも古くから真空放電の研究に伴って観察されていた。そこにある電離した気体自体を対象とした研究は1920年代のアーヴィング・ラングミュアに始まり、そこでシースやプラズマ振動の存在など、プラズマの基本的性質が次々と明らかにされた。そしてラングミュアは、1928年にこの物質状態に「プラズマ」という名前を与えた。さらに1950年代以降、エネルギー源としての熱核融合研究や宇宙空間でのプラズマの役割探求、さらには広く応用を進める上での基礎学問として、その研究が進展していった。
典型的なプラズマは充分高温になった物質の状態として定式化され、イオンや電子が自由に飛び回っているとする点で気体状といえるが、そこで生み出された研究方法や概念はある種の条件のもとの固体状、液体状の物質の研究にも有効に用いられる。 かくして、産業分野で利用される、半導体のような固体やイオン化された液体なども、そのある側面についてはプラズマとして研究することにより物性がよりよく理解され、「固体プラズマ」などの新しい研究分野が生まれた。
プラズマの定義には「気体」という言葉は存在しない。 プラズマ物理学における定義は「荷電粒子群が不規則な熱運動をする力学系のなかで、全体として電気的に中性で、プラズマの3要件を満たすもの」となる。 しかしこの定義によればその論理的帰結として粒子系が弱結合であることが導かれ、気体状とのイメージになる。半導体においてもその中の電子と正孔のみに着目することでプラズマとして扱えることになる。3要件については項目プラズマ物理を参照のこと。
プラズマの特徴として、中に多数の自由電子があるため電流が極めて流れやすいという点が挙げられる。電流が流れればその近辺に電磁場を生じ、それがまたプラズマ自身の行動に大きく影響する。そのためプラズマ中では粒子は集団行動をとりやすく、全体として有機的な挙動が観測される。外部から電磁場を掛ければそれに強く反応する。こうした挙動のひとつの現れとして、プラズマ中には通常の気体中には存在しない、電場を復元力とする縦波であるプラズマ振動が存在する。
プラズマは、物質の三態のいずれにも当てはまらない「物質の第四状態 (the fourth state of matter)」と言われる事がある。この言葉はマイケル・ファラデーが固体・液体・気体とならぶ第四状態として考えた「放射体」(radiant) に、ウィリアム・クルックスが自ら発見した陰極線の放電現象を当てはめたのが由来とされている[1][4]。気体・液体・固体・プラズマの四態に対して、古代ギリシアの哲学者エンペドクレスが提唱した四大元素の「空気・水・土・火」を対応させる比喩が稀に使われる。
現在では、プラズマ現象と固・液・気体間の第一種相転移の概念はまったく別のものとして確立され、プラズマ物理では炎やオーロラなどの電離気体から固体中の電子振動(プラズモン)まで、広い範囲の現象が取り扱われている。
一般に気体中で放電することによって生成される。身近なプラズマの例としては、点灯している蛍光灯の内部も水銀ガスがプラズマになったものである。このことはグロー放電を起こしてそれからクルックス管である蛍光灯内のアルゴンやキセノン等に経路状に電流が流れ発光する事と同じである。なお、このグロー放電は放電プラズマの一種である。 稲妻やセントエルモの火もこの類である。
我々の生活に必要不可欠な火(燃焼炎)もプラズマの一種である。他に強力な磁界をもつ高圧鉄塔の電線の周りには同心円状にプラズマが発生する。地下水脈で水が勢いよく岩盤にぶつかることでもその空洞内に発生すると言われている。
電離層、オーロラ、太陽(恒星の内部)、太陽風(コロナ)、星間物質、科学博物館によく展示されているプラズマボールなどもその例である。
2006年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」によって、恒星を取り巻くプラズマ化した大気の中で起こっている活発な現象を、より詳細に観測・研究できるようになった。
プラズマには高温プラズマ(プラズマを構成する粒子すべての温度が高い状態、熱プラズマ)と、低温プラズマ(電子温度のみが高い)があり、金属の内部や蛍光灯の内部は低温プラズマと見なされる。高温な熱プラズマは数万ケルビンにも及び、地球上のあらゆる物質を溶かしてしまうため、高融点の材料の開発が求められている。 なお、種々のプラズマにより、核融合、プラズマディスプレイ、溶接、プラズマロケット、カーボンナノチューブをはじめとする立体構造を持つ様々な機能・特性を備えたハイテク新素材の生成技術など、その応用分野は広い。
プラズマは原子レベルで制御ができるため、人間の目では見えない非常に細かい穴を掘る(エッチング)作業を行うことができる。レーザーアブレーションは、固体材料に強力なレーザーを照射することで、固体材料を気化し高密度プラズマを得る技術である。