フグは、山口県下関市が本場として知られるが、実際のところ漁獲量はさほど多くない。福岡県宗像市の漁港では、従来下関に水揚げしていたフグの一部を玄海とらふぐとしてブランド化を目指して売り出した。日本では、加工場の問題もあり、漁獲されたフグの多くが下関や大阪・東京に集中するという傾向がある。最近では水揚げ漁港の側で加工場などの整備を行い、地場の名産品とすべく努力も行われている。
食用にする種としてトラフグ、マフグなどが有名。特にトラフグが高級魚として知られる。詳しくはふぐ料理を参照。
ふぐ料理は、一般的に高級料理として旬の冬場に食べられる。もっとも、近年は養殖により季節を問わず食べる事が可能である。フグを料理用に捌くためには、一般の調理師免許に加えて各都道府県の定める免許や資格が必要となる。ただし、各都道府県によりその対応は異なり、届け出後講習会を受講するだけで資格が与えられる地域があれば、試験によるふぐ調理師免許取得を要する地域もある。また、毒のないフグにおいても調理にあたり資格が必要であるが、資格なしでも調理できるように働きかけがなされている一方で、条例によっては家庭での調理は条例によって罰せられる地域もある。
日本近海においてもふぐは数百種類生息しているが、それぞれによって毒を保有している部位が異なり、また、食用になる部位が全くないものもいる。そのためキノコ類と同様、素人目には判断できない場合が多い。
なお、食用ふぐの7割が京阪神地域で消費されており、特に大阪での消費量は全消費量の6割に達する。
エジプトでもフグは免許を有する人間に由って調理される[3]。 因みにフグを象ったヒエログリフは「不満」を意味する[4]。
ふぐ刺し(てっさ)
ふぐの白子
から揚げ
ふぐちり(ふぐ鍋・てっちり)
卵巣の糠漬け(石川県)
ふぐざく
盗難による悪用防止のため、施錠できる容器に保管して適切に廃棄しなければならないので、一般家庭では設備上の問題から調理は認められていない。同様の理由から、原体のまま小売・問屋から購入する事も原則として認められていない。
文化・その他
食用のほか、各地で本物のふぐを利用したふぐ提灯などが、みやげ物として売られている。
下関や宗像などでは、縁起をかついで「ふぐ」ではなく、「ふく(福)」と呼ぶ。逆に大阪では、「当たると死ぬ」という洒落から「てっぽう(鉄砲)」と呼ぶ。
時代劇などで、フグ毒にあたった者を砂中に埋めて毒抜きをするシーンが見受けられるが、そのようなことをしても毒素の代謝・分解がされることは無い(当時あった民間療法の一種で、迷信)。
体内にフグ毒と呼ばれる強い毒を持つ種類がほとんどである。身を食用とする種でもハラワタには毒があることが多い。
しかし、フグの肝(ハラワタ)は多くの食通を唸らせる美味であり、「フグは食いたし命は惜しし」という言葉があるように、中毒を覚悟してまで食べようとする者もいる。料理評論家の服部幸應はその味を「練乳に似た濃厚な風味。アンコウの肝ほど脂っこくなく、さっぱりしている。あれを捨ててしまうのはもったいない。」と語っている。
フグ毒の成分はテトロドトキシンで、もともと細菌が生産したものが餌となる貝類を通して生物濃縮され、体内に蓄積されたものと考えられている。餌の種類を変えて養殖すると、同じ種であってもフグ毒が少なかったり、全くない場合があることからこのように推定されている。このことから2005年に佐賀県の業者がフグ毒の発生しない養殖法を開発し、フグ肝を食用として提供出来るよう特区申請をしたが、現時点では100%の保証が出来ないと判断され却下されている。
しかし無毒の養殖フグの群れの中に、毒を持つ天然種を放流すると無毒の群れも毒性を帯びることもある。フグ毒についてはまだまだ解明されていない部分が多いのが実情である。
フグはテトロドトキシンに対し高い耐性を持っているため、フグ自体が中毒することはない。(これは自然に蓄積する濃度のテトロドトキシンに耐えられるという意味で、人為的に高濃度のテトロドトキシンを与えれば中毒する。)
フグ毒の毒量は「マウスユニット (MU)」(20グラムのネズミを30分で死亡させる量が1マウスユニット)で表わされる。人間の場合5,000?10,000マウスユニットで致死量に至るが、フグ毒による事故では致死率が凡そ6.8% ⇒[1]。と言われており、他の食中毒よりも圧倒的に致死率が高い。
平成8年から17年の10年間に、全国でふぐによる食中毒は315件発生しており31名が亡くなっている。その多くが、資格を持たない一般人がフグを調理した結果起きている。
フグの毒に対して、解毒剤や血清は開発されておらず、神経毒であるテトロドトキシンによる呼吸困難が収まるまで人工呼吸器をつなげることが唯一の治療法となる。症状としては口や唇に痺れが生じそれが周りへ広がる。最終的には呼吸筋が麻痺し、呼吸困難から呼吸麻痺が起こり死に至る。意識がなくなることはまずない。毒を含んだフグを食べてから症状が出るのは約3時間ほどである。有効な応急措置はまずは毒を吐かせ、呼吸麻痺に陥った場合は気道確保と人工呼吸を行うことである。時代劇における暗殺描写で、食べた者が青酸カリ中毒よろしく吐血するシーンがあるが、これはよりおどろおどろしく見せるための演出であり、そのような症例はない。
石川県の河豚の卵巣の糠漬けなどのように、特殊な調理法により毒素を無毒化できる。しかし、どのような仕組みで分解されるのかは分かっておらず、またテトロドトキシンは300℃以上に加熱しても分解されないので、限られた地域の許可を受けた業者のみが加工できる。
豊臣政権下の時代に行われた朝鮮出兵の際、肥前名護屋城に駐屯していた兵士にふぐ毒中毒死が蔓延した為、豊臣秀吉は全国にふぐ食禁止令を命じた。徳川氏に政権が変わった時代においても、武家では「主家に捧げなければならない命を、己の喰い意地で命を落とした輩」として、当主がふぐ毒で死んだ場合には家名断絶等の厳しい対応がなされたという。