韻母は、介音+主母音+尾音で構成される。部分名としてはそれぞれ韻頭・韻腹・韻尾と呼ばれる。韻腹の主母音は音節の中心となる母音であり、韻尾の尾音は主母音に後続する鼻音や母音(二重母音を構成する)である。韻頭の介音は声母と主母音の間にはいる半母音で中国語には /i/, /u/, /y/ の 3 種がある。介音で表される半母音が子音として語頭に立つ場合、?音では "y", "w" と表記するが、分類上、声母とはせず、声母ゼロの韻母とされている。語頭に介音がきて後に主母音が来る場合、発音上は y は /j/, w は /w/ という完全な半母音音素になる。
セル内の 1 段目には国際音声字母を、2段目には声母がなく韻母だけで構成される形の?音を、3段目には声母と組み合わされる形の?音を示した。また尾音に反り舌音 [?] をとるものがあるが、それについては次項で説明する 。
主母音尾音介音
?/i//u//y/
/a/?[?]
a
-a[i?]
ya
-ia[u?]
wa
-ua
/i/[a?]
ai
-ai [ua?]
wai
-uai
/u/[a?]
ao
-ao[ia?]
yao
-iao
/n/[an]
an
-an[i?n]
yan
-ian[uan]
wan
-uan[y?n]
yuan
-?an 1
/?/[??]
ang
-ang[i??]
yang
-iang[u??]
wang
-uang
/?/?[?]
e
-e[i?]
ye
-ie[u?]
wo
-uo/-o 2[y?]
yue
-?e 1
/i/[e?]
ei
-ei [ue?]
wei
-ui
/u/[??]
ou
-ou[i??]
you
-iu
/n/[?n]
en
-en[in]
yin
-in[u?n]
wen
-un[yn]
yun
-?n 1
/?/[??]
eng
-eng[i??]
ying
-ing[u??]/[??]
weng 3
-ong[y??]
yong
-iong
?[z?]
-i 4[i]
yi
-i[u]
wu
-u[y]
yu
-? 1
"?" は、"j", "q", "x" の後では "u" と表記する。
"uo" は、"b", "p", "m", "f" の後では "o" と表記する。現在は表記どおり "bo", "po", "mo", "fo" は [-o] と発音することが多い。
[u??] は声母の後では [??] に変化するが、?音はこの違いを反映させて綴りを別にしている。
"-i" は "zh", "ch", "sh", "r" や "z", "c", "s" のそのままの舌の構えで出される音を表す。従ってこれらの声母に伴って使われ、単独で発音されない。なおこの母音は、平唇母音である。
韻母に使われる?音は以下の通りである。
単韻母 - a, o, e, i, u, ?, er, (zh)-i, (z)-i
複韻母 - ao, ai, ou, ei, iao, iou, uai, uei, ia, ie, ua, uo, ?e
鼻韻母 - an, en, ian, in, uan, uen, ?an, ?n, ang, ong, eng, iang, iong, ing, uang, ueng
マイクロソフトの中国語 IME をはじめ、多くの?音漢字変換の入力法において、? は v で代用されている。
「而」「二」などは韻尾に反り舌音を含む音 [a?] で、?音では "er" と表記される。この場合に用いる「r」は声母の「r」とは異なる音である。母音の音色は声調によって若干異なる。
また接尾辞 -r (繁体字:兒/ 簡体字:儿)は独立した音節をもたず、接続する語の音節末尾の音を反り舌音 [?] に変化させる。これを r 化(アル化)という。?音は r 化した音節についてその発音変化を個別に表記するような正書法はなく、ただ音節の最後に -r をつけて表記する。そのためもともと反り舌音をもつ「二(?r)」などと r 化した「歌儿(g?r)」などは表記上は同じであるが、韻母の発音はそれぞれ [a?] と [??] で異なることに注意が必要である。
なお国際音声記号で子音ではなくr音性母音として表記することもある。
r 化による発音変化の法則は次のようなものである。1."-a", "-o", "-e", "-u" で終わる音節は、その音にそのまま反り舌音を加える。
2.尾音が "-i", "-n" で終わる音節は、"-i", "-n" を脱落させて主母音に反り舌音を加える。
3.韻尾が "-ng" で終わる音節は、"-ng" を脱落させて主母音を鼻音化させたうえで反り舌音を加える。
4.韻母が "i", "?" だけで構成される時、i, ? を残して [??] を加える。
5."zhi", "chi", "shi", "ri" や "zi", "ci", "si" には声母に [??] を加える。
r 化後の韻母の発音
主母音尾音介音
?/i//u//y/
/a/?[??]
ar
-ar[i??]
yar
-iar[u??]
war
-uar
/i/[??]
air
-air [u??]
wair
-uair
/u/[a??]
aor
-aor[ia??]
yaor
-iaor
/n/[??]
anr
-anr[i??]
yanr
-ianr[u??]
wanr
-uanr[y??]
yuanr
-?anr
/?/[???]
angr
-angr[i???]
yangr
-iangr[u???]
wangr
-uangr
/?/?[??]
er
-er[i??]
yer
-ier[u??]
wor
-uor/-or[y??]
yuer
-?er
/i/[??]
eir
-eir [u??]
weir
-uir
/u/[???]
our
-our[i???]
your
-iur
/n/[??]
enr
-enr[i??]
yinr
-inr[u??]
wenr
-unr[y??]
yunr
-?nr
/?/[???]
engr
-engr[i???]
yingr
-ingr[???]
wengr
-ongr[y???]
yongr
-iongr
?[??]
-ir[i??]
yir
-ir[u?]
wur
-ur[y??]
yur
-?r
中国語には音節内で、音の高さのパターンが異なる声調がある。声調が違えば異なる意味を持つ。4つの基本声調があり、?音では主母音の上に、第一声を表す「?」(マクロン)、第二声を表す「?」(アキュート)、第三声を表す「?」(ハーチェク)、第四声を表す「?」(グレイヴ)の声調符号が付けられている。また声調を失い軽く弱い音となった軽声には声調符号が付けられない。
第二声を表す記号は正確には左下から右上に向かう記号であり、欧米言語で用いられるアキュートアクセント記号とは向きが違うが、コンピュータ上では文字コードは分けられておらず、中国語用フォントではアキュートアクセントを左下から右上に向かう形で表示するようになっている。
第一声:陰平(いんぴょう) 符号は「?」(?, ?, ?, ?, ?, ?)
高→高の発音(5―5)。少し高い声で歌を歌っているつもりで、高く平らに発音する。
第二声:陽平(ようひょう) 符号は「?」(?, ?, ?, ?, ?, ?)
中→高の発音(3―5)。日本語では意外なことを言われて「はぁ?あんた何言ってんの?」という時の「はぁ?」の発音に近い。中くらいの音から一気に高い音に持っていく。
第三声:上声(じょうしょう) 符号は「?」(?, ?, ?, ?, ?, ?)
中→低→中の発音(2―1(-4))。日本語ではがっかりした様子で「あーあ」とつぶやく時の発音に近い。ただ、いつもの会話で第3声が出た時は、最後の「中」の音が省略されることが多い。
第四声:去声(きょしょう) 符号は「?」(?, ?, ?, ?, ?, ?)
高→低の発音(5―1)。