ヒマラヤ山脈の中高度の地域には亜熱帯の森に代わって温帯性混交広葉樹林( ⇒en:temperate broadleaf and mixed forests)がある。 この地域の西部は西ヒマラヤ落葉樹林(Western Himalayan broadleaf forests)と呼ばれ、東部のアッサム州およびアルチャーナルプラデシ州の森は東ヒマラヤ落葉樹林(Eastern Himalayan broadleaf forests)と呼ばれる。 これらの広葉樹林より標高の高い地域には東西ヒマラヤ亜高山帯針葉樹林(Western and Eastern Himalayan subalpine conifer forests)が広がっている。
高山帯(Alpine shrub and grasslands)
森林限界より標高の高い地域には北西ヒマラヤ高山潅木草原帯と西ヒマラヤ高山潅木草原帯、および東ヒマラヤ高山潅木草原帯がある。(Himalayan alpine shrub and meadows)この地域より標高が高くなるとツンドラ地帯となる。この高山草原地帯は絶滅の危機にあるユキヒョウの夏の生息域となっている。ヒマラヤ山脈の最上部は万年雪に覆われている。
ヒマラヤ山脈は地球上で最も若い山脈の一つである。現代のプレートテクトニクス理論によると、ヒマラヤ山脈はインド・オーストラリアプレートとユーラシア・プレートの間の沈み込みで起きた大陸同士の衝突による造山運動から生じた。
衝突はおよそ7000万年前後期白亜紀に始った。そのころ、インド・オーストラリアプレートは15cm/年の速度で北上し、ユーラシア・プレートと衝突した。
約5000万年前、このインド・オーストラリアプレートの速い動きによって海底の堆積層が隆起し、周縁部には火山が発生してインド大陸とユーラシア大陸の間にあったテーチス海を完全に閉ざした。 これらの堆積岩は軽かったので、プレートの下には沈まずにヒマラヤ山脈を形成した。 今もインド・オーストラリアプレートはチベット高地の下で水平に動いており、その動きは高地に更に押し上げている。 また、ミャンマーのアラカン山脈とベンガル湾のアンダマン・ニコバル諸島もこの衝突の結果として形成された。かつて海だった証拠に、高山地帯で貝などの化石が発見される。
今もインド・オーストラリアプレートは67mm/年の速度で動いており、今後1000万年の間でアジア大陸に向って1,500km移動するだろうと考えられている。 この動きのうち約20mm/年の分は、ヒマラヤの南の正面を圧縮することによって吸収される。 この結果として約5mm/年の造山運動が発生し、ヒマラヤ山脈を地質学的に活発にしている。 また、このインド亜大陸の動きにより、この地域は地震の多発地帯となっている。
氷河と河川ブータンの氷河湖航空機から見たヒマラヤ山脈。いたるところ氷河に覆われている。
ヒマラヤ山脈には有名なシアチェン氷河を含む非常に多くの氷河が存在し、その面積は極地を除く地球上では最大である。他に主な氷河としては、ウッタラーンチャル山系のガンゴートリー氷河、ヤムノートリー氷河、カラコルム山系のヌブラ氷河、ビアフォー氷河、バルトロ氷河、シッキム山系のゼム氷河、エベレスト山系のクーンブ氷河などがある。
ヒマラヤ山脈の麓は熱帯気候や亜熱帯気候に属するが、頂上部は万年雪に閉ざされている。これらの万年雪は巨大な2つの河川の水源となっている。
西への流れはインダス盆地に流れ込む。インダス川はその西方水系の中で最も大きな河川である。インダス川はチベットでセンゲ川とガル川の合流地点から始まり、ジェーラム川、チェナーブ川、ビアス川、サトレジ川などの河川と合流、パキスタンを南西方向に横切り、アラビア海に流れ込んでいる。
インダス川方面以外のヒマラヤ山脈の水源の多くはガンジス・ブラマプトラ川流域に流れ、両河川に合流する。ガンジス川はガンゴートリー氷河に流れを発するバギーラティー川を源流とし、アラクナンダ川とヤムナー川と合流したあと、北インドの平原を南東に横切る。
ブラマプトラ川は、西チベットに発するヤルンツァンポ川が、チベットを東に流れ、アッサム平野を西に流れていく。ガンジス川とブラマプトラ川は、バングラデシュで合流し、世界最大のデルタ地形を形成して、ベンガル湾へ流れ出ている。
ヒマラヤ最東部の河川はエーヤワディー川を形成している。エーヤワディー川は東チベットから始まり、ミャンマーを南に縦断、アンダマン海に流れ込む。
サルウィン川、メコン川、揚子江と黄河は、ヒマラヤ山脈とは地質学的に区別されるチベット高原から始まるので、本来はヒマラヤ山脈を水源とする河川ではないと考えられている。しかし一部の地理学者は、ヒマラヤ外縁水系の川と分類している。
近年、ヒマラヤ山脈の全域で顕著な氷河後退現象が観測されているが、これは世界的な気候変動の結果であると考えられている。 この現象の長期的な影響は未知であるが、乾季の生活を氷河を水源とする北インドの河川に頼る数億の人々に甚大な影響を与えると見られている。
ヒマラヤ山脈には何百もの湖が点在している。大部分の湖は5000m未満の高度に存在し、高度が上がるとともに湖のサイズは小さくなっていく。 最大の湖はインドとチベットの境界に横たわるパンゴン湖で、4600mの高度に位置し、幅8km、長さは134kmに及ぶ。 高い標高を持つ湖沼のなかで顕著なものとしては、標高5,148mにある北シッキムのグルドンマル湖がある。そのほかの主な湖沼としてはシッキム州とインドシナの境界にあるツォンモ湖などがある。
氷河活動に起因する湖沼はタルン( ⇒en:tarns)と呼ばる。タルンは5500m以上のヒマラヤ山脈の上部で見つかる。
ヒマラヤ山脈はインド亜大陸とチベット高地の気候に重大な影響を及ぼしている。 ヒマラヤ山脈は非常に冷たく乾燥した北極風がインド亜大陸に南に吹きつけるのを防ぎ、その結果、南アジアを他の大陸の同じ緯度の地域より温暖にしている。
また、ヒマラヤ山脈は北上するモンスーンを遮断し、テライ・ベルトで大量の降雨を発生させる原因となっている。 その結果、中央アジアは降雨量が少なくなり、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠を形成する原因となっている。
冬季になるとイランの方から激しい気流が発生するが、ヒマラヤ山脈はその気流を遮断、その結果カシミール地方に降雪ともバンジャブ州と北インドに降雨をもたらす。
ヒマラヤ山脈は冬季の冷たい北風を遮るが、その一部がブラマプトラ川流域に流れ込み、インド北東部とバングラデシュの温度を下げる。この風が原因となり、これらの地方に冬季の間、北東モンスーンが起きる。
ヒマラヤの主な地上交通シッキムのユメソン(Yumesongdong)ルート。