ヒト
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寿命

理想的な環境(非常に長生きすることに適したヒトが、各種の寿命を縮める要因のない状態)でのヒトの最大寿命はおよそ120歳程度と想像される(最も長く生きた個体の寿命が122歳であったことが確認されている)。だが、実際には様々の要因により寿命はそれよりも短くなる。雌の方が5年から10年程度平均寿命が長くなるようである。かつてヒトの平均寿命ははるかに短く、30?50年程度であった。現在でも、栄養条件の劣悪な環境下(主に発展途上国及び未開社会)では、30?50年程度であることが多い。

そして、生殖可能な年齢を過ぎた後の生理的寿命が非常に長い。2003年時点で最も平均寿命の長い国家(日本)では女性の平均寿命が85.4歳、男性の平均寿命が78.4歳である。右図にあるように地域によって平均寿命の値が大きく異なるのは乳児死亡率の違いが最大の原因である。(⇒寿命#人間の場合


生殖可能期以降の寿命が長いことの理由については、いくつかの説がある。たとえば、「お祖母さんのお陰」だという説では、母親が自分の経験に基づいて娘の子育ての手伝いを行なうことが子育ての成功率を大きく上げるためであろうとする。(おばあさん仮説)


習性

ヒトの習性は、高度に発達した知能や集団内の情報伝達の発達によって、それ以外のすべての動物とは非常に異なった様相を見せる。しかし、このような記述を行う場合には、それがまたやっかいな面でもある。


文化との関連

一般に動物の行動や習性は本能行動、学習行動、知能行動の3つに分けられる。本能行動は遺伝子レベルで確定され、生得的に身についているもので、昆虫などによく発達している。学習行動は、それぞれの個体が経験によって後天的に身につけるものである。知能行動は、これに似るが、そのような学習を基礎に、初めての状況下で、推測などの判断をもとに行われるものである。ヒトにおいては、本能行動はほとんど見られず、学習行動と知能行動が発達していると言える。

しかしながら、現実のヒトの行動がそれらによるものであるかと言えば、必ずしもそうではない。日常に見られる行動の多くは、個人が経験で獲得したものでも、推測などによって判断したものでもなく、その個体の属する集団に伝統的に継承されたものである。各々の個体は、親や周囲の他個体から見習う(模倣)、あるいは積極的に指示される(教育)ことで身につける。そのような点で、上記3つのどれとも異なる部分がある。これを何と呼ぶかは難しいが、広い意味では「文化」という語をこれに当てる考えもある。通常は文化と言えば、言語芸術、技術、あるいは社会的なものなどの部分を指す場合が多いが、その発達や伝達の形式だけを取れば、共通するものである。

このような広い意味で文化を考えれば、(ヒト以外の)サルなどの動物にもその片鱗が見られる。しかし、ヒトの場合には、文化的に決定される部分が非常に大きい。その内容は地理的にまとまった集団によってある程度までは共通する。このまとまりを民族というが、その中にさらに多少とも異質な小集団が見られることも多い。また、歴史的経過の中で、いくつもの民族が入り乱れた状態になる場合もあり、その様相はこれまた多彩である。しかし、いずれにせよ、文化はその民族ごとに多少とも固有であり、情報や意思の伝達に使われる言語や身振り手振りまでもが異なるので、意志疎通すら困難な場合もある。その関わりがあまりに深く、多岐にわたるため、どこまでが文化の影響であるかを判断するのが困難な場合が多い。いわゆるジェンダー論などはその例である。とはいえどのような文化にも個々の差異を超えたヒトととしての普遍性が存在するのも明白な事実である。

以下、ヒトの習性に関する大まかな項目を説明するにあたり、文化の違いによって異なる部分に触れない程度でまとめたい。


食性

雑食性果実、植物の、大型動物から魚介類までと幅広いものを利用する。これは、高い知能や文化的な情報の蓄積によるところが大きい。特に、動物性の食料の利用はサル類の中では抜きん出ている。しかし、多くのサル類に見られるような昆虫などの小動物を利用することは多くなく、より大型の哺乳類を捕獲すること(狩猟)、及び魚介類を利用すること()が目立つ。特に大型の哺乳類も、集団で狩りをすることによって捕らえることが可能であった点は注目に値する。

いつから始まったのかは定かではないが、かなり古い時代から、野生のものを採るのではなく、食料を自ら育てること、つまり農耕牧畜が多くの地域で行われるようになり、各地で地域に合ったさまざまな形の農業が発達した。現在では、食料は大部分がこれで賄われている。

また、調理の技術は当初においては摂食可能な対象の範囲を大きく広げた。例えばヒトは結晶状態のデンプンを消化できないが、加熱調理によって結晶を破壊し、などの自然状態では摂取不可能なものも摂取可能にした。後には単なる食料ではなく料理という形式を産んだ。料理においては一部を除いて食物に味の付加が行われるが、これはヒトの発汗機能が他の動物に比べて非常によく発達しているため、大量の塩分の摂取を必要としているからである。


住居衣服の使用

人類は古くよりそれなりのをつくっていたようである。洞窟の入り口付近を生活の場にしていた例は、北京原人などに見られ、長期にわたってたき火を維持していた様子も見られる。その他、動物のや皮で作られたテント様の住居なども知られている。いずれにせよ、何らかの屋根のある部屋を作るなり、既存のものを利用するなりしていたようである。これがいわゆる家、住居の始まりになるものと思われる。

また、これは住居以上に歴史をたどりにくいが、体を何かで覆うことも、ほとんどの地域で見られる。いわゆる衣服である。これを、人の体が毛で覆われていないことから発達したと見るか、衣服の発達によって毛がなくなったと見るかは、判断が分かれる。しかし、それがかなり古い時代に遡ることは、衣服に付くシラミがコロモジラミとして頭髪に付くアタマジラミとの間に亜種のレベルでの種分化を生じていることからも想像される。また、その発達がヒトの分布拡大に役立ったのは間違いあるまい。

現在の世界では、いわゆる裸族と言われ、衣服を着用しないように言われる民族もあるが、全く何一つ着用しない例はまずない。体に着用するものには、体を保護することを目的にするものと、装飾を目的にするものとがあるが、両方を兼ねる場合も多い。体を保護する目的のものでは、まず腰回りに着用するのが最低限であるようである。装飾にはさまざまなものがあるが、手首や首など、細いところに巻くものがよく見られる。装飾目的としては、体に直接に描き込んだり(入れ墨)穴をあける(ピアス)などの加工も多くの民族に見られる。特に、頭髪の上に何かを突出させる形の装飾は、非常に多くの民族に見られる。


道具の使用

上記のようなものを含めて、生活のためにさまざまなものを加工して利用する、広く言えば道具を使うことが、ヒトの特徴のひとつでもある。道具の使用は、長くヒトだけの特徴と言われてきた。現在では、(ヒト以外の)サルなどにも若干の例が知られる。しかし、道具を作るための道具、いわゆる二次的道具の使用は、ヒトだけに知られている。また、の使用もヒトの文化の発達を支える重要な要素である。


社会生活

一般には集団をつくって生活している。雌雄成体と子供からなる集団(家族)を構成単位とし、それが集まった集団を構成するのが基本だが、必ずしもこの形になるとは限らない。集団(社会)の構造にもさまざまなものがある。


情報伝達

ヒトの集団内における情報伝達は、身振り手振りや表情によるものと、言語を介したものがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki