常温では無色の液体で非揮発性。わずかに臭う。水には不溶。第3種有機溶剤で引火性があり危険物である。化学的に安定な物質で、通常の条件では酸化を受けない。乳化しやすくのびや浸透性に優れる。純度は紫外光の吸光度により計測される。
流動パラフィンには多くの呼び方がある。ヌジョール (nujol)、ミネラルスピリット、ミネラルターペン、ホワイトスピリット、ホワイト油、白色鉱油、石油スピリット、ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、水パラフィン、ミネラルオイル、ミネラルオイルホワイト、医療用パラフィン (medicinal paraffin)、パラフィンファックス、saxol、USP mineral oil、adepsine oil、Albolene、glymolなど。
工業用ガソリンの一種、塗料の材料として用いられる。油性の汚れを落とす効果にすぐれるため化粧品にも利用される。医薬品添加物および食品添加物に使用されるのも流動パラフィンである。食品衛生法上では、「パンのデバイダー油(離型剤)」としてのみ使用が許可されている。下剤にも使用される。
詳細はアルカン#所在・製法を参照
パラフィンは、石油に含まれ、分留によって取り出される。重油、アスファルトも炭化水素を含み、広義でのパラフィン類に含まれるが、これらは精製度合いが低くカーボンやその他の挟雑物を含有してため黒褐色を有する。また、蒸留精製する温度の違いで灯油などの燃料、流動パラフィンと石油ワックスは作り分けられる。
石油について、より沸点の低い留分の説明も記事: アルカン#所在・製法 に詳しい。
ノルマルパラフィンの2004年度日本国内生産量は179,732t、工業消費量は44,231tである。
オイルライターや白金触媒型懐炉の燃料として使われる。
食品衛生試験に合格したものは固形食品を直(じか)に包む事が許可される。
日本では、食品衛生法上、石油系ワックスに関する品質規制はない。(『流動パラフィンは化学的合成品ではないので、食品衛生法第六条に基づく指定の必要がない』とされている)。食品包装全般に使用されるワックスの品質をワックス業界が自ら管理することを目的に日本ワックス工業会が基準を制定している。
食品工場で使用される機械(たとえば製パン機では生地を分割する分割機)の潤滑油として従来、流動パラフィン(鉱物性オイル)が使用されていた。しかし、流動パラフィンの発がん性が議論されるようになり、現在では植物性オイルの使用が推奨されている。1970年からパンの製造過程におけるパン生地の自動分割機による分割の際、および焙焼(ばいしょう)する際の離型の目的に限ってのみ使用が許されており、パンへの残存量が0.10%未満だができるだけ少なくすることが望ましいと規定されている。 ⇒厚生労働省行政情報昭和45年12月7日環食化第102号パンの離型剤でも植物性オイルが使用されるようになってきているが、しかしながら、流動パラフィンは耐熱性があり酸化されにくいため、まだ多く使用されている。日本においては、食品機械用潤滑剤の安全性に関する規格・規準はない。しかしBSE問題等で食の安全性の観点が重視されているため、食品業界では、製品の安全性について、HACCP等の手法も取り入れ、さまざまな観点で見直しが行われている。 ⇒食品機械用潤滑剤の参考情報-食品機械用潤滑剤ガイド
食用として認められたパラフィンは、飴、キャンディーの光沢をだす目的で使用されることがある。食用ではあるが消化されずに排出される。食用でないパラフィンには一般には油などの不純物が含まれており通常有害である。
日本では、食品添加物として認められているのは、食品の製造加工に必要なものとしてのその他項目としての流動パラフィンのみ。光沢剤その他では使用が認められていない。
イソパラフィンが用いられる。これは水素添加ポリブテンともいわれる。分子量の小さなものは、軽質流動イソパラフィンとして一般的な油剤。高分子品は、粘度の高い油であり、接着性、艶出し効果があり、口紅等のメイクアップ製品の艶出し剤として使われる。
昭和40年代前半、1960年代後半、数社の企業によりノルマルパラフィンから「石油たんぱく」が作り出され、コイ等で飼育実験がなされたが、消費者団体等から安全性への疑問から反対運動が起こり開発は中止している。世界的には、飼料や人の食料としてすでに実用に供されている。 ⇒[1] ⇒[2]
食品
有機農産物加工食品の日本農林規格 (平成12年1月20日農林水産省告示第60号)や、酒類における有機等の表示基準(平成12年12月26日国税庁告示第7号)では、病害虫の防除に使用する薬剤の一つとしてパラフィンを挙げ、展着剤として使用する場合に限るとしている。
英国、南アフリカでは、灯油を指してパラフィンオイル (Paraffin oil)、または単にパラフィンと呼ぶ。一方、固形パラフィンはパラフィンワックス (Paraffin wax)とよばれる。
日本での灯油は炭素数 9?18のもの。炭素数 17以上は残油と呼び、そのうちパラフィンは炭素数20以上のものをいう。英国では炭素数 9?18のものをParaffin oilと呼んでいる。
用途
燃料
ろうそくの原料
蝋紙の原料
着火剤
火吹き
ランプ、キャンプ用ストーブの燃料
ハイブリッドロケットの推進剤(イソパラフィン系の高オクタン価ガソリン)
固定
マッチ軸木の含浸材
クレヨン
組織学の標本作成での包埋材
歯科用技工・診療 (JIS T6502)
病理学的検査におけるパラフィン溶融器・パラフィン伸展器
食品添加物等としての固着剤
鮮度保持
缶、瓶の密封
せっけんの包み紙
皮膜剤
チョコレートお菓子や野菜や果物の天然皮膜剤(流動パラフィン・パラフィンワックス)
医薬品のコーティング(流動パラフィン・パラフィンワックス)
(中国産)椎茸の皮膜剤
密封・遮蔽・耐熱保温・撥水防水
単体で一般にパラフィン紙(グラシン紙、油紙)といわれるもの
防湿紙、防水紙、布の防水加工(昔は本のカバーなどでも利用された)
美容:パラフィンパックで使用する密封材
経皮投薬時の密封材
クッキングシートの素材:耐熱、遮蔽
中性子遮蔽
レザー等の撥水防水:水パラフィン利用
理学療法におけるパラフィン浴(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器(平成17年厚生労働省告示第112号)別表の 132)