猫は逆さにして高いところから落としても必ず足から落ちる行動が見られる。猫は平衡感覚をつかさどる三半規管の能力とは別に、小脳の視覚による水平線検出能力が優れており、これによってどんなに振り回されて三半規管が失調した状態でも、空中で正しく上下を判断して体をひねり、うまく足から着地する。
ただし、着地姿勢をとるためには、ある程度の高さ(時間的余裕)が必要であるから、動物愛護の観点からも、むやみに猫を投げ上げるなどして、この能力を試すようなことをしてはいけない。
被毛は品種により、さまざまな毛色や毛質のパターンをもつ。同品種でも多様な色彩や模様をもつ珍しい動物である。毛色や毛質の決定には、遺伝子の働きに因るところが大きいことがわかっているが、遺伝子がどのように活性化、不活性化するかなど、不明な点も多い。毛色は子宮内の状態にも影響を受けるともいわれる。例えば、世界初のクローンネコ「CC」の毛色は、遺伝子が全く同じにもかかわらず、クローン親のものと異なっていることが知られている。
毛色を司る遺伝子は、すでにいくつか解明されており、色を薄めるダイリュート遺伝子や、被毛に縞模様を描くタビー遺伝子などの存在が知られている。品種によっては、突然変異体の遺伝子や、伴性遺伝子の存在もあることから、生まれてくる子猫の毛色・毛質等をおおよそ判定することは可能であるが、不明な部分も多い。
以下に、現在解明されている主要な遺伝子を例示する。
優性
遺伝子役割対立(劣性)
遺伝子役割
Aアグーティaノン・アグーティ(単色)
B黒b茶色(チョコレート)
bl薄茶(シナモン)
C単色(濃淡なし)cbセピア(バーミーズ)
csポインテッド(シャム模様)
D濃暗色d淡明色(ダイリュート)
I抑圧(銀化)i基底に及ぶ色素沈着
L短毛l長毛
Oオレンジ(または伴性遺伝の赤)o黒味を帯びた非赤色
S白の斑sソリッドカラー(体全体)
T縞(マッカレルタビー)taアビシニアン(ティックドタビー)
tbブロッチド(クラシックタビー)
W体全体が白w白以外
これらの遺伝子の組み合わせによって、複雑な模様を形作る。これら以外にも毛色を決定する遺伝子もあり、解明されていない遺伝子も多数存在する。
O遺伝子及び対立遺伝子o遺伝子はX染色体上にあることがわかっており、このため両方の遺伝子を持つネコは通常メスであり、オスでは染色体異常(X染色体過剰、ヒトで言うクラインフェルター症候群相当)またはモザイク染色体のネコだけである。両方の遺伝子を持つネコはトーティシェル(いわゆるサビネコ)あるいはトーティ・アンド・ホワイト(いわゆる三毛猫)と呼ばれるが、これらのネコにオスネコが珍しいのは、染色体異常のネコが珍しいためである。
ノン・アグーティ遺伝子はタビー遺伝子よりも上位であるため、ノン・アグーティを二つ (aa) 持つネコ(黒猫など)には通常縞模様は見られない。タビー遺伝子を持つネコには、子ネコの時などにうっすらと縞模様が現れることがあり、ゴースト・マーキングと言われる。
cs遺伝子(サイアミーズ)は独特の遺伝子で、本来は色素の出現を抑える役割を持つが、温度が低いとその働きが抑制される。そのため、これを持つネコは温度の低い体の末端部(鼻、耳、足先など)のみに色素が出現し、シャムネコのようなポイント模様が現れる。温度が低い環境でも色素が出現し、色が濃くなる。
ホワイトの遺伝子 (W) はすべての色に対して優性であるため、これを持つネコは他の遺伝子にかかわらず、白ネコになる。
顔の大きさの割りに、かなり大きな目を持っている。他の動物における子どもの目の大きさの比率に近く、これがネコを「可愛い」と思わせる一因にもなっている。視覚については、とくに対象の動きをとらえることを得意とする。動かないものやゆっくりとした動きのものを捉えるのはあまり得意でない。明視距離はおおよそ2 - 6mといわれ、これより距離が短いものや、長いものはあまりよく見えないと言われる。20m以内のものであれば、じっと見ることによって距離感をかなり正確に測ることができる。
瞳孔は、人間と違い縦に細長くなっている。瞬時に瞳孔の大きさを変える事に有利と見られている。野生状態で草むらのような縦長の視界で視覚を働かせるのに有利ともされる。瞳孔は調整の範囲が広く、明るいところでは細長く、暗いところでは目一杯開いて光の入る量を多くする。暗いところでの視力は良い。時計という物そのものがなかった時代、猫の目の瞳孔の広さは時間帯によって変わるため、忍者が概略の現在時刻を知るのに活用したともいわれている。時間が真昼に近づけば近づくほど瞳孔の広さは狭くなり、逆に真夜中に近づくほど広くなる。
目には、他の多くの夜行性動物と同様に輝板と呼ばれる層が網膜の下にある。この層が光を反射するため、入射光と反射光の両方の光が網膜を通過することになり、わずかな光でも物を見る事ができる。この反射光のため、暗所で観察者側から照明を当てたとき目が光って見えることがある。これと同様の現象はシカなどの野生動物のライトセンサス(ライトで照らして光って見えた目で個体数を数える)にも利用されている。なお、「ネコの目が光を増幅する原理は暗視鏡に活用されている」と言われることがあるが、実際の暗視装置ではマイクロチャネルプレート( ⇒en:Microchannel plate detector)で電気的に増幅している。色については、光の三原色のうち青と緑を認識できるが、赤は認識できないといわれている。
ネコが夜間に車に轢かれるのは、車のライトを見てしまってショックで動きが止まるせいとも言われている。夜でもよく見えるネコの目は非常に敏感で、ライトなどの強烈な光に弱く、真っ暗闇で突然フラッシュ撮影をしたりすると失明の危険がある。
目の色オッドアイのネコ(右) 左目が暗色、右目が青味がかった白
虹彩が大きな割合を占めており、人間で言う「白目」(球結膜)は通常見られない。ネコの目の色、といった場合、虹彩の色を指す。目の色は、色の濃淡などの違いがあるものの、おおむね以下の4種類に分けられる。
カッパー(銅)
ヘーゼル(薄茶)
緑
青
青い目は白ネコとシャム系のネコ(ポイントのあるネコ)に多く、白ネコの場合は高い割合で聴覚障害をもっている。白ネコの場合はオッドアイといわれる、左右の目の色が違う場合も多い。この場合、ブルーの目の側の耳に聴覚障害を持つといわれる。シャム系のネコの場合、立体視力に問題がある場合があるが、品種改良の結果、このようなネコは多くない。
これらの目の色の違いは、虹彩におけるメラニン色素の量で決まり、色素が多い順にカッパー、ヘーゼル、緑、青となる。人間など他の哺乳類の目でも同様である。色素の量の違いは、元々生息していた地域の日光の量の違いに由来するといわれる(日光量が多い地域では色素が多くなる)が、交雑の結果、現在では地域による違いはほとんどなくなっている。シャムネコのブルーの目は北アジア由来といわれ、熱帯のタイ原産のシャムネコであるが、先祖の目の色に由来するらしい。
生まれて間もない子ネコの場合、虹彩に色素が沈着していない場合が多く、青目に見えることが多い。これを「キトゥン・ブルー」(Kitten Blue、「子猫の青」の意)という。生後7週間くらいから虹彩に色素がつき始め、徐々に本来の目の色になっていく。