長年、各国共産党は、自党の指導に従わない共産主義者を、トロツキーの思想の影響下にあるなしとは関係なく「トロツキスト」と呼んで非難していた。「トロツキスト」とは、共産党にとって最悪の裏切り者の代名詞であり、スターリンが1936年に開始した大粛清時の定義「ソ連邦の破壊を目論むトロツキーを頭目とする反革命分子で帝国主義の手先の群れ」「ファシストの第五列」をそのまま踏襲し、「左翼を装った挑発者」「スパイ反革命集団」を意味していた。すなわち、共産党とは別の立場にある共産主義思想・およびそれを信奉する者全般を指したレッテルとして「トロツキズム」「トロツキスト」と総称していた。
例としては、スペイン内戦時に独自の反ファシスト民兵を組織していたマルクス主義統一労働者党(POUM)に対するコミンテルンおよびスペイン共産党の「トロツキスト」という非難が挙げられる。POUMは指導者のアンドレス・ニンがトロツキーの秘書を務めたことがあるが、トロツキーの指導する国際的な左翼反対派の運動(のちに第四インターナショナルを形成する)とは一線を画していた(トロツキーもPOUMを「中間主義」と批判していた)。にも拘らず、POUMは「トロツキスト」と規定され、のちに「ファシストの手先」とされ共和国政府およびスペインに潜入していたソ連の秘密警察に組織ごと抹殺されることになる。
日本においては、日本共産党は60年安保闘争時の、決してトロツキーの思想の影響下にあったわけではなかった共産主義者同盟および全学連を「極左冒険主義のトロツキスト集団」と口をきわめて非難した。あるいは、「トロツキズムを乗り越えた新しい体系=反スタ、反純トロ」を標榜する革マル派、中核派、はてはレーニン主義すら否定する社青同解放派まで、一括りに「トロツキスト」と規定していた。1987年頃に不破哲三が著作『スターリンと大国主義』において、「ロシア革命におけるトロツキーの役割」を一定認める見解を発表。新左翼党派を「トロツキスト」と呼称することを公式には取りやめるが、現在でも主に高齢・古参の党員などは新左翼諸党派を一括りに「トロツキスト」「トロ」などと軽蔑を込めて指す者も多い。若手党員や民青同盟員にも稀に「トロ」などと口にする者もいるが、基本的には現在これらの蔑視用語はニセ「左翼」暴力集団(口語で略するときは「ニセサヨク」)に取って代わられている。
アメリカのトロツキスト・グループから、「ネオコン」と呼ばれる現在のアメリカの政治に影響力を及ぼしている新保守主義が生まれているという説がある。この点をもって、トロツキズムとネオコンの根は同一であると説く論者も存在する( ⇒『田原牧さんに聞く ネオコンの出自はトロツキスト 米国の原理の下今でも世界革命目指している』 senki 2003-7-25)。しかし、ネオコンとトロツキズムとの「思想的連続性」という説についてはトロツキスト側から反論もなされている( ⇒『シャハトマン派とアメリカ知識人 山本ひろし』 トロツキー研究 第44号)。
関連項目
永続革命論
人民戦線
第四インターナショナル
エルネスト・マンデル
日本革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル日本支部)
スターリニズム
反スターリン主義
新保守主義(ネオコン)
彭述之
タ・トゥ・タオ
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更新日時:2008年10月6日(月)05:19
取得日時:2008/10/07 09:56