ディベート
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海外における競技ディベート


英国式の競技ディベート

英国下院議会(Parliament)でのディベートを範型としていることから、一般にパーラメンタリーディベート(Parliamentary Debate)と総称される。このスタイルでは、議論の内容だけでなく伝達方法や議論方法などを含んで審査が行われるのが特徴である。


ブリティッシュ・スタイル(British Parliamentary Style)

1820年代から英国で見られる伝統的なスタイル。世界的に広く普及しており、世界大会(World Universities Debating Championship)も存在する。論題は、試合毎に異なるものが設定され、試合直前に発表されるため、選手は即興に近い形で議論することとなる。政府側(Government, Proposition)・野党側(Opposition)ともに、立論[42]・反駁[43]が各2回。質疑応答[44]は相手の立論中に行う。人数は2人2チームの4人制。準備時間は論題発表から試合開始までの15分程度のみ。


アメリカン・スタイル(North American Parliamentary Style)

1980年代から急速な広がりを見せた上記のブリティッシュスタイルが米国に定着したもの。日本にもこのスタイルが導入されている。試合毎に異なる論題が開始直前に発表される点は変わらないが、このスタイルでは証拠資料の引用が明示的に禁止されている。このため、選手はより即興に近い形で議論することとなる。政府側(Government, Proposition)・野党側(Opposition)ともに、立論2回、反駁1回。質疑応答は相手の立論中に行う。人数は2人制。準備時間は論題発表から試合開始までの20分程度のみ。


オーストラリア・アジアスタイル(Australia-Asia Style)

オーストラリアや東南アジアを中心に採られているスタイル。議論の内容については証拠資料を含めて審査される。このため、論題発表から試合開始までの準備時間が長期化されており、短い場合でも30分、長いものでは数週間が与えられる。もっとも、試合進行中の準備時間は与えられていない。また、点数制で審査がなされる。肯定側(Affirmative, Proposition)・否定側(Negative, Opposition)ともに、立論3回、反駁1回。質疑応答は相手の立論中に行う。人数は3人制ないし4人制。


米国式の競技ディベート

米国で独自の発達を遂げた競技ディべートは、一般にはポリシーディベート(Policy Debate)とも呼ばれる[45]。英国式の競技ディベートとは異なり、議論の内容のみに基づいて審査が行われる[46]


リンカーン・ダグラススタイル(Lincoln-Douglas style)

米国の高等学校で採られているスタイル。奴隷制廃止が争われた1858年のリンカーン対ダグラスの連邦上院議員候補討論会にちなんで名づけられた。肯定側は立論・質疑応答が各1回、反駁2回。否定側は立論・質疑応答・反駁ともに各1回だが、反駁の時間が肯定側より長く設定されている。人数は1人制。映画「The Great Debaters」で描かれたのは、1930年代における、このスタイルでの競技ディベートである[47]


NDTスタイル(NDT style)

1947年より開催されている全米ディベート大会(National Debate Tournament)において採られているスタイル。現在では米国東部の大学を中心とした勢力となっている。選手には年間を通して1つの政策論題が与えられるため、事前に膨大な証拠資料を収集し緻密な論理構築をして大会にのぞむ。肯定側・否定側ともに、立論・質疑応答・反駁が各2回。なお、試合進行中の準備時間が与えられており任意に分割して使用できる。人数は2人制。日本の競技ディベート全般に絶大な影響を与えている。


CEDAスタイル(CEDA style)

NDTに対抗して1971年に米国西部で誕生したCEDA(Cross Examination Debate Association)が採用したスタイル。早口、証拠資料の偏重、一般聴衆の無視といったNDTの傾向に異を唱え、質疑応答(Cross Examination)、価値論題を採用した。この確執は、映画「青春!ケンモント大学」でも象徴的に描かれている。もっとも、その後、CEDAに政策論題が、NDTに質疑応答がそれぞれ取り入れられるなど両者の区別は相対化しつつあり、大きな差異はなくなっている。


日本における競技ディベート

日本で行われている英語での競技ディベートは、米国で採られているスタイルに大きく依存している。競技ディベートのスタイルには前述の通り変遷が見られるものの、その時々の米国における支配的な考え方が、ほぼそのまま日本にも導入され大勢を占めてきたと言って良い。現在でも、英国式のパーラメンタリーディベートにしろ、米国式のポリシーディベートにしろ、日本で行われているものと米国で行われているものとの間に大きな相違はない。その意味では、英語での競技ディベートのスタイルは、安定的・継続的なものであったと言えよう。

これに対して、日本語での競技ディベートのスタイルは非常に流動的かつ散発的で、これまで雑多なものが生まれている。1940年代の朝日討論会のスタイルが「朝日式」、1950年代に当時の米国オレゴン大学から導入されたスタイルが「オレゴン式」などと呼ばれた[48]。また、1980年代以降は全関東学生雄弁連盟加盟の弁論部主催大会で独自のスタイルが成立、これに対抗して1990年代には慶應義塾大学開智会主催大会や、産経新聞主催のザ・ディベートアカデミーなどで独自のスタイルが試行された。

近年では、全国中学・高校ディベート選手権において、「メリット・デメリット比較方式」と呼ばれるスタイルが成立している。肯定側・否定側ともに、立論・質疑応答が各1回、反駁が2回、準備時間が立論・尋問後に1分、反駁後に2分。人数は4人制。NDTスタイルを基礎にしているが、様々な教育上の配慮から議論に強い制約が掛けられ単純化されている。このスタイルは、学校教育の現場に決定的な影響を与えるとともに、日本語ディベートサークルにも影響を与えた。


競技ディベートを描いた映画

青春!ケンモント大学 - Listen to me(1989) [49]

The Great Debaters(2007) ※日本未公開 [50]


脚注 / 出典

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^ 新村出編『広辞苑(第6版)』岩波書店、2008年。広辞苑は、「ディベート」については、ほぼ正確な定義をしているが、「討論」を「debate」の訳語としながら「ディスカッション」を「討論」と同視するなど、一般の語法の混乱ぶりが反映している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki