公務執行型テロリズムが過剰暴力や非合法活動の正当化に使われている(テロ撲滅のためには多少の付随的な犠牲が出るのはやむを得ないという主張)との批判もある。具体的には公務執行型テロリズムに伴う一般市民への誤射・誤爆などである。
またパレスチナ人のインティファーダ(対占領抵抗運動)へのイスラエル軍の攻撃、北部イラク・クルド人自治区のクルド人へのトルコの攻撃、バスク地方及びETAへのスペインの態度、チェチェン共和国独立派へのロシアの態度もカウンターテロリズムを用いた過剰暴力の正当化、もしくはカウンターテロリズムを大義名分にした体制側テロリズム・公務執行型テロリズムの例とされることがある[13]。
逆に、体制を攻撃するテロリスト側が、良心的・人道的な国際世論を利用し、自身の正当化を図るケースもある。「体制側の『テロリスト』というレッテル張りによって、我々は不当に弾圧されている。」という論理である。一般に複数の組織が政治的に敵対関係にある場合、自身の正当化や政治宣伝はどちらの側からもおこなわれる。
プロパガンダとしての「テロリズム」
一般的に、テロリズムは「非難される行為」と位置づけられる。また同時に、テロリズムは「周知されることで恐怖心を呼び起こすもの」である。この点において狭義の意味での暗殺とは異なる。直接の攻撃対象以外である大衆を操作・支配する目的で無差別に、あるいは象徴的な人物を攻撃する手段は、強い道徳的・倫理的非難の対象となる。
そのため、「テロリズム」という言葉の持つ、強い反道徳性・反倫理性を活用するかたちで、「自らとは異なる立場に立つ者のアピールや実力行使」に対して、「それはテロリズムである」というレッテル(ラベル)を貼るという方法で、非難を行うという方法論・戦術がある(プロパガンダ)。この非難の対象とされるものには、しばしば政治的アピールや非暴力直接行動などが含まれる。歴史的にも労働運動やマハトマ・ガンディーの非暴力不服従運動をイギリス政府はテロリズムと位置づけた。
しかしながら、ある行動が、利害が対立する者からの「テロリズム呼ばわり」に基づいてテロリズムになるわけではない。利害対立者の行動をテロリズム呼ばわりするというのは、単に言語上の修辞(レトリック)である可能性があり、その行動がテロリズムに分類されるべきものであるかどうかを決定するものではないということには注意する必要がある。しばしば「利害対立者からのテロリズム呼ばわり」は、テロリズム呼ばわりした者とテロリズム呼ばわりされた者との不仲の存在証明にすぎない。
備考^ この中核概念については、テロ対策を考える会『[テロ対策]入門』(亜紀書房、2006年)19項で述べられたものである。
^ 里渡龍己『テロリズムとは何か』(文藝春秋、平成13年)50項
^ ジャン・フランソワ・ゲイロー、デイヴィッド・セナ著、私市正年訳『テロリズム 歴史・類型・対策法』(平河工業社、2008年)10項
^ ノーム・チョムスキーによれば、アメリカの公式文書によるテロリズムの定義に従えば、「アメリカが1985年にベイルートで1人の聖職者を暗殺すべくモスクの外にトラックに仕掛けた爆弾を設置し、80名を殺し、250名に怪我を負わせた」行為や「1980年代のニカラグアに対するアメリカの攻撃で(ニカラグアを)壊滅状態に陥れた」のは間違いなくテロである、と主張している。(2001年12月2日付毎日新聞)(直接の引用:『国際政治における「危機」(Crisis)の概念』波多野祐造 白鴎大学論集16巻2号 注記3 ⇒[1])
^ 海外テロ組織
マドレーヌ・K・オルブライト国務長官による指定
対テロ調整事務所発表
1999年10月8日
指定のための3つの条件
その組織は外国になければならない。
その組織は、移民国際法第212条(a)(3)(B)に定義されているテロ活動に携わっていなければならない。
その組織の活動は、合衆国国民の安全あるいは合衆国の国家機密(国防、国際関係、経済的利害関係)を脅かすものでなければならない。
⇒http://hanran.tripod.com/terro/fto_1999.html
^ 「アナーキストのテロに揺れた世紀末」リック・コールサート(ル・モンド・ディプロマティーク) ⇒[2]
^ テロリズムに関する「人質モデル」について 富田与(四日市大学論集) ⇒[3]
^ テロリズムに関する「人質モデル」について 富田与(四日市大学論集) ⇒[4]P.169
^ ⇒「警察白書のあらまし―官報資料版 平成16年1月14日―」
^ 財務省 ⇒[5]
^ アメリカにおけるテロリズム対応の論理 土井靖美(憲法論叢)P.43
^ 「テロリズムとその対策―国際社会の取組み」清水隆雄(『外国の立法』国立国会図書館調査及び立法考査局2006.5) ⇒[6] V テロリズム対策 1 アンチテロリズムとカウンターテロリズム
^ イスラエルの人権団体「ベツェレム」の調査では、2006年中のパレスチナとイスラエルの犠牲者数の比率は660:23。パトリック・オコナーによると、2000年以来の累計では39:10であった。このような調査結果から、「イスラエルの武力行使は過剰で非人道的である」という批判がなされる
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