DVD等のパッケージ化の際に、下記のような変更が行われるのはテレビアニメでは比較的目立つが、特に深夜アニメやUHFアニメなどの深夜帯放送作品の場合は主に
予算や制作スケジュールが厳しいため、放送時の映像は十分な品質に達していないことが少なくない
お色気や流血など刺激の強い表現をとろうとするものの、放送では規制されることが多い
パッケージの売り上げが主な収益であるため、付加価値を高めて購買意欲を刺激する必要がある
といった事情があるため、このような傾向が顕著である。
差異の代表例
放送時に品質が不十分であった映像の修正(リテイク)
放送局による表現規制を制作時本来のものに戻す
全く新規の映像の追加収録
番外編・後日談・短編アニメ(パロディ色が強いものが多い)など、本編からやや離れた内容のものを収録する
本編前半の途中の回を放送せず、パッケージのみに収録する
本編の結末の部分を放送せず、パッケージのみに収録する
アニメ本編とは直接無関係の、キャストやスタッフのトークなどの映像や音声を追加収録(本編とは別に特典ディスクとして同梱する例も多い)
注記
1.のケースは、放送本数増加に合わせて放送分の制作スケジュールが破綻かそれに近い状態になった例が多発した際に急増している。また、クレジットやテロップが修正されるのもこの範疇に含めることができる。
2.のケースは、放送局側からの規制撤廃や制作会社側の営業戦略などにより、主に「お色気シーン」を放送分に追加挿入もしくは放送局の規制に合わせたものを制作意図本来のものに戻すものである。放送分だけを視聴していても内容の理解には支障が無いが、「物足りない」と評される例はある。また、その追加もしくは差し替え部分が視聴者から「蛇足」と評価される例もある。
特殊な例として、一部のシーンを各種衛星放送も含む放送地域別にそれぞれ別バージョンで放送される作品もあり[59]、この場合は映像パッケージ版に全バージョンが収録されている。
TBSやその系列局制作の深夜アニメの多くは、制作時には16:9ビスタサイズの作品も地上波放送時は4:3サイズで左右をカットして放送する例が多く(BS-iで放送時はフルサイズ)[60]、レンタル版ではそのままでパッケージ版でフルサイズ収録する例が多い。
表現の規制が解除されるのは映像だけとは限らない。『ハヤテのごとく!』のDVD版ではテレビ放送時に入れられていた「ピー音」を解除した音声が別音声として収録されている。
3の各ケース
3.1.のケースは、従来のテレビアニメでも行われてきた「テレビで人気が出たら続編や番外編をOVAや劇場版で制作する」という手法の延長線上にあるものといえ、パッケージを購入しない視聴者にとっても比較的抵抗が少ない。
3.2.のケースは、深夜アニメの一般化以降見られるようになったもので、放送だけを視聴していても内容の理解には支障がないが、パッケージを購入して未放送回を視聴することにより背景や人間関係がより深く理解できるといった趣旨となっている。とはいえ、本編の一部を放送しないという手法に対しては不満の声もある。なお、未放送回の存在は事前にウェブサイトなどで告知されていることが多い。
3.3.のケースは、特に2003年?2004年のフジテレビや近年のテレビ朝日の深夜アニメで顕著に見られ、深夜アニメの歴史の項で述べたように放送スケジュールの都合で最後まで放送できない作品が続出し、結果的にパッケージを購入しなければ(あるいは、衛星放送などによらなければ)結末を視聴することができない事態となった。これは放送局の都合だけではなく、制作側も全話放送できないことを承知の上で作品を売り込んだ例があるとも言われており、視聴者の不満は大きなものであった。この影響で、特別番組やスポーツ中継などによる放送休止の関係で当初から本放送時の放送話数が少なめになったケースも増えている。
3.4.のケースは、オーディオコメンタリーの例もあれば、出演声優ファン向けの販売戦略としてインタビューやイベント映像などが収録される例も多い。中には作品関連のイベント参加整理券もしくは応募券を同梱する事もある(一部店舗配布もしくは通信販売限定のものもある)。
なお、どのケースにもあてはまらないものとしては『ARIA The NATURAL』があり、通常放送で放送されなかった2話以降の各話のアバンタイトルがすべての話に追加されている。ただし、特典映像としてすべての巻に3.4.のケースにあてはまる映像も含まれている。
更に、そのような販売戦略が特に問題視された例として、テレビ東京系列の『かしまし ?ガール・ミーツ・ガール?』がある。この作品では、テレビ放送のラストシーンが、DVDに収録される真の最終回への露骨な誘導とも思える内容であったことから、一部ネット上で批判が集中し、ラストシーンの台詞をとって「あのね商法[61]」などと呼ばれるに至った。
結末を有料メディアでのみ見せるという手法は、テレビアニメに限ったものではないが、特に近年の深夜アニメやUHFアニメなどの深夜帯放送作品においてこのような例が続いたことから、パッケージ販売を促進したい制作者と視聴者との間で軋轢が生じており、深夜帯放送アニメ作品の商業展開の難しさが浮き彫りとなっている。
なお、上記のように地上波で未放送回があった作品は後日衛星放送など(特に有料チャンネル)で再放送される場合は完全な形であることが多い。
本来は一部地域ネットの全日帯アニメとして制作された作品が、ネット局では編成の都合で深夜帯に放送されるというケースが時折ある[62]。一方で深夜アニメでも逆の例が生じる事もある[63]。
また、当初は深夜アニメとして企画されたが、全日帯アニメに変更された例もあれば(『おとぎ銃士 赤ずきん』)、その逆のケースもある(『コードギアス 反逆のルルーシュ(第1期)』[64])。
変わった例では1990年代前半の前後において、日テレ制作の夕方枠アニメが、系列局のytvでは編成の都合で[65]、小・中学生層がビデオ予約録画をしない限り視聴困難な平日午前帯に放送されていた時期があった(後に平日早朝に移動した作品もある)。また、TXN系列局のテレビ大阪およびテレビ愛知においては、1990年代前半においては当時の夕方6時30分枠が過去のアニメの再放送枠となっていた関係で、他の系列局で同時ネットされていたアニメ作品が別の時間帯で放送されていた[66]。
更に特殊な例として、同じ作品でも局によってはシリーズ途中で全日帯から深夜枠に移動したり、逆に深夜枠から全日帯に移動するケースも見られる(『ラーゼフォン』。