1908年(明治40年)、小川正孝が43番元素を発見したと発表、ニッポニウム (Nipponium:Np) と命名したが、後に43番元素は地球上には存在しない(半減期が短いため、地球が誕生してから現在までにほぼ全てのテクネチウムが崩壊している)ことが判明したためこれは取り消され、元素記号として使用される予定だったNpもネプツニウムに使用された。現在、小川正孝の発見は75番のレニウムだったと考えられている。当時まだ75番元素は発見されていなかった。
1937年、セグレ等によりサイクロトロンで加速した重陽子線をモリブデンに当てて作られた(人工的に作られた元素としては最初のもの)。ギリシャ語の人工を表す technikos が語源。
テクネチウムは白金に似た外観を持つ銀白色の放射性の金属である。しかしこの金属は灰色の粉として一般的に得られる。周期表中ではマンガンとレニウムの中間に位置する。
比重は 11.5、融点は摂氏 2172℃(異なる実験値あり)。沸点は4000℃以上。安定な結晶構造は六方晶系。化学的性質はレニウムに類似する。フッ酸、塩酸には不溶で、酸化力のある硝酸、濃硫酸、王水には溶ける。
この元素はプロメチウムと同じく比較的軽い元素でありながら不安定なのは陽子数の割に中性子数が少ないからである。したがってこの元素は比較的安定している同位体は2つしかないが、これらの同位体を含めて、放射性同位体しか存在しない。
テクネチウムは地球上では非常にまれな元素である。地球上では原子核分裂によって発生し、多くの放射性核種により生成される。が、地球上ではそれによってでしか生成されない。
生物学的な役割を果たさず、人体では通常見つからない。
テクネチウムの単体は、湿った空気ではゆっくりと曇る。その酸化物はTcO2とTc2O7である。酸化条件下では過テクネチウム酸(TcO4)として存在する。 酸化状態+2、+4、+5、+6、+7のテクネチウムは粉状の場合、酸素中で炎を出して燃える。
テクネチウムの単体はわずかに磁性を持っており11.3ケルビン以下にすると強磁性を示す。
テクネチウムは363nm、403nm、410nm、426nm、430nm、485nmの特有スペクトルを持っている。
テクネチウムは現在、いくつかの恒星のスペクトル線からも、天然での存在が確認されている。地球上ではウラン鉱中に微量が自発核分裂生成物として見いだされるが、通常は放射性廃棄物中から単離して得る。
テクネチウムには安定同位体が存在せず、総ての同位体が放射性である。このように放射性同位体しかない元素はビスマス以降の元素を除けば、他にはプロメチウムだけである(ビスマス以降の元素は総て放射性元素である)。
β線を放出せず適量のγ線のみを放つ99mTcの特性を活かし、骨・腎臓・肺・甲状腺・肝臓・脾臓など身体各部に対するシンチグラムに用いる。
テクネチウムを含む物質を放射性医薬品として投与した場合の体内動態などは充分解明されている上、検査目的に応じた多種の注射剤が供給されている。日本ではテクネチウムを含む薬剤を用いた緊急検査も行えるほどの利用ノウハウが蓄積されている。
テクネチウムは核医学という医療の一分野を支える重要な元素である。人工放射性元素ではあるが、一般市民の生活に大きく寄与するものである。
化合物
酸化テクネチウム (TcO2)
Tc2S7
NH4TcO4
1元素の周期表18
1H21314151617He
2LiBeBCNOFNe
3NaMg3456789101112AlSiPSClAr
4KCaScTiVCrMnFeCoNiCuZnGaGeAsSeBrKr