1940年代からドーピング問題は取り沙汰されており、当時は競技力向上よりも苦痛を和らげるための鎮痛剤(覚醒剤)が主に用いられていたとされている。実際、ファウスト・コッピやジャック・アンクティルもそれを示唆する発言をしている。1955年の大会で任意に選んだ選手中20%が覚醒剤陽性となり依存症となっていることが判明。また、1967年の第13ステージでトム・シンプソンがモン・ヴァントゥの上りで倒れ死亡する出来事が起きた。このときシンプソンの体内からアンフェタミン、アルコールや利尿薬が検出され問題となった(ただし、この年のモン・ヴァントゥ周辺のプロヴァンス地方は猛烈な暑さだったこともあり、またチームとの契約問題で精神的に追い詰められていたとの証言もあり、薬物はあったものの熱中症の作用によるものという意見も多い。実際、シンプソンの死は熱中症として扱われている)。
1991年に出場していたPDMチームが第10ステージ後、突然の体調不良を訴え、選手全員が棄権した。チームの声明が二転三転したこともあり薬物摂取による副作用ではないかとされている。
1998年にチームフェスティナの車から禁止薬物が発見されたことに端を発し、逮捕者8人を出す一大スキャンダルに発展、第6ステージ終了後、チームフェスティナはツールから除名された。さらにツールに国家憲兵隊が介入したことに抗議して、第17ステージを選手全員がボイコット。次の第18ステージではスペインから参加した全チーム、およびイタリアから参加した1チームが棄権した。この結果完走者は96名という1983年以来の二桁を記録することとなった。
2006年にはオペラシオン・プエルトの余波を受けてヤン・ウルリッヒやイヴァン・バッソ、アレクサンドル・ヴィノクロフなどの優勝候補が軒並み出場停止となったほか、総合優勝したフロイド・ランディスも後にドーピング違反により、タイトルの剥奪が決定した。
2007年にもドーピング問題は再び猛威を振るい、優勝の大本命とされていたアレクサンドル・ヴィノクロフが第15ステージ終了後にドーピング検査で陽性反応が出たことで棄権。さらに第16ステージ終了後にコフィディスのクリスティアン・モレーニがドーピング疑惑で連行されたうえ、総合優勝をほぼ確実にしていたラボバンクのミカエル・ラスムッセンも検査に際して虚偽の居場所を報告したことでドーピング疑惑をかけられてチームを解雇される形で棄権。この影響でアスタナ・チーム、コフィディスはチーム全体が棄権することになった。
2008年には第6ステージと第9ステージの上りで驚異的な走りを見せてステージ優勝を果たし、総合優勝争いにも加わっていたサウニエル・ドゥバル・スコットのリカルド・リッコが第11ステージ終了後にドーピング検査での陽性が発覚し、これによりチーム監督の判断でサウニエル・ドゥバル・スコットチームはツールから撤退するこになった。今大会でドーピングの陽性反応が現れた選手はリカルド・リッコの他、シュテファン・シューマッハー、レオナルド・ピエポリ、マヌエル・ベルトラン、ディミトリー・フォフォノフ、ジミー・カスペールなどを含め7人だった。ただし、カスペールは喘息治療薬の摂取量が基準値を超えた、というもので、もともと喘息持ちであったこともあり、あまり悪質な違反とは言えず、後に無罪とされている。[5]
主催者であるASOとUCIとの間でツールの管理に関して確執が起こっており、2008年からはUCIプロツアーからツールをはじめ、ASOの主催するレースが離脱することになった。
そのほか
ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを同一人物が同年に優勝することを指して「ダブルツール」と呼び、加えて世界選手権自転車競技大会を制すると「トリプルクラウン」と呼び、「カンピオニッシモ(伊:championissimo、「チャンピオン」の最上級)」として讃えられる。
参加者の中で最も総合タイムの遅い選手は「ランタンルージュ (Lanterne rouge) 」=「赤ランプ」と呼ばれる。これは、以前は貨物列車の最後尾に目印として赤ランタンが掛けられていたことにひっかけて(尾灯が赤であるべきことは世界共通。前照灯参照)、「一番後ろを走る存在」すなわち「最下位の選手」を意味しており、総合優勝などとは別の意味で非常に注目される存在である。
日本人選手
川室競 参加年次 第20回(1926年)、第21回(1927年)
今中大介 参加年次 第83回(1996年)
現在日本での放送はスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」で全戦生中継されている。
1985年から1991年にかけてはNHKが放映権を持ち、主にBS1で中継を行っていた他、地上波でも数回「世界最大の自転車レース」と題して単発特番を放送していたこともある(現在この間の放送をDVD化したものがNHKエンタープライズから発売されている[6])。