現在、タジク人は、ヘラートのオアシス、ギンドゥクシャの南斜面のパンジシル、ゴルベンド及びサラングの峡谷、並びに北東辺境のバダフシャーン州の3大地域に集中している。
タジク人は、平野人と山岳人の2つのグループに分けることができる。平野人は、比較的早期にパシュトゥーン人君主に服従した。平野人の大部分は、スンニー派である。平野タジク人は、伝統的にパシュトゥーン人統治者に忠実であった。パシュトゥーン人は元来遊牧集団の常として多核的で非中央集権的な集団構成原理を持ち、王権に対して分派活動をとる者達も出てくることが稀ではない。そのため平野タジク人は、他のパシュトゥーン系集団の蜂起を鎮圧する際に、王権中枢を構成する集団以外のパシュトゥーン系集団への対抗勢力としての兵士として利用され、その上層部は王国において文書行政官僚のみではなく、軍人貴族をも形成した。
山岳タジク人は、非常に独立精神に富み、かつ好戦的であり、パシュトゥーン系王権に反抗的で、アフガニスタンの歴史を通して、反乱や戦争が絶えなかった。山岳タジク人は、主としてスンニー派とシーア派に分かれ、バダフシャーン州ではニザール派に属している。ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻や、その後の内戦の際には、アフマド・シャー・マスード等のような有能な野戦指揮官を多数輩出している。
今日の中国領版図内では、タージークの人々は、伝統的に東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)西部の都市やオアシス集落を拠点としてきた。宗教はタジキスタンと異なり、住民のほとんどがシーア派のイスマーイール派(7イマーム派)に属する。
中国では、清代代から民国期期にかけ、東トルキスタンを「回疆」(?「ムスリムの土地」の意)、その住人達を「回部」(?「ムスリムたちの集団、組織」の意)と称し、同君連合的構成原理を持つ清朝属下の諸種族を「五族(満・蒙・回・蔵・漢)」と総称する際には、タージーク系諸集団を、テュルク系の諸集団とともに「回」の概念で一括してきた。
辛亥革命後、中華民国では、近代的国民国家としての体制を確立するため、建国直後より、旧清朝属下の諸政権に属する国民を、歴史的に古代以来の中国国民である「中華民族」なる固有の民族であると、政治的に定義し、その構成要素たる五族協和を謳った。さらに中国共産党が政権を奪取し、中華人民共和国が成立すると、その内部を言語や文化の差異にもとづいて民族別に区分する民族識別工作を行い、漢族と「55の少数民族」とに区分した。タージーク系諸集団は、この措置によって、「タジク族(塔吉克族)」として、独立したひとつの「少数民族」としての地位を獲得した。
関連項目
中国の少数民族
外部リンク
⇒タジク族(写真と概要) - ⇒Record China
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