スズメバチは狩りバチの仲間から進化したと見られており、ドロバチやアシナガバチとともにスズメバチ科に属する。そのスズメバチ科はアリ科、ミツバチ科と同じハチ目に含まれている。
スズメバチはミツバチと並び、最も社会性を発達させたハチであり、数万もの育室を有する大きな巣を作る種もある。アシナガバチ等と違い、雄バチは全く働かず、女王蜂が健在の間は他の蜂は一切産卵しない。女王蜂を失った集団では、働き蜂による産卵も行われるが、生まれるハチは全て雄であり、巣は遠からず廃絶する。
スズメバチは旧ローラシア大陸で誕生、進化しユーラシア大陸、北アメリカ大陸、アフリカ大陸北部に広く分布している。分布の中心は東南アジアにあり、オオスズメバチやヤミスズメバチ等多様な種が生息している。旧ゴンドワナ大陸であるオセアニアと南アメリカにはもともと野生のスズメバチはいなかったが、現在ではオセアニアや南アメリカでも人為的に進入したスズメバチが生息地域を広げている。
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「スズメバチ」の名は、その大きさが「雀ほどもある」または「巣の模様が雀の模様に似ている」ことに由来する。また、地方により「くまんばち」(熊蜂。クマバチは別種)や「かめばち」(巣の形より)などの名がある。
スズメバチに対する「くまんばち」の呼称は全国的にみられるが、これはむしろ大型ハチ類の総称とみなすべきである。ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフの作品に『くまばち(くまんばち)は飛ぶ』という名曲があるが、ここでの「くまんばち」は、ヨーロッパで農作物の受粉を仲介するハチとして親しまれているハナバチの一種、マルハナバチを指すものである。
英語の「ホーネット」(hornet) や「ワスプ」 (wasp)、ラテン語由来の「ベスパ」(vespa) 、スペイン語の「アビスパ」(avispa) などはスズメバチを意味する語である。wasp や avispa は、より広義に攻撃的な狩りをするハチ類を指す語であり、いずれもラテン語の vespa から来たものと考えられる。
成虫の餌は主として終齢幼虫が巨大に発達した唾液腺から分泌する栄養液で、幼虫がミルクを出して成虫を養っているとみなすこともできる。この栄養液の不足分や終齢幼虫がまだ育っていない時期には糖質を多く含む花蜜、樹液などを摂取している。また、秋には担子菌類のキノコの一種であるシラタマタケの子実体内部の胞子を含んだ液化部分(グレバ)を好んで摂取する。これは終齢幼虫減少期の成虫の重要な餌となっていると同時に、シラタマタケにとっては胞子分散にも寄与することから共生関係を持っていると考えられている。
幼虫の餌は種類により違いはあるが、基本的には他の昆虫類であり、成虫が捕獲した昆虫などの小動物や、場合によっては新鮮な脊椎動物の死体の筋肉の多い部分を切り取って噛み砕き、肉団子にして与えることが多い。ただし後述するように、アシナガバチの蛹、幼虫専食のヒメスズメバチでは肉団子ではなく、獲物を噛み砕いて?嚢(そのう)に飲み込んだ獲物の体液を幼虫に与える。
天敵は捕食者として野鳥、クマ、ムシヒキアブ、ハチクマ、ヒトなど、寄生者として菌類、線虫[1]などである。生活史を通してみると、捕食寄生者が多い昆虫には珍しい真の寄生虫であるネジレバネ等がある。幼虫の捕食寄生者としてはカギバラバチ科のハチやオオハナノミ科の甲虫が知られる。
スズメバチ類の巣にはしばしばベッコウハナアブ類の幼虫が寄生し、営巣盛期には排泄物や巣の下部に廃棄された成虫や幼虫の死体を摂食している。これが、晩秋の巣の衰退期になると巣の上部に侵入し、生きた幼虫をも捕食し成長する。また、朽木の中に越冬室を掘って冬眠中の新女王蜂は、しばしばコメツキムシ科の甲虫の幼生によって捕食される。
鷹の一種であるハチクマは、スズメバチの巣を攻撃し、巣盤を持ち帰り、幼虫と蛹を雛鳥の餌としている。ハチクマの攻撃を受けたスズメバチは、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い、毒針を用いた防御行動を起こさないという(もっとも、ハチクマの体毛越しに針は届かないが)。
ヒトは、スズメバチを巣ごと駆除したり、食用として幼虫や蛹を採集する。クマは巣を破壊し、中の幼虫や蛹を食い荒らす。
また、おなじスズメバチ類の中でも捕食・被食の関係がある。オオスズメバチは生殖個体である雄蜂や、養育期には他のスズメバチの巣を頻繁に攻撃する。
性別や女王蜂、働き蜂の決定は基本的にはミツバチと同じようなものである。ハチ目の共通の性質として未受精卵はオス蜂に、受精卵はメス蜂になる。したがって、女王蜂が精嚢から精子を取り出す、もしくは取り出さないによって性別を決定している。働きバチはすべて雌である。
また、女王蜂になる卵と働き蜂になる卵は同じで、幼虫時代に食べさせられた餌によって地位が決定される。
女王蜂は10-11月頃に羽化すると、終齢幼虫から栄養液を十分摂取した後に巣を離れる。雄蜂と交尾した後は一切摂食せず、朽木などに越冬室を掘り、その中で冬眠に入る。