スズメバチの利用法のひとつは、成虫が幼虫の餌として大量の昆虫を捕獲し、その中に害虫も多く含まれる性質を利用した、害虫駆除の益虫としての利用である。人を襲うことのないスズメバチがメキシコで害虫退治に使われたことがあった。日本でも一部の地方自治体で、駆除依頼で都市部の住宅地などから捕獲したスズメバチ類の巣を庁舎屋上に設置した巣箱で飼育して維持しつつ、人に危害が及ばないように森林公園の害虫駆除に活用しているケースがある。
茶の栽培地において、クロスズメバチ類は茶の害虫を抑制し減農薬に役立つ益虫である。そのため、大産地の静岡県の一部では、クロスズメバチの幼虫や蛹を食べる習慣が盛んな長野県からの越境採集者に対して、捕獲禁止を訴えている。
他の利用法は主に食用である。長野県の伊那谷地方を中心に、クロスズメバチ類(地方名スガラ)の幼虫、蛹を食用にする事が、他地方でもよく知られるが、実際には同地方ではさらに大型のキイロスズメバチなどの幼虫、蛹の巣の捕獲、食用も盛んに行われている。この地方では殺したアカトンボ類、小さく切った鶏肉やカエルの足の肉を置いて働き蜂に肉団子を作らせ、肉団子の処理過程に巧みに介入して紙縒り状に縒った真綿を肉団子に絡ませて目立つようにし、その働き蜂を追跡して巣のありかを突き止める。巣に線香花火などの比較的穏やかに燃焼する黒色火薬の煙を吹き付けて働き蜂の攻撃を封じ、巣を崩して幼虫や蛹を採取している。この地方ではこうした巣の採集が盛んなため、専用の煙の効果主体の黒色火薬製品である煙硝が市販されている。
最近では天然で大きく育った巣を採集するのではなく、営巣初期のまだ若い小さな巣を採集し、人家の庭先で巣箱に収容して川魚の肉などを与えることでより多くの幼虫や蛹を収めた大きな巣を得ることも盛んになっている。また、軒下に形成された巨大なキイロスズメバチの巣に対しては、防護服を着用した上で、業務用の強力な掃除機で攻撃してくる成虫を全て吸い込み、巣を採集する人もいる。
こうした食習慣は日本国内では九州の熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県にまたがる九州脊梁山地でも盛んであり、この地方では特に大型の幼虫が得られるオオスズメバチを好んで採集する習慣が根強い。
海外では大型のスズメバチ類の種多様性が最も高い中国の雲南省でもスズメバチ類の幼虫、蛹に対する食習慣が非常に盛んであり、最近の経済開放政策に伴う盛んな商品化のための乱獲が懸念されるほどである。雲南では、成虫も素揚げにして塩をまぶし、おかずとして食べる。また、スズメバチ類の個体群密度や巣の規模が大きな熱帯アジア各地にも、同様の食習慣を有する地方は多い。
薬用としての利用も行われており、漢方では雨つゆに当たったスズメバチの巣を動物性の生薬として露蜂房(ろほうぼう)と呼び、粉末や黒焼にして煎じて用いるか、酒と一緒に服用する。殺菌解毒、鎮痙、鎮静作用があると言われている。先述のように、この巣の成分は粉砕された枯れ木や朽木に多量のスズメバチ成虫の唾液成分が混入され、練り合わされたものであり、これらの中に有効成分としての生理活性物質が含まれる可能性がある。
また、地方によってはハチがいなくなったスズメバチの巣を魔除けとして軒先に吊り下げる風習もあり、また、軒下にキイロスズメバチの巨大な巣が営巣されるのを「長者蜂」と呼び、刺激しないように共存しながら縁起物として尊ぶ風習もある。
オオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)はスズメバチ類の中で最も大型のハチで、体長は女王バチが40〜45mm, 働きバチが27〜40mm, オスバチが35〜40mm。以前は標準和名として『オオスズメバチ』の他に単に『スズメバチ』を用いることも多かった。学名の中の種小名のmandariniaは、その派手な警戒色を華麗な制服を着た清朝の官僚になぞらえたものである。
日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒をもち、かつ攻撃性も非常に高いことから最も注意が必要。毒針による攻撃はもちろん、同時に強力な大顎で攻撃対象の皮膚を大きくえぐるといった行動も行うので被攻撃者は大怪我をも伴う。またこの毒液中には警報フェロモンが含まれており、巣の危機を仲間に伝える役割を果たしている。2003年にはこのオオスズメバチの警報フェロモンがアルコールの一種であることが明らかになり科学雑誌「Nature」にて発表された[5]。
日本の北海道から九州に分布しており、日本での南限は屋久島、種子島近辺。土中、樹洞に巣を作る。働き蜂も巨大であり、筋肉の力は強大で、他のハチ類や筋力の強い獲物との格闘戦や、大顎によって噛み砕く力は強力なものの、飛翔時の敏捷性にはやや乏しいため、敏捷な昆虫類を捕らえることを苦手とする。
夏季に幼虫に与えられる餌は強力な大顎で噛み砕かなければ肉団子にできないようなコガネムシやカミキリムシといった大型の甲虫類、あるいはスズメガなどの大型のイモムシ等であるが、これらの大型昆虫が減少し、また大量の雄蜂と新女王蜂を養育しなければならない秋口には攻撃性が非常に高まり、スズメバチ類としては例外的に、集団でミツバチやキイロスズメバチといった巨大なコロニーを形成する社会性の蜂の巣を襲撃することで必要をまかなう。これらの巣の働き蜂を全滅あるいは逃走させた後は、殺戮した働き蜂の筋肉に富む胸部も幼虫の餌となるが、こうした大量の死体は処理しきる前に腐敗が始まり餌として適さなくなるため、主に占領した巣の中から時間をかけて大量の生きた蛹や幼虫を肉団子にしつつ運び出す。
スズメバチ類としては小型ながらも特に大型の巣を作り、おびただしい数の働き蜂を擁するキイロスズメバチの巣を襲撃した場合、オオスズメバチ側にも大きな被害が出るが、コロニー自体が巨大なぶん、巣の占領に成功すれば損害に見合う大量の幼虫や蛹を獲物として収穫できる。しかしチャイロスズメバチの巣を襲撃した場合には、他のスズメバチ類に比べて強靭な外骨格の装甲に対して大顎や毒針による攻撃が必ずしも有効に機能せず、逆に撃退されることもある。
日本産亜種であるニホンミツバチを含むトウヨウミツバチの巣を襲撃した場合には、オオスズメバチの働き蜂が単独で偵察している段階、つまりオオスズメバチが集合フェロモンにより同じ巣の働き蜂を集結させる前の段階で、ミツバチの働き蜂が集団で敵を押し包む行動、即ち蜂球が作られ、その状態でミツバチよりわずかに低いスズメバチの致死温度(44~46℃)まで代謝熱を上昇させられて蒸し殺されることにより撃退される場合が多い。また、偵察段階での撃退に失敗して集団攻撃を受けた場合には、トウヨウミツバチは幼虫や蛹や貯蔵食糧など巣から持ち出せない資源の防衛を速やかに放棄し、?嚢に収められるだけの貯蔵蜜を体内に確保した女王蜂と働き蜂だけで逃走する。
この種に対抗するすべをほとんど持たないセイヨウミツバチの場合は攻防の関係は一方的で、ミツバチの飼育者による庇護がなければ必ずといっていいほど全滅を余儀なくされる(あくまで定説だが、30匹ほどのオオスズメバチがいれば3万匹のセイヨウミツバチを3時間ほどで全滅させられると言う)。このことが、飼育群からの分蜂による野生化が毎年あちこちで発生しているにもかかわらず、セイヨウミツバチが日本で勢力拡大するのを防ぐ要因になっている。実際オオスズメバチの生息しない小笠原諸島ではセイヨウミツバチの野生化群が増加し、在来のハナバチ類を圧迫して減少させていることが確認されており、これらのハナバチ類と共進化して受粉を依存している固有植物への悪影響が懸念されている。こうしたセイヨウミツバチの天敵の欠如による固有植物への悪影響は国外ではオーストラリアで報告されている[要出典]。
ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)は、オオスズメバチに次ぐ大型のスズメバチで、体長は24〜37mm。