スジエビ
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特徴

体長はオス35mm、メス50mmほどで、メスの方が大きい。体にはの帯模様が各所に入り、和名もここに由来する。帯模様の太さは個体や地域で若干の変異がある。生きているときは体がほぼ透明で内臓が透けて見えるが、瀕死になったり、死ぬと体がく濁る。体型は紡錘形で、頭胸甲・腹部の境界と腹部中央(いわゆる「」)が曲がり、頭部が上向き、尾部が下向きになっている。

額角は細長い状で、眼柄触角、5対の歩も細長い。歩脚のうち前の2対は先端にはさみがある鋏脚となっている。

テナガエビ類に近縁で、テナガエビ類の若い個体とスジエビはよく似ているが、テナガエビ類には複眼後方の頭胸甲上に「上棘」(かんじょうきょく)という前向きの棘があり、肝上棘がないスジエビと区別できる。また、同じく淡水にすむヌマエビ類とは大きさが同じくらいで混同されることもあるが、スジエビは明らかに脚が長く、上から見ると複眼が左右に飛び出す。


生態

樺太択捉島国後島北海道から九州種子島屋久島朝鮮半島南部まで分布する。

などの淡水域に生息するが、汽水域にもまれに生息する。釣り餌などの利用もあって本来分布していなかった水域に持ちこまれ、分布を広げることもある。

昼間は石の下や水草、抽水植物の茂みの中にひそみ、夜になると動きだす。藻類水草も食べるが、食性はほぼ肉食性で、水生昆虫や他の小型甲殻類、貝類ミミズなど様々な小動物を捕食する。大きな個体はメダカなどの小魚を捕食することもある。動物の死骸にもよく群がり、餌が少ないと共食いもする。餌を食べる際は鋏脚で餌を小さくちぎり、忙しく口に運ぶ動作を繰り返す。また、小さな塊状の餌は歩脚と顎脚で抱えこみ、大顎で齧って食べる。一方、天敵スッポンなどの淡水性カメ類、ウナギカワムツブルーギルなどの淡水魚サギなどの鳥類がいる。

繁殖期はからまでで、初夏に盛んに産卵する。交尾を終えたメスは直径1mm-2mmほどの緑褐色のを産むが、これはテナガエビ類やヌマエビ類に比べて大粒・少数である。産卵したメスは卵を腹脚にかかえ、1ヶ月ほど保護する。卵から孵化した幼生はゾエア幼生の形態で、20-30日ほどプランクトン生活をした後に体長5mmほどの稚エビとなって着底する。寿命は2-3年ほどである。

スジエビ類は発生に塩分を必要とせず、ミナミヌマエビと同じく閉鎖した淡水でも繁殖できる。ただし地方によっては発生に塩分が必要な両側回遊型の個体群がある可能性も指摘されている。


利用

日本では各地でモエビ(藻蝦)、カワエビ(川蝦)などと呼ばれ、淡水域では比較的馴染み深いエビとなっている。

柴漬けやセルビン、タモ網などで漁獲され、唐揚げ佃煮菓子などに利用される。殻も軟らかく、食用の際はまるごと使用される。ただし他の淡水性甲殻類と同様に寄生虫の危険もあり、生食はされない。食用の他にも釣りなどの活餌として利用され、地方や時期によってはヌマエビ類などと共に釣具店で多数販売される。

飼育自体は難しくなく、魚用の固形飼料をよく食べるが、ヌマエビ類のように付着藻類を食べることはない。メダカなどの小さな魚を一緒に飼うと捕食してしまい、餌不足ともなれば共食いも起こるので注意が必要である。小さな水槽で一度に多数を飼育すると徐々に個体数が減るので、むしろ個体数を少なく抑えた方が長期飼育できる。飼育下で産卵させるのは容易だが、幼生や稚エビも共食いするし、親エビによる捕食もある。


近縁種海産スジエビの一種 Palaemon serratus Pennant, 1777 ヨーロッパ沿岸に分布する

スジエビ属(Palaemon 属)は汽水域海岸付近の浅い海に多くの種類が生息し、スジエビと同様に活餌や食用で利用される。

イソスジエビとスジエビモドキの2種類は日本全国の海岸でよく見られる。
イソスジエビ Palaemon pacificus (Stimpson, 1860)
体長70mmほどに達し、スジエビよりも大型。体の黒条はスジエビより明瞭で数も多い。また、黒条の他に白い斑点も散在する。インド洋と西太平洋に広く分布する。外洋に面した水のきれいな岩礁海岸に多く、海藻の間や岩陰に多数見られる。タイドプール埠頭などで目にする機会も多い。
スジエビモドキ P. serrifer (Stimpson, 1860)
体長40mmほど。イソスジエビより小型で、体には黒条が少なく、ほとんど透明である。シベリア東岸からハワイインドシナ半島までの北西太平洋沿岸に広く分布する。イソスジエビとほぼ同所的に生息するが、汽水域や内湾ではイソスジエビよりも多い。

他に日本産のスジエビ類として以下のような種類がいる。

イッテンコテナガエビ P. concinnus Dana, 1852

スネナガエビ P. debilis Dana, 1852

ナイカイスジエビ P. gravieri (Yu, 1930)

ユビナガスジエビ P. macrodactylus Rathbun, 1902

オガサワラコテナガエビ P. ogasawaraensis Kato et Takeda, 1981

アシナガスジエビ P. ortmanni Rathbun, 1902

オキソコスジエビ P. yamashitai Fujino et Miyake, 1970
ウィキメディア・コモンズには、 ⇒スジエビ に関連するマルチメディアがあります。


参考文献

三宅貞祥 『原色日本大型甲殻類図鑑 (I)』 保育社、1982年、ISBN 4-586-30062-0


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