シートベルト
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シートベルトが初めて自動車に搭載されたのは1922年である。当初は競技用自動車に任意で取り付けられていた。一般の乗用車への採用は1955年であり、フォードがオプションとして採用した2点式シートベルトであった。

シートベルト普及の契機はアメリカで1966年7月1日に成立した連邦交通車両安全法(National Traffic and Motor Vehicle Safety Act)であり、同法に基づいた連邦自動車安全基準(FMVSS)により1967年3月1日から義務付けている。

シートベルトの形態としては、2点式シートベルトが一般的であったが、1959年ボルボが3点式シートベルトを発明し特許を取得した。しかし、安全に必要な技術ということで無償で全メーカーに公開した。このおかげで、3点式シートベルトは全世界の自動車に付いている装置となった。代表的な3点式の他にも、2点式、4点式、5点式、6点式がある。一部の高性能スポーツカーには4点式の採用例が見られ、現在のレーシングカーには6点式シートベルトが使われる。2点式は自動車の後部座席や飛行機の座席に用いられているが、事故の際に腰の部分への負担が大きく、上半身の保護能力も期待できないため、近年では自動車の後部座席も3点式のものに変わりつつある。

F1などのフォーミュラカー(葉巻型ボディから4つの車輪が飛び出した一人乗りレーシングカー)では、1960年代末までシートベルトが義務化されていなかった(乗用車改造マシンのレースでは既に義務化されていた)。フォーミュラカーは運転席が狭く、事故で火災が発生すると脱出が困難になりやすいとされ、「焼け死ぬよりは車外に投げ出された方が安全」と考えられていたからだ。しかしフォーミュラカーにおいてもシートベルトを装着する方が安全と認識され、'70年代以降シートベルトは絶対的な義務となっている。

シートベルトが窮屈だという理由で装着しない人がいる。そのため窮屈にならないように、ベルトを装着したときにだけ巻き取りバネの力を弱めて、窮屈感を和らげるシートベルトが開発された。このタイプのシートベルトは「テンションレリーファー(レデューサー)付きシートベルト」と呼ばれ、一部の高級車に装備されている。衝突時に帯がゆるんでいる場合には、乗員を拘束する性能が低下するため、衝突の際にたるんだ帯が締まるような仕組み(火薬を使う)を持つシートベルトが開発された。このタイプのシートベルトの事を「プリテンショナー付きシートベルト」と呼ぶ。さらには衝突後、帯に入る荷重が設定荷重になると帯が伸び出し、エネルギーを逃がすタイプのシートベルトも開発されている。このタイプのシートベルトを「ロードリミッター付きシートベルト」と呼ぶ。プリテンショナーとロードリミッター付きシートベルトの開発により、衝突時の乗員に対する安全性は飛躍的に改善された。

自動車では、チャイルドシート固定機能付シートベルト(一杯に引っ張り出してから収納すると、完全に収納するまでは収納のみ可能となり、ベルトが一定の位置で固定される)も開発され、後部座席に取り付けられている車種が多い。


シートベルト各部の名称


ベルトアセンブリ

ストラップ、固定用バックル、リトラクター(ベルト巻取り装置)、アンカレッジ(車体から)の取り付け具)の一切の装置。 いわゆる「シートベルト」全体を指す。


ストラップ(ウェビング)

いわゆるシートベルトのベルト部分。

ラップストラップ(腰ベルト)

着用者の骨盤を固定するため、腰部を横切るベルト。通常、二点式シートベルトと言った場合このベルトのみで構成される。



ショルダーストラップ(ダイアゴナルベルト)

着用者の胸部を肩から腰にかけて斜めに固定するベルト。通常、三点式シートベルトと言った場合、このベルトとラップストラップを組み合わせたものを指す。



クロッチストラップ

着用者の股部分を固定するベルト。ハーネスベルトやチャイルドシートの追加装備として用いられる。


バックル

着用者をベルトにより固定、解放することができる装置。 バックルは、鉄板やウェビングなどを使ったベルトの先端部に組み込まれ、主にラップ/ショルダーベルトのタングと結合する装置。


リトラクター(巻取り装置)

ストラップ(ウェビング)の一部又は全体を収納することができる装置。


ストラップ(ウェビング)の素材

主に、引張り強さに優れたポリエステル繊維を編んで帯(ウェビング)を作り、金属製タングに通す。このタングを座席または床に取り付けられた受け側金具(バックル)へ挿入して固定させる。帯の単純引っ張り強度は30kN程度あり、普通乗用車一台を吊り上げるのに十分な強度がある。但しこの頑丈さが、事故の際の救出に障害となる場合もある(切断にはナイフが必要。では歯が立たない)。

その為、近年ではシートベルトを切断する為のナイフと、窓を割る為のハンマーがセットになった、非常用の脱出工具が市販されており、自動車のピラーや床などに取り付けることが出来る様になっている(但し、取り付ける方法によっては裏側に隠れた配線などを傷つけてしまう可能性がある為、自動車メーカーに相談をした上で取り付ける事が好ましい)。 尚、シートベルトを切る時には握りの下についた刃を使い、窓を割る時には反対側にあるハンマー(通常のハンマーと異なり打撃面が鋭利な円錐形になっており、サイドウィンドウなら一撃で破壊できる)を使う様になっている物が多い。


シートベルトに関する機構

シートベルトを着用する際の安全性と快適性の向上のために様々な機構が開発されている。


座席ベルト非装着時警報装置

運転者席のシートベルト装着を喚起するための装置。

初期警報

運転者席のシートベルトが装着されていない状態で電源を投入した際に、音または表示により警報を発する。


走行時警報(シートベルト・リマインダー)

運転者席のシートベルトが装着されていない状態で一定の速度・時間・距離を走行した際に、音または表示により警報を発する。


ベルト巻き取り装置(リトラクター)

シートベルトの着用を容易にするための装置。安全性の向上にも利用される。

非ロック式巻き取り装置(NLR;Non Locking Retractor)

通常時にベルトを巻き取り収納し、小さな力でベルトを引き出せるようにした装置。現在は、ほとんど使用されていない。


自動ロック式巻き取り装置(ALR;Automatic Locking Retractor)

非ロック式巻き取り装置の発展形。引き出したベルトを任意の位置で停止させることで自動的にロックする。ロック時は巻き取り方向にのみ動き、それ以上引き出せなくなる。現在は、ほとんど使用されていない。


緊急ロック式巻き取り装置(ELR;Emergency Locking Retractor)

自動ロック式巻き取り装置の発展形。平常時は装着者の身体の動きを阻害しないように強く拘束せず、衝突時にベルトをロックする。車体の傾き、車両の減速度、ベルトの引き出し速度を感知して作動する。ALR/ELR式を含めて現在、主流で使われている。


ALR/ELR式(Automatic/Emergency Locking Retractor)

通常はELRシートベルトとして機能するが、一定以上ベルトを引き出すことでALR式にベルトをロックする。ロックがチャイルドシートの固定を主な目的としていることから「チャイルドシート固定機能付きELR」とも呼ばれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki