コンドーム
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この項目では、避妊具について説明しています。

「コンドーム」と表記されることもあるフランスの町については「コンドン」をご覧ください。

漫画家については「昆童虫」をご覧ください。

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出典検索?: "コンドーム" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2021年4月)
使用前のコンドーム(突起部が精液溜まり)

コンドーム(: Condom[† 1])は、ゴムラテックス)やポリウレタンの薄膜でできた避妊具である。性交時に勃起した陰茎に被せることで、陰茎を膣内に挿入した状態で射精しても精液をコンドーム内に留め、膣内に流れ出させないことで卵子との接触を阻害し、避妊を達成させる。俗に「ゴム」[1]や「スキン」(不二ラテックスブランド・SKYN[2]から)とも呼ばれる。かつては、ルーデサック、衛生サックとも呼ばれた[3]
概説

先端部は精液を溜めるための小さな袋状突起があり、装着したまま膣内射精しても、精子が膣に行かないようになっている。粘膜の接触も遮断するため、避妊だけでなく、梅毒クラミジアなどの性感染症の予防にも効果がある。多くは男性用だが女性用コンドームもある[4]

本品を使用した避妊は、経口避妊薬子宮内避妊用具(IUD)とともに、避妊方法として最も普及している方法である。香港日本ギリシアウルグアイアイルランドでは、避妊法として使用されている割合が最大である[5]。前者の避妊法と比べ入手が容易であることや取り扱いが簡便である一方、避妊率は最も高い指標でも年間95%に留まる。

世界全体の出荷数は年間約58億個である[† 2]。販売は5個入りや1ダース製品が主流で、1個あたり0.15 - 0.9ユーロ程度で市販されている[† 3]。女性の許可無く、コンドームを外す「ステルシング」は国によってレイプとして扱われる[6][7][8]
形状

コンドームは、装着することによって性的快感が損なわないよう非常に薄くかつ丈夫に作られている(約0.01 - 0.1mm前後)。表面にはゼリー状の潤滑剤が塗布されている。女性が快感をさらに得られるよう、表面に凹凸状の加工がされているものや冷感・温感剤を塗布したもの、ゴム臭を抑えるための香り付けをしたものもある。

また、ラテックスゴムに対するアレルギーや特有のゴム臭を避けるために、ポリウレタン製コンドームも開発された。ポリウレタン製コンドームは、ゴム製のものと比較すると熱伝導に優れ、相手の体温が感じられる利点があり、また0.02mmと非常に薄いにもかかわらず丈夫である。コンドームの色は半透明、水色、ピンク色、蛍光色、黒色などカラフルな色が多数揃っており、好みで選ぶことが出来る。

勃起時のペニスの太さによって異なるサイズをラインナップしているメーカーもある。コンドームのサイズは、国際規格 ISO 4074 および その翻訳JISである JIS T 9111 において、コンドームを平らに伸ばした際の横幅(折幅)をその幅とすると定められている。ただしパッケージへの折幅の表示はISOで義務とされているのに対し、JIS規格においては「コンドームの形状が多様であり、形状によっては測定できないコンドームがある。」として、消費者包装(パッケージ)への表示義務は削除されている (JIS T 9111-10)。

日本ではサイズは主に直径(勃起したペニスを上から見下ろした時の横幅に近い)で表記され、S(直径31mm[9])。からLL(同44mm)まで各人のペニスのサイズに合わせて選べる。米国や英国などでは、直径ではなく国際規格に従ってコンドームを平らに伸ばしたときの幅 (nominal width) (勃起したペニスにメジャーを巻き付けて測った周長の1/2)で表記され、直径表記のおよそ1.57倍(円周率3.14÷2)のサイズ表記となる(例:幅 52mm ≒ 直径 33mm)。

折幅(nominal width)と直径(circular width)の対応

ISO規格およびJIS規格に従って測定した折幅(nominal width)。海外ではこのコンドームのサイズは45mmと表記される。

同じコンドームを、日本のパッケージ表示に従い直径で示した例。海外で45mmと表記されるこのコンドームのサイズは、日本では28mmと表記される。

ペニスのサイズに比べて大きすぎるコンドームは、性交中に膣内に脱落するなどしてカウパー腺液や精液が膣内に漏れる可能性があるほか、小さすぎるコンドームは圧迫によりペニスに痛みを感じたり、尿道を圧迫することで射精時に逆行性射精を招いたり尿道を痛めることがあるため、ペニスの太さに合ったサイズのコンドームを使用することが大切である。

海外で発売されたコンドームでサイズの小さなものでは、スイスのLamprecht AGが 2014年、12歳?14歳の少年向けコンドーム「Ceylor HotShot Youth Comdoms」(width(折幅) 45mm)を発売し、折幅表記に馴染みのない日本では直径表記と取り違えられ、日本のLサイズよりも大きいなどと話題になった[10]。直径に換算すると約28mmであり、日本のSサイズよりも小さなサイズである。スイスなどの国ではペニスを模した木製の棒にコンドームを装着する練習を、日本の小学6年生に相当する学年で男女ともに行わせるなど、日本よりも具体的で実践的であることを重視した性教育が行われており[11]、少年向けコンドームの発売もその一環とされている。

個包装

全開した状態

店頭に並ぶ様々なコンドーム

効能
避妊

広く普及している避妊の手段であり、正しい使用法で用いれば、妊娠する確率を大きく低減できる。精子射精時の精液だけでなく、前段階で分泌されるカウパー腺液中にも僅かに存在するため、射精直前ではなく、への挿入前に装着する必要がある。
妊婦との性交

妊婦と性交する場合、コンドームを装着せず射精しても新たな妊娠の可能性は低い。ただ、精子には子宮を収縮させる成分・プロスタグランディンがあるため、妊娠後期の場合、胎児に危険が及ぶ恐れがあるほか、わずかでも妊娠の可能性があるので、性交時にはコンドームを装着して行うのが望ましい。
性感染症予防

コンドームによる避妊は、男性の尿道経由での性感染症や、精液・血液の膣内接触による性感染症の予防に有効である。ただし毛じらみなど、保護対象外部分の接触によるものには効果がない。

欧米での性教育ではこの点に重点が置かれている。特にエイズヒト免疫不全ウイルス感染症、HIV感染症)について多くの疫学調査が実施されており、これらの結果から世界保健機関(WHO)は2000年にコンドームの使用によってHIV感染リスクを85%減らすことが可能だとの試算を報告している。コンドーム使用によって完全に感染防止ができるわけではないが、HIVには有効なワクチンが存在しないことや、抗HIV治療に掛かるコストとの兼ね合い、また他のウイルスに対するワクチンの場合の予防効果の実績などと比較してもコンドームによるHIV感染予防の持つ効果は大きいものだという判断から、WHOはエイズ対策の一環としてコンドームの使用推進キャンペーンを行っている[12]


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