コランダム
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結晶構造とコランダムの仲間図2 コランダムの結晶層

イオン半径は、アルミニウムが680pm、酸素が1260pmである。大きい方の酸素イオンを密に並べると、図2の白球の集まりになる。そして、3つのO2-が接する「ヘソ」にAl3+イオン(黒丸)が座るが、組成がAl2O3なので、「ヘソ」の1/3は規則的に空いている。この層を積み重ねてコランダム結晶の模型を組むことができ、積むときは、黒球が座っていない下層の「ヘソ」に上の層の白球が座るようにする(図2のa)。そうするとアルミニウムの黒球は、下の層の「ヘソ」と上の層の「ヘソ」との間におさまる(図2のb)。

図2は六方晶的に描いてあるが、この結晶は菱面体晶にも描け、結晶構造は、対称性にまさる後者で記述される。

酸化アルミニウムの結晶はアルミナともいう。アルミナにはいろいろな結晶構造のものがあり、図2の構造のアルミナは、αアルミナである。

酸化クロムの結晶はコランダムと相似で、図2の黒球のAl3+は、Cr3+と入れ替わることができる。微量のCr3+が入れ替わるとコランダムはピンクになり、2%くらい入れ替わると全くのルビー色になる。これが、ルビーである。

Cr3+でなくFe3+などが入ると青色になり、これが、サファイアである。ただし、人造単結晶(後記)では、ルビー色でないコランダムを、無色透明のものも含め、サファイアと総称することがある。

ボーキサイトをアーク炉で融解し精製して作る褐色溶融アルミナ(後記)が、黒褐色不透明なのは、Tiイオン、MgイオンがAlイオンの場所のところどころにあることによる。


性質

密度は、3.987g/cm3。

モース硬度は、ダイアモンドに次ぐ9。

修正モース硬度は、ダイアモンド炭化ケイ素に次ぐ13。

ヌープ硬度は、1,700〜2,500kgf/mm2。結晶面により異なる。

条痕は、白。

色は、上記のとおり、無色透明から黒褐色不透明まで、いろいろ。

融点は、2,050℃。

電気伝導は、固体の状態では絶縁体。2,050℃で融けた液体良導体


産出

コランダムは、さまざまに産出する。

ペグマタイト花崗岩閃長岩などの火成岩とともに。

雲母片岩片麻岩結晶質石灰岩ホルンフェルスなどの変成岩とともに。

ボーキサイトなどの堆積岩とともに、また、地表のの中から。

地殻内の高温水溶液(熱水)から晶出した熱水鉱床から。

鉱床は、カナダアメリカロシア南アフリカなどにある。ルビーは、ミャンマータイスリランカで、砂の中から多く採掘される。


単結晶の人造法

コランダム(ルビー、サファイア)の単結晶は、次のような方法で人造できる。


火炎溶融法

この方法は、フランスのベルヌーイ( ⇒Auguste Victor Louis Verneuil)が1903年に始めたことから、ベルヌーイ法( ⇒Verneuil process)ともいう。生成速度が早くコストが低い。

α-アルミナほかの微粉を酸水素炎中に降らせて液滴にし、それを台座の種結晶の上に垂らし、種結晶と同じ結晶方位に再結晶させ、台座を1時間に数mmの速度で下げて、長い単結晶に成長させる。その棒状の単結晶をブール(boule)と呼ぶ。


フラックス法

ミョウバンを濃く水に溶かし、その中に結晶の粒を吊しておくと、大きな単結晶に育ってゆく。これと同様な方法でコランダム単結晶を育てるために、アルミナは常圧下の水には溶けないので、融解したフラックスに溶かす。フラックスにはフッ化鉛、酸化鉛などが用いられる。この方法によるコランダムは、1960年代から製造されるようになった。

ルツボ中の原料を加熱してフラックスを融解し、1,000℃以上に保持してアルミナほかを溶かしたのち、1時間に数度の速度で冷却して過飽和状態にすると、約900℃でコランダムの単結晶が析出する。この方法は格子欠陥の少ないmm単位の単結晶の製造には適するが、実用的な宝石の大きさに育てるには時間がかかりすぎる。


熱水法

地殻内で起こっている熱水変質作用を人為的に行っているといってよい。

アルミナは1気圧の100℃の沸騰水には溶けないが、地殻内の1,000気圧以上、1,000℃以上の熱水には溶け、溶解度は温度が高いほど高く、溶けたアルミナは低温のところへ析出する。この環境を人為的に作る。高圧容器の中に水を入れ、原料のアルミナ他を沈め、種結晶を上から吊し、底から加熱すれば、原料は高温高圧の水に溶け、上部の低温の種結晶の表面に析出する。

1950年代の後半にこの方法のルビーが作られた。生成する単結晶は格子欠陥が少ないが、装置が面倒で生成速度が遅いので、あまり行われない。


引き上げ法

半導体用のケイ素単結晶の製造に広く行われるこの方法で、コランダムなどの単結晶を作ることもできる。これはポーランドのチョクラルスキー( ⇒Jan Czochralski)が1913年に開発したところから、チョクラルスキー法( ⇒Czochralski process)、CZ法とも呼ばれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki