コランダムは、さまざまに産出する。
ペグマタイト、花崗岩、閃長岩などの火成岩とともに。
雲母片岩、片麻岩、結晶質石灰岩、ホルンフェルスなどの変成岩とともに。
ボーキサイトなどの堆積岩とともに、また、地表の砂の中から。
地殻内の高温水溶液(熱水)から晶出した熱水鉱床から。
鉱床は、カナダ、アメリカ、ロシア、南アフリカなどにある。ルビーは、ミャンマー、タイ、スリランカで、砂の中から多く採掘される。
コランダム(ルビー、サファイア)の単結晶は、次のような方法で人造できる。
この方法は、フランスのベルヌーイ( ⇒Auguste Victor Louis Verneuil)が1903年に始めたことから、ベルヌーイ法( ⇒Verneuil process)ともいう。生成速度が早くコストが低い。
α-アルミナほかの微粉を酸水素炎中に降らせて液滴にし、それを台座の種結晶の上に垂らし、種結晶と同じ結晶方位に再結晶させ、台座を1時間に数mmの速度で下げて、長い単結晶に成長させる。その棒状の単結晶をブール(boule)と呼ぶ。
ミョウバンを濃く水に溶かし、その中に結晶の粒を吊しておくと、大きな単結晶に育ってゆく。これと同様な方法でコランダム単結晶を育てるために、アルミナは常圧下の水には溶けないので、融解したフラックスに溶かす。フラックスにはフッ化鉛、酸化鉛などが用いられる。この方法によるコランダムは、1960年代から製造されるようになった。
ルツボ中の原料を加熱してフラックスを融解し、1,000℃以上に保持してアルミナほかを溶かしたのち、1時間に数度の速度で冷却して過飽和状態にすると、約900℃でコランダムの単結晶が析出する。この方法は格子欠陥の少ないmm単位の単結晶の製造には適するが、実用的な宝石の大きさに育てるには時間がかかりすぎる。
地殻内で起こっている熱水変質作用を人為的に行っているといってよい。
アルミナは1気圧の100℃の沸騰水には溶けないが、地殻内の1,000気圧以上、1,000℃以上の熱水には溶け、溶解度は温度が高いほど高く、溶けたアルミナは低温のところへ析出する。この環境を人為的に作る。高圧容器の中に水を入れ、原料のアルミナ他を沈め、種結晶を上から吊し、底から加熱すれば、原料は高温高圧の水に溶け、上部の低温の種結晶の表面に析出する。
1950年代の後半にこの方法のルビーが作られた。生成する単結晶は格子欠陥が少ないが、装置が面倒で生成速度が遅いので、あまり行われない。
半導体用のケイ素単結晶の製造に広く行われるこの方法で、コランダムなどの単結晶を作ることもできる。これはポーランドのチョクラルスキー( ⇒Jan Czochralski)が1913年に開発したところから、チョクラルスキー法( ⇒Czochralski process)、CZ法とも呼ばれる。
ルツボに原料を入れて融解し、上から吊した種結晶を原料の液面に触れると、種結晶の方位の通りに液面が再結晶してゆく。適切な速度で結晶を引き上げて長い単結晶を作る。ただし、この方法でコランダムなどが作られたのは、1990年代の後半である。格子欠陥は少ない。
コランダムは硬いので、研磨材に使われる。また、耐火性が高いので、耐火物の原料にも使われる。天然のあるいは人造の単結晶のコランダムを粉砕しても、これらの目的に使えるが、高コストになる。そこで、mm単位以下の結晶からなる多結晶コランダムの塊が生産される。2大別できる。
ボーキサイトを原料にバイヤー法で作ったバイヤーアルミナも、結晶構造は図2のコランダムだが、小麦粉のように細かい粉で、その粉1粒も10μm単位の微細な結晶の集まりで、研磨材には頼りない。図3 アーク炉
雪は「かき氷」には頼りないから、一度融かして水にし、冷凍庫で氷にすればよいのと同じに、バイヤーアルミナを一度融かして固めればよい。融点2050℃のアルミナは図3のアーク炉で融かす。
垂直の3本の黒い丸棒は黒鉛電極である。電極の間に電圧をかけてアークを飛ばしてアルミナを融かすと、電極と融けたアルミナとの間にアークが飛ぶようになる。トン単位のアルミナを融かしてから冷やし、多結晶の白いアルミナの塊を作る。
ボーキサイトを精製して作ったバイヤーアルミナを使わず、ボーキサイトをコークスおよび鉄屑とともにアーク炉で融解し、ボーキサイト中のシリカ、酸化鉄、酸化チタンをいくぶん還元し、冷却凝固させた褐色の塊である。