コムギ
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生物的分類

コムギ属 Triticum は、1小穂の稔実粒数、染色体数、ゲノム構成によって以下のように分けられる。

1粒系 (稔実粒数1、2n=14、ゲノムAA)

T. aegilopoides

T. thaoudar

T. monococcum (1粒コムギ)


2粒系 (稔実粒数2、2n=28、ゲノムAABB)

T. dicoccoides

T. dicoccum (2粒コムギ、エンマーコムギ)

T. pyromidale

T. orientale (コーランサンコムギ)

T. durum (デュラムコムギ、マカロニコムギ)

T. turgidum (リベットコムギ)

T. polonicum (ポーランドコムギ)

T. persicum (ペルシャコムギ)


普通系 (稔実粒数3〜5、2n=42、ゲノムAABBDD)

T. aestivum (普通コムギ、パンコムギ)

T. spelta (スペルトコムギ)

T. compactum (クラブコムギ、密穂コムギ)

T. sphaerococcum (インド矮性コムギ)

T. maha (マカコムギ)

T. vavilovii (バビロビコムギ)


チモフェービ系 (稔実粒数2、2n=28、AAGG)

T. timopheevi


専用小麦

強力粉薄力粉等、パンマカロニといった用途別の専門小麦粉の原料となる小麦のこと[1]


その他

小麦は栽培時期等によって以下のように区別される。

播種時期 - 春播き小麦、秋播き小麦

粒の色 - 赤小麦、白小麦

粒の硬さ - 硬質小麦、中間小麦、軟質小麦


歴史

中央アジアのコーカサス地方から西アジアのイラン周辺が原産地と考えられている。1粒系コムギの栽培は1万5千年頃に始まった。その後1粒系コムギはクサビコムギAegilops sguarosaと交雑し2粒コムギになり、さらに紀元前5500年頃に2粒系コムギは野生種のタルホコムギA. squarrosaと交雑し、普通コムギT. aestivumが生まれたといわれる。普通コムギの栽培はメソポタミア地方で始まり、紀元前3000年にはヨーロッパやアフリカに伝えられた。

聖書の中にも頻繁に「麦」や「小麦」が登場し、重要な作物であったことがわかる。聖書の中で小麦が最初に登場するのは、最初の書である創世記(30章14節)である。

中国への小麦の伝来も文献などからシルクロードが開かれた紀元前1世紀頃(前漢)時代と考えるのが一般的であり、中国経由で伝来されたと考えられている日本でも約2000年前の遺跡から小麦が出土しており、伝わったのはそれから遠くない弥生時代であると考えられている。奈良平安期には五穀の1つとして重視された(『和名類聚抄』には「古牟岐(コムギ)・末牟岐(マムギ=「真麦」)」の名で伝わる)が、一方で収穫前の大麦・小麦の青草を貴族や有力豪族が農民から買い上げて馬の飼料にすることが行われ、当時の政府がこれを禁止する太政官符が度々発令(751年808年819年839年)されており、と比較して食用作物としての認識が十分に広まっていなかったとする見方もある。


供給・需要傾向

世界的な傾向としては、需要は主に中国インドが経済成長による食生活の変化が起こっていることなどから、今後も旺盛な状態にある。[1]国際的な取引価格は長期間低迷していたが、最近では上記事情などから急上昇した。しかし、高値を当て込んだ生産増や、豊作、バイオ燃料熱の低下などから、現在では10年前の価格レベルまで下落している。


生産

コムギは、温帯から亜寒帯にかけて栽培されている。比較的乾燥に強く、生産限界は年間降水量500mmである。灌漑設備が整っている場合は、さらに乾燥した地域でも栽培できる。

地域別ではアジア州が4割強、ヨーロッパ州が3割強、北アメリカ州が1割強となる。国際連合食糧農業機関の統計資料 (FAOSTAT)[2] によると、2006年の世界生産量は6億0595万トン。これは米の生産量(6億3461万トン)に匹敵する。トウモロコシ(6億9523万トン、2006年)についで生産量の多い農作物である。上位5カ国、すなわち、中華人民共和国インドアメリカ合衆国ロシアフランスで総生産量のちょうど5割を生産している。なお、日本の生産量は、86万300トン(2005年)、うち北海道が65%を占める。国内生産は、米作からの転作や麺類向けの品種が主に生産され、パンなど向け品種の生産には消極的である。近年の国際価格の高騰でパン向けの品種改良や生産に目を向けたり、数少ない国内のパン用小麦の争奪戦がおこなわれている。

小麦の国別生産量(2006年)国名順位生産量比率
中華人民共和国11億447万トン17.2%
インド26935万トン11.4%
アメリカ合衆国35730万トン9.5%
ロシア44501万トン7.4%
フランス53537万トン5.8%
カナダ62728万トン4.5%
ドイツ72243万トン3.7%
パキスタン82128万トン3.5%
トルコ92001万トン3.3%
イギリス101474万トン2.4%
イラン111450万トン2.4%
アルゼンチン121400万トン2.3%
ウクライナ131400万トン2.3%
カザフスタン141350万トン2.2%
オーストラリア15982万トン1.6%


貿易

コムギは最も貿易量が多い穀物である。2005年時点の総輸出量は1億2027万トン、総輸入量は1億2018万トン[3]。例えばトウモロコシの総輸出量は8964万トン、米は2503万トンに過ぎない。輸出国はアメリカ合衆国 2749万トン(22.9%)、フランス1602万トン (13.3%)、カナダ 1398万トン(11.6%)、オーストラリア1392万トン (11.6%)、アルゼンチン1042万トン (8.7%) の順であり、この5カ国だけで全輸出量の2/3を占める。輸入国は、スペイン (6.2%)、エジプト、イタリア、アルジェリア、日本、ブラジル、インドネシアの順に多い。この5カ国で全輸入量の35%を占める。日本の輸入量は全輸入量の4.6%。

日本のコムギ輸入相手国は、アメリカ合衆国 (55.9%)、オーストラリア (22.2%)、カナダ (21.2%) であり、その他の国は0.7%に過ぎない。

日本に小麦を輸入する際には、国内生産農家保護のためとして、輸入関税と麦等輸入納付金、およそ90円(1kgあたり)を納付する。日本政府は、商社が輸入した小麦を購入した上で、政府売り渡し価格を製粉会社に提示、引き渡す制度になっている。製粉会社は、マークアップと呼ばれる上乗せ金、16,868円/tを政府に、拠出金、1,530円/tを、農水省OBが中心の組織、製粉振興会に支払うことで、原料を購入する事ができる。売り渡し価格は、年3回、10%程度の増減幅で見直されているが、上記の情勢や天候に大きく左右されれば国際価格に影響を受ける。

2006年頃から上昇傾向にあった小麦価格は、2007年には主にオーストラリアでの大規模な不作によって小麦価格が高騰、それに伴い政府価格も改定 ⇒[2]し、パン焼きそばなど小麦粉を使う製品の値段が上昇した。2008年10月には、売渡価格が20%値上げされる他、来年には国産買取価格も30%値上げされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki