成虫は、水の抵抗の少ない流線型の体型、効率よく水を掻くことのできるようにブラシ状になった後脚、水中での呼吸用の空気を溜めることのできる構造など遊泳に非常に適した体の構造を持つが、獲物の捕獲に特殊化した器官は特に持たず、主に死んで間もなかったり弱った小魚や昆虫を摂食するとされることが多い。しかし、羽化直後の水生昆虫など機会さえあればこれらの動物の健康な個体でも捕食する。このようにゲンゴロウは原則として肉食動物であるが、コツブゲンゴロウ科のように一部草食性に分化した分類群もある。
飛翔能力は地下水生息種やごく一部の地表水生息種を除いて退化しておらず、夜間は活発に飛び回り、水系間を移動するのに使われたり、また燈火などにも飛来する。飛翔に関してはほとんどの種はいったん上陸してからでないと飛び立てないが、例外的に汎世界分布種のハイイロゲンゴロウは遊泳中に水面から直接飛び立つことができる。
越冬についてはよくわかっておらず、種によって凍結した水面のすぐ下で活動しているのが観察されているケースもある。飼育下では特別な処置がなくとも問題がないため、はっきりとした越冬行動は持たないとする見方もある。
よく水からあがって甲羅干し行動をとるが、これは体温調節・殺菌・飛翔の準備などのためだと考えられており、飼育下でこの行動を阻害すると、ミズカビ類などの水生菌による感染症を起こしやすくなることが知られている。
雄の前脚のふ節には一部が扁平に拡大して下面にいくつかの吸盤を持つものが多く、交尾に際してはこれで雌の背面に吸着する。また、一部の種では雄の背面が滑らかなのに対して雌の背面にはしわや溝が発達する例があり、これも交尾に際して雄がつかまりやすくするのに関係した適応と考えられる。
雌の腹端には出し入れできる左右に扁平な産卵管があり、大型種には水草に顎で穴を開け、そこに産卵管を差し込み産卵するものが多いが、小型種や中型種には水草などの表面に卵を付着させるものが多く、あるいは水面に一部を出した流木などの濡れた表面に卵塊として産卵するものも知られる。
成虫は空気呼吸であり、翅の下に空気を溜めている。しばしばこの空気の一部を尾端から気泡として水中に突出させているのが観察され、この気泡内の空気中の空気の酸素分圧が下がり二酸化炭素分圧が上がると、水中に二酸化炭素が溶け出して逆に酸素が気泡の空気中に入り込むことが知られている。このため、いったん翅の下に空気を取り込んで潜水すると、そこに元々含まれていた以上の酸素を得て長く潜水活動をすることができる。渓流性の種はこうした水中の酸素への依存度が高いと見られ、十分酸素を含まない水中で飼育すると死亡しやすい。
ゲンゴロウやゲンゴロウモドキのような大型種の飼育環境は基本的には淡水魚用の水槽と同じでよい。
成虫は刺身や煮干しを与える。甲羅干しができるような足場を作る。直射日光は避ける。
幼虫は生き餌専食であるうえ種によっては高度に良好な水質を要求することがあるため、成虫に比べて飼育が厄介である。共食いを防ぐため一匹ずつわけて飼わなければならないほか、餌も生きた獲物を用意しなければならない。小型個体にはアカムシを、大型個体にはオタマジャクシを与えることが多いが狭食性の種も多く、一概には言えない。多摩動物公園昆虫園では、ナミゲンゴロウの成虫、幼虫ともに、養殖したコオロギを与えて飼育することで好結果を得たと発表されている。
中型種の飼育は、最普通種のヒメゲンゴロウの飼育がもっとも容易である。小型のプラスチック水槽に甲羅干し用の木片とアオミドロの塊を入れて直射日光の当たらない明るい場所に置き、煮干などを与えればアオミドロの塊に容易に産卵し、孵化した微小な弱齢幼虫はアオミドロの塊に住むケンミジンコ類やワムシ類などの小動物を捕食してアカムシを与えられるほどの大きさに成長する。この段階で個別飼育に移行し、アカムシを摂食しなくなった時点で蛹化用の土を入れて一部に水溜りをつくった水槽に移せば土に潜って蛹室をつくり、成虫になってから地表に出現する。
分類ドイツ産のメススジゲンゴロウ属 Acilius 2種とゲンゴロウモドキ属 Dytiscus 4種の成虫(彩色)と幼虫(成虫の一部器官の部分図とともに無彩色)。メススジゲンゴロウ属の幼虫の首(前胸部)が長く伸び、比較的大顎が短い形態は、ミジンコ食に専門化した食性と関係があると考えられている。いずれも北方系の属。
日本には37属130種あまり、世界には約130属4000種が知られている。
シマゲンゴロウ族 Hydaticini
シマゲンゴロウ属 Hydaticus
シマゲンゴロウ H. bowringi
オオシマゲンゴロウ H. aruspex
コシマゲンゴロウ H. grammicus
ウスイロシマゲンゴロウ H. rhantoides
マダラシマゲンゴロウ H. thermonectoides - 絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)
オオイチモンジシマゲンゴロウ H. pacificus
ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウ H. conspersus - 絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)
スジゲンゴロウ H. satoi - 絶滅危惧I類(環境省レッドリスト)
オキナワスジゲンゴロウ H. vittatus
ハイイロゲンゴロウ族 Eretini
ハイイロゲンゴロウ属 Eretes
ハイイロゲンゴロウ E. sticticus
マルガタゲンゴロウ族 Thermonectini
マルガタゲンゴロウ属 Graphoderus
マルガタゲンゴロウ G. adamsii
ヒメゲンゴロウ族 Colymbetini
ヒメゲンゴロウ属 Rhantus
ヒメゲンゴロウ R. pulverosus
オオヒメゲンゴロウ R. erraticus
エゾヒメゲンゴロウ R. yessoensis
クロヒメゲンゴロウ属 Ilybius
クロヒメゲンゴロウ I. poppiusi
キベリクロヒメゲンゴロウ I. apicalis
セスジゲンゴロウ族 Copelatini
セスジゲンゴロウ属 Copelatus
セスジゲンゴロウ C. japonicus
コセスジゲンゴロウ C. parallelus
ホソセスジゲンゴロウ C. weymarni
リュウキュウセスジゲンゴロウ C. andamanicus
オガサワラセスジゲンゴロウ C. ogasawarensis
タイワンセスジゲンゴロウ C. tenebrosus
トダセスジゲンゴロウ C. hasegawai
トモクニセスジゲンゴロウ C. tomokunii
テラニシセスジゲンゴロウ C. teranishii
カンムリセスジゲンゴロウ C. kammuriensis
ヒコサンセスジゲンゴロウ C. takakurai
チンメルマンセスジゲンゴロウ C. zimmermanni
マメゲンゴロウ族 Agabini
マメゲンゴロウ属 Agabus
マメゲンゴロウ A. japonicus
ツヤマメゲンゴロウ A. congener