社団法人日本雑誌協会雑誌芸能記者クラブ主催の「ゴールデン・アロー賞」には、日本雑誌写真記者会が選考する「グラフ賞」という賞があり、もともとその年度で最も雑誌のグラビアを飾り話題を提供した被写体が受賞者に選出されるのだが、1998年度(第36回)受賞の優香以降は、グラビアアイドルの登竜門的な賞となっている。
1998年度(第36回):優香
1999年度(第37回):本上まなみ
2000年度(第38回):釈由美子
2001年度(第39回):井川遥
2002年度(第40回):吉岡美穂
2003年度(第41回):井上和香
2004年度(第42回):岩佐真悠子
2005年度(第43回):安田美沙子
2006年度(第44回):ほしのあき
2007年度(第45回):南明奈
受賞者は自動的に翌年度の日本雑誌協会キャンペーンキャラクターに起用される。いずれもその時代を反映したフォトジェニックであり、受賞者を改めて見ることで一般大衆が求めるグラビアの傾向やその推移が見て取れる。また他のミスコンのように同性の視線を意識してか均整の取れたプロポーションの持ち主が選ばれやすいのが特徴。また、近年の受賞者は、ミスマガジンなどのキャンペーンの受賞者であることなどから、実績、活動に対しては非常に厳しい評価がされている。
ゴールデン・アロー賞は第45回を以て終了することが発表されたが、雑誌協会キャンペーンキャラクター選出は形式を変えて継続する可能性がある。
なお2000年代中盤からは蛯原友里、押切もえ、山田優などといった女性誌ファッションモデルも一般的な知名度を得ているが、選考の対象外だったと思われる(グラドル路線移行前年の1997年度=第35回に、ファッションモデル出身で現在は女優業メインだがモデル業も継続している吉川ひなのが受賞した例がある)。そもそもこの賞は「雑誌芸能記者クラブ」主催であり、選考は「日本雑誌写真記者会」が行なっているため、本来が「服を紹介する写真」であるファッション誌のモデルがそのままフォトジェニックとして選考対象になることはありえない。もしファッション誌出身であっても、自らが主体のグラビアを飾る機会が多ければ選考の対象になることも考えられるが、ファッション誌モデルとグラドルとを同じ比率でこなしている存在は皆無である。
2007年現在のグラビア傾向としては以下の4パターンに大別できる。
水着
着エロ
通常ファッション
コスプレ
グラビアアイドルは、主に男性誌グラビアを中心に起用される。そのうち水着は最も多いグラビア制作の手段であり、現在でもメインアイテムとして扱われている。元来雑誌グラビアとは男性が見て楽しむことを目的にしたものであり、性に対しての規制が厳しい日本では、セミヌードに代わるグラビア素材としてビキニなどの女性の体を隠す範囲の狭い水着を使うことを早くから行なってきた。またグラビアモデルも局所を隠した状態ならば比較的自由に動けることもあり、それまでのセミヌード中心のアンダーな世界観を一気に開放的で明るいものへと変貌させた。
撮影も最初は浜辺やプールサイドなど水着に合った環境でのロケ撮影が多かったが、需要が飛躍的に増えたことで水場に限らず水着には全く関係性の無い場所でも衣装として使用されるようになる。その昔は露出度の高い水着を人前で着ることや肌を晒すこと自体に抵抗感を覚える新人アイドルも数多くいたが、21世紀に入り時代がオープン感覚になったことと水着自体のファッション性が各段に上がったことで、最近では最初から「タレントではなくグラビアアイドルになりたい」と自ら芸能事務所に売り込んでくる「他人からかわいく見られたい」女性たちも多い。ベテランのグラビアアイドルになると自身がより綺麗に見える水着を自ら選ぶ場合もあり、熊田曜子などはテレビに出始めた事で身体を隠す面積が大きい水着を渡された時「私は紐で結ぶタイプじゃなきゃ似合わない」と、より露出度の高いものを指定することがあるという。
水着グラビアは当初アグネス・ラムなど抜群のプロポーションを持つ外国人モデルがその役を担っていた時代もあったが、日本人女性のプロポーションが欧米のそれへと近付いていくに連れて日本人のグラビアモデルが多くなり、今ではその9割以上が10代〜20代半ばまでの日本人女性で賄われている。現在はそういったグラビア誌専門のモデルを務める若い女性たちをグラビアアイドルと呼び、かつての日本に存在したアイドル歌手に代わる存在として世の男性に認知されるようになった。
しかし時間が経つに連れ、水着姿から連想される性的刺激に現代の読者層は殆ど慣れてしまい、また雑誌の売上もそれに歩調を合わせるように落ちていった。しかしグラビアは相変わらず男性誌の売上を左右する重要なコンテンツであることに代わりは無く、その為グラビアアイドルの刷新だけでなく、水着以外の様々な趣向が凝らしたグラビアが多数生み出されることになる。
その1つの顕著な例が「着エロ」と呼ばれる過激なグラビアである。これは水着グラビアからヌードグラビアの中間に位置するもので、Tバック水着あるいは水着を着けずに手など体の一部や小物などで女性の局所を際どく隠した上で大股開きのような挑発的なポーズを取り、わざと男性の性的衝動をより刺激するような写真が使われる。これはある意味でグラビアの先祖帰りと言ってよい手法であり、こういったことが可能になった1つの要因として、かつてのフィルム製版からデジタル製版へと印刷技術が向上したことで、無理なポーズで女性の局所の一部が誤って写真に写ってしまった場合でもそのカットをボツとせずに簡単に画像修正できてしまうことが挙げられる。この技術を使い、タレントのホクロや吹き出物、傷、虫刺され跡などを出版側の要望で修正する場合も多くみられる(しかし、画像処理担当者が過剰に処理しすぎてしまい、本人を直接見たファンから写真との違いを指摘され、後に整形疑惑と噂されてしまう、という笑えない噂話がささやかれる場合もある)。また水着に代わり「見せ下着」という一見しただけではビキニと区別のつかないカラフルな下着を着用したグラビアも増えている。なおこの傾向の先駆者として名高いのはインリン・オブ・ジョイトイであり、レースクイーン出身の抜群のプロポーションを駆使して、尻や股間をことさら強調した「M字開脚」と呼ばれるAVもかくやという独特のポーズは世間でも話題となり、グラビアアイドルの存在感を広く知らしめた。
その一方で堀北真希、夏帆などに代表される、予め将来女優として売り出そうとしているタレントの清純なイメージを壊さぬように、極力肌の露出を抑えて、学生服や浴衣姿、普段着に近いファションの写真を前面に使用した情緒的作品もアイドルの清らかな少女性や神秘性を神聖化しているファンに好まれる傾向にある。かつては南野陽子、広末涼子などがこの路線のグラビアで売り出されて成功した。またそれらのモデルは水着グラビアを見せることが至極稀なことであり、水着が掲載された雑誌や写真集などは現在においても中古市場で高値で取引されている。
また、若者向けファッション誌による流行を取り入れ、非常にスタイリッシュなイメージを持つグラビアが増えているのも近年の顕著な傾向の1つ。その副産物として「SEVENTEEN」や「nicola」、「ピチレモン」等ティーン向けファッション誌の専属少女モデルをそのままグラビアアイドル、果てはその先の道に転身させるパターンが増えている。新垣結衣や南明奈等がその代表格で、今では日本を代表する若手女優の1人に成長した長澤まさみもこのパターンの先駈けとして認識されている。