木の洞をペンライトで覗き込み、ピンセットを使って引きずり出す方法。洞を縄張りとし、飛翔をあまりしないオオクワガタなどに用いられる。餌場の近くの台場クヌギ(枝が定期的に切り落とされたため、歪んで洞が形成されたクヌギ)がねらい目である。たとえ見つけることができても引きずり出すのは難しい。煙幕を使って中のクワガタムシを逃げ出させる方法があるが、その木には以後虫が寄り付かなくなってしまうため、厳禁である。
朽ち木を斧で割って幼虫や蛹、羽化したばかりの新成虫を取り出す方法。手頃な立ち枯れや倒木を斧で割り、それらしき新しい坑道を見つけるとそれに向かって掘り進んでいく。成虫の活動しない冬期には唯一の採集法となるが、一度割った朽ち木は二度と幼虫の住処となりえないことから、問題視されている。
ケースにマット(後述)を7、8割まで入れる。木に産む種類の場合は同時にシイタケ栽培のあとの廃ほだ木などを利用した飼育種に応じた腐朽度の産卵木数本も同時に埋め込む。マットに産卵させる種の場合、特に底のほうは硬く詰めると足場となり産卵しやすいとされる。次に餌となる昆虫ゼリーを入れ、メスを入れる。オスは別のケースに入れる。マットは少なめ、低価格のものでよい。
マットの湿気を保つため、定期的に霧吹きをかける。手で握って固まるくらいが丁度いいとされている。
オオクワガタ属のように長寿命の分類群のメスは、幼虫のときに蓄えたタンパク質だけでは十分産卵できず、成虫になってから樹液に繁殖した酵母の摂取、他の昆虫の捕食などによってタンパク質を多量に摂取する必要があることが知られており、同居中のオスを襲って食べてしまったなどという報告も多い。対策として高タンパクゼリーを与えるのが効果的で、そのほかにも昆虫の死体やカブトムシの蛹を与える愛好家もいる。
カブトムシと異なり、クワガタムシは縄張意識や戦闘本能が雌雄の区別なく強いので、カブトムシのように、オス1匹に対し複数のメスを同じケースに入れて飼育する事は避けたほうが好ましい。同種のメス同士が戦って勝った方のメスが負けたメスを殺してしまう事もあるからである。また、同種のオスがメスを死に追いやることも稀ではない。そのため、ペアリングの時以外には雌雄別々に飼育する事が好ましい。
野外で活動中に採集された個体ならば既に交尾を済ませている確率が高いが、飼育繁殖個体の場合オスと交尾させる必要がある。クワガタムシには大アゴの力が強いものも多く、時にはメスを敵とみなして殺してしまうこともあるため注意をしなければならない。飼育者の見ている間で交尾させる、クワガタムシの大アゴを輪ゴムなどで縛るなどの方法がとられる。
産卵木に産卵孔と呼ばれる産卵した痕が見られると、産卵した証拠である。卵の段階で取り出すと見落としやすく、また幼虫の消化管の醗酵室に共生する微生物の定着がうまくいかないからと考えられる原因で管理も難くなるため1令幼虫以降にまで育った段階で取り出すのがよいとされている。マットに産む種類は飼育容器のプラスチックの壁越しに、底に卵が見えることがある。産卵した形跡が見られない場合、産卵木、マットの種類を変えて試行錯誤する必要がある。
幼虫飼育には大きく分けて3種類ある。
材飼育産卵木を使用する。産卵木に穴を空けて幼虫を入れ、マットに埋める。自然に最も近い飼育法だが、手間がかかる割には大型個体が望めないため最近は少ない。
マット飼育マットに産む種類でなくともマットで飼育することができる。発酵済みマットに入れておくだけなので手間はかからない。添加物を混ぜて工夫することもできる。
菌糸ビン飼育簡単に大きい個体を作出することができるが、種類によって好き嫌いが激しく、オオクワガタやヒラタクワガタなどのオオクワガタ属やニジイロクワガタなどに使われている。上のほうをくりぬいてそこに幼虫を入れる。また、菌糸ビン以外に飼育下で繁殖法が不明な種類さえいる。
共食いが起こったり、一匹あたりの餌の配分が少なくなるため、1頭ずつ別々の容器に入れるのが基本だが、オスとメスの羽化時期がずれて次の産卵が行えなくなるのを防ぐ目的で、栄養状態の悪化による羽化個体の小型化に目を瞑り、敢えて多頭飼育することがある。
大体を食い終わると、マットを入れ替えなければならない。この時に幼虫が出した糞を新しいものに混ぜておくと新しいものに馴染みやすくなり、ストレスを感じず幼虫が痩せるのを防ぐことができることが知られている。そのほかにもドッグフードや成虫用の昆虫ゼリーを与える愛好家もおり、様々な方法が試みられている。
幼虫は蛹室を作って前蛹状態に入るが、蛹室は脆くて崩れやすく、容器を雑に扱うと割と簡単に崩壊してしまうことがある。この場合は人工蛹室を使用する。スポンジや木を使った市販のものもあるが、その手のものは簡単に自作できるし、マットに穴を掘り蛹室を再現することでも代用できる。
羽化したての新成虫は完全に色付いていない。外皮もまだ柔らかいため触るのは厳禁である。数日後あるいはそのまま蛹室内で越冬してから地表に出てくる。幼虫の成長のための摂食でなく、成虫になってからの摂食を昆虫学用語で後食(こうしょく)というが、雌の寿命が短く、幼虫期に蓄えた栄養素だけで卵形成し、産卵する種と、雌の寿命が長く、成虫になってから新たに後食によって得た栄養素で体を充実させ、逐次卵や精子を形成して長期に渡り繁殖活動を続ける種でこれの意味は大きく異なる。前者では単に活動に必要な糖分を得るだけでよく、時にはほとんど後食そのものを行わないものもあるが、後者ではタンパク質などの様々な栄養素を必要とする。成虫の活動時期の長い種や、蛹室内で越冬する種では、性成熟し、交尾可能な状態になるまで数ヶ月かかる。
ホームセンターやデパートなどで売っていることがある。専門店に行けば、割高だが質が高い用品を手に入れることができる。
クワガタムシ、カブトムシ用に樹液の代替品として開発された餌。クワガタムシ飼育ブームの以前から、夏休みに子供が採集したクワガタムシやカブトムシを短期間飼育するための用途で開発、販売されていた。市販されているカラフルなものはそうした古典的なタイプで、安価だがその分防腐剤がたくさん入っていたり、単純に糖分の水溶液を寒天で固めたのみの栄養素に偏りがあるものが多いため、多量に投与することは避けるべきである。尚、これらの防腐剤は人体には無害な物が多いが、誤食には注意を要する。
飼育ブームの到来以来、飼育愛好家のより高度な要求に応じて以下のような特殊なゼリーが開発、市販されるに至った。3層になっているもの、プロポリスを配合したものなどユニークなものも多い。
黒糖ゼリー黒褐色のものが多い。本来自然下で餌とする樹液の成分をヒントにして作られた。嗜好性に重点を置いている。栄養価は高いが、口ブラシの固化が指摘されている。
高タンパクゼリー乳白色や薄黄色のものが多い。栄養に重点を置いている。メスの産卵時にタンパク質を必要とすることから考案された。高値であるため、産卵用のメスなど特定のクワガタムシに与えることが多い。
寒天にヨーグルト、果汁などを混ぜ自作する方法があるが、手間がかかる割に日持ちしないため、市販のもので十分とされる。
他にも以下の関連商品がある。
餌皿(皿木)昆虫ゼリーをそのままマットの上に置くとマットがついて汚れてしまうほか、マットにも汁がついて不潔になりやすく、またクワガタムシにとっても食べにくい。そのため円盤型に輪切りにした木の切り口に昆虫ゼリーが入るような穴を数箇所空けた餌皿が市販されている。
ゼリーカッター昆虫ゼリーの蓋に十字型の切れ込みを入れる道具。昆虫ゼリーの蓋を開けて液が飛び散るのを防げるほか、中身がこぼれない、マットまみれにならないなどの利点がある。
ゼリースプリッター昆虫ゼリーは底が深く、長い大アゴを持つクワガタムシでは底のほうまで食べきることが出来ない。また無理に顔を突っ込んで大アゴが底を突き破り、抜けなくなる事故も見られる。そこでゼリーを縦に割ることのできる器械が市販されている。
昆虫ゼリーはいかにも人工物であるため嫌う愛好家も存在し、代わりに天然の樹液に似せて作られた人工樹液も売られているが、利便性や栄養分は昆虫ゼリーに劣る。