スタンダードとはいっても内側・窓側・ベランダ付きの三つに分かれるが、15〜18平方メートル前後のスペースに窓があるかないか、ベランダがついているかどうか程度の違いでしかない。
基本的な設備はベッド、テーブル、椅子、TV、電話、タンス、洗面所、トイレ、シャワーといった設備で部屋のスペースが広ければソファが、船によっては金庫が設置されている場合もある。バスタブはこのクラスでは基本的についていない。
定員は2名であるが、場合によっては4名の場合もある。4名の場合は天井や壁にベッドが格納されている。
部屋の電話は衛星を通じての国際電話も可能だが、陸上でかけるよりもチャージ(電話料金)を取られる。
ミニスィートは30平方メートル前後の部屋で寝室と居間が別れており、スタンダードの設備に加えて冷蔵庫、バスタブ、ビデオなどがつく。船によってはウォーク・イン・クローゼットがついていたり、シャワーブースが設けられていることもある。また、ベランダ付きの船であるのならほとんどの確率でついている。
スィートは50平方メートルから最大なものになると1,000平方メートルを超える。広々とした居間に複数の寝室というのが基本である。
浴室も大理石。船によっては窓がついていたり、ベランダにジャグジーがついていたりすることもある。ただし、眺望を考えてのことから高層階の角(つまり前方と後方)に設けられていることも多いが、船で一番揺れるのは高層階の端である。また、執事がつく等の特別なサービスを得られることもある。
「スィート」とは「甘い」(Sweet)では無く「一組、一そろい」(Suite)という意味であり、Suite だけで「続き部屋」のことを指す。
1950年代までの外国航路時代の大型客船、例えば現在、横浜港に展示してある「氷川丸」のような船は、スピードを出すため細くてスラリとした船型が特徴であったが、海外旅行の主役を飛行機に譲り、目的地へ早く移動するためではなく目的地まで行く過程を楽しむのが目的となったクルーズ客船は、もはやスピードを出す必要はなくなり、いっそう居住性が重視されるようになった。こういった船は船というよりはホテルに舳先をくっつけたように、多数の客室を高くそびえる壁面に並べ、船体ぎりぎりまで上部構造物が乗っている特徴的なシルエットになっている。また、昔に比べてベランダの数が増えているのが特徴で、ベランダを設けていない船でも改造工事によってベランダを増設している。
真っ白でファンネルで個性をつけているのが標準的なクルーズ客船だが、キュナードやHALのように下半分を濃紺に塗り分けていたり、ノルウェージャン・クルーズラインのハワイ路線のように特別なペイントを施している場合もある。
また、ロイヤルカリビアンのような煙突周辺に巨大な構造物があったり、カーニバルのようにT字型のファンネルをつけていることもある。
大きな船体では波浪による揺れの影響が小さくなり快適な旅が提供できて、共同で使う施設も大規模で豪華なものが搭載できる。また乗客数を増やせば利益の向上も見込めるため、カーニバルのファンタジー級の成功から船体規模は増大の一途をたどり、最大級のクイーンメリーIIにいたっては15万総トンを突破している。ただし、10万総トン以上になるとパナマ運河の通航が不可能になるため、10万総トン級と平行して、パナマ運河をぎりぎりで通過できるパナマックスタイプの船も合わせて作られている。一昔前までは7万トンが限界とされていたが、技術の進歩によって9万総トンにまで拡大している。
従来ではそれほど問題とならなかった風圧による操船への影響が、上部構造物の拡大によって顕著となり、同じく巨大化した自動車運搬船のように前後を丸くすることで風の抵抗を最小限にするよう考慮されている。
カーニバルクルーズがファンタジー級を大量に揃えて運用したことから、同型船を大量に配備することが普通になって、船ごとの個性というものが薄れている。また、クルーズ会社の合併吸収によって、同じタイプの船を傘下の各ブランドで運用することも行われている。例えばカーニバルクルーズのカーニバル・スピリット、コスタクルーズのコスタ・アトランティカ、HALのザイデルダムはすべて同型船である。こういったことから、クルーズ会社ごとの独自色も失われつつある。
客船は「海に浮かぶホテル」とか「ホテルにエンジンとプロペラを付けたもの」とは良く使われる表現であるが、船内組織もその通りに、「船を動かす人」と「ホテルとしてのサービスに携わる人」に大別される。
外国船・日本船を問わず、組織自体はどの船も大差はないが、役職名(肩書き)は運航会社により異なることに留意願いたい。以下は「飛鳥」及び「飛鳥II」の船内組織を例として編集されている。
出自は甲板部(航海士)であり、貨物船と同様、機関部も管掌するが、客船においては更にホテル部門も統轄し、乗客とのソーシャライジング(社交)も重要な職務となる。
運航責任者である船長としての役割の他に、ホテルサービスにも精通する必要があり、スピーチの機会も多く、ユーモアのセンスも求められ、また乗客とダンスのパートナーを務めたり、夕食時にはホストとしてテーブルで豊富な話題を提供する役目を負うなど、マルチな才能が求められる役職である。
このため、外国船の船長は、場合によってはその運航会社の社長以上の俸給を得ている例もある。 ただ日本船の船長は、いわゆる「サラリーマン船員」であるため、そのようなことはない。(日本の船員の給与水準自体は高いが)
このように多忙な役職であるため、副船長(スタッフ・キャプテン - Staff Captain)を置き、運航部門の業務を大幅に委譲することがある。
運航部門
甲板部
副船長を筆頭に、一等航海士(Chief Officer)、二等航海士(2nd Officer)、三等航海士(3rd Officer)、甲板手(Quarter Master)、甲板員(Sailor)など。船橋(ブリッジ)に立ち、操船に携わる。船体のペンキ塗り(客船では美観を保つため、高い頻度で行われる)やデッキの清掃も実施する。また、船内の安全管理(セキュリティ)も甲板部の職務である。
機関部
機関長(Chief Engineer)を筆頭に、一等機関士(1st Engineer)、以下甲板部と同様。その名の通り、エンジン関連に携わるが、客船においては電気関係、空調関係、冷熱機器類も守備範囲である。客室の「電気が切れた」、「空調の具合が…」と言うと、操機員が修理にやって来る。
無線部
日本のクルーズ客船の場合、「にっぽん丸」には通信長が乗船しているが、「飛鳥II」ではGMDSSにより、航海士がこれを兼務しており、専任の通信長・通信士はいない。客船に限らず船舶での通信業務は、機器類の信頼性向上や小型化による多数の通信手段の搭載により従来よりも簡便化の傾向が強い。
ホテル部門
ホテルマネージャー(Hotel Manager)
いわゆる「総支配人」に当たる。ホテルサービスの責任者。