別称は模様魚、関西蘭鋳。大阪府など近畿地方を中心に飼育されているランチュウ。関東のものよりも頭部が小さく、肉瘤もあまり発達しないのが特徴で小さい花房がある。体色は更紗か、ジキンのような六鱗柄が好まれる。1903年(明治36年)に鳥取県米子市在住の三好音次郎が発刊した『金魚問答』には本品種の更紗斑図は24列挙されており、現在この品種を手掛けている篤志家諸氏の大きな指標となっている。この品種の最も大きな特徴は尾である。体軸に対して平行についているとされる『尾先の割れない平付け丸尾』であり、この尾の作出および維持には困難を要する。明らかに遊泳に不適当と思える尾であるから、老熟魚においてスム-ズに遊泳を保っている個体群はほんの一握りであることも確認されている。実際には、古い錦絵等に登場してくる本品種は尾先の割れた桜尾や四つ尾も見受けられ、尾先の問題に関してはさほど執着はなかったような印象も受ける。太平洋戦争よりわずか数年後、奈良県の西川養魚場で二歳魚、二十数尾が死亡したのを最後に純血種は途絶えてしまったとされている。復元には上記の西川養魚場の努力もあり、近年、やっと往年の姿をした本品種も極めて稀にではあるが、専門店等において見受けられるようになった。復元には島根県出雲地方の地金魚である『出雲ナンキン(天然記念物指定)』、高知県土佐地方の地金魚『土佐錦魚(天然記念物指定)』、中国花房、獅子頭蘭鋳が関与している。本品種にはいくつものミステリアスな謎も多く、その一つに全盛期の本品種の実写写真が現在でも未発見、未発表な事。更に現在の日本金魚界を席巻している蘭鋳と合同で品評会が開催されていた歴史上の事実があるにも関わらず、太平洋戦争を期に西川養魚場の育成池に二歳魚、二十数尾しか残存していなかった事。これらの解明にはまだまだ時間がかかるものと思われる。現在、世界中で愛好されている金魚の数々の品種の中でも、最も真実の姿が伝達、継承されていないのも本品種の特長であろう。
キンギョは鼻に小さな毛玉のようなものがあるが、それが巨大化し房状になった品種。ランチュウ型のチュウゴクハナフサと、オランダシシガシラ形のニホンハナフサに分かれる。
ランチュウとアズマニシキの交配によるキャリコ柄。作出されてから日も浅いため品種の固定が完全ではない。都水産試験場(旧)にて、作出された。
エドニシキとランチュウを再び掛け合わせ(戻し交配)、淡いピンクと白銀のウロコを持たせた雅な品種。肉瘤は発達しない。
戦後、中国から輸入された品種。肉瘤の発達しない紅色の頭を持つ。また体型も全く丸くならないのがほとんどだが、近年では頭頂部が大きく発達した体型の丸い個体がタンチョウランチュウの名で市場に出回っている場合もある(なお「タンチョウ」については、オランダ獅子頭系を参照)。
イズモナンキン(出雲南京)
島根県の天然記念物。肉瘤の発達しない、リュウキンのような尖った頭部が特徴。キンギョとしては珍しく、白っぽい体色のほうが好まれる。江戸時代から松平家の保護の下、出雲地方で洗練されてきた。
ガトウコウのような背びれのない細長い体と、セイブンギョのように青みがかった体色が特徴。頭の肉瘤はほとんど発達しない。尾は短いものがほとんどだが、まれに長く伸びる個体も存在する。セイブンギョ同様、腹部が白く退色した羽衣も見られる。
明治20年頃、愛知県豊橋市でランチュウとオランダシシガシラを交配して作り出された品種。肉瘤の発達するランチュウ型の体型に、とても長く伸びるひれが特徴。体色はオレンジと白の更紗模様が一般的だが、セイブンギョに近いギンシュウキン(銀秋錦)やエドニシキに近いキョウニシキ(京錦)、サクラニシキに近いキョウサクラニシキ(京桜錦)なども存在する。最近では肉瘤のあまり発達しない中国産の個体が「シュウキン」として出回っていることが多い。国内産の個体は一時絶滅の危機に瀕したが、最近では徐々に復活し、希少種として珍重されている。
青森県の津軽地方で江戸時代より飼育されている品種。ランチュウよりも長めのひれが下向きについている。背びれが無いことが大きな特徴。津軽藩の武家などの間で飼育されていたが弘前博覧会で展示され、秩父宮雍仁親王が同博覧会を視察しそのとき宮が観賞したのを受け「津軽錦」という名前がつけられた。戦後の混乱などにより一時期絶滅していたが、愛好家の非常な努力によって1990年代後半頃に復活に成功した。現在は青森県青森市の浅虫水族館などで鑑賞可能。3歳くらいまでは体色が現れず、野生のフナと同じような色をしている。寒冷な気候には強いが暑さには非常に弱いため、飼育の際には注意が必要。
銀魚
リュウキンの変異種。鎖国時代長崎から入ったため「オランダ物」と呼ばれるが、原産は中国である。「獅子頭」の名の通り肉瘤が発達し、体長も長くなった。一般に飼育しやすい。
オランダシシガシラ(和蘭獅子頭)
頭部の肉瘤が非常に発達している。手に入れやすく、飼育も簡単。
ジャンボオランダ(ジャンボシシガシラとも言う)
熊本県や長崎県など、主に九州地方で飼育されている品種。体型や体色は普通のオランダシシガシラとほぼ同じだが、「ジャンボ」の名の通り、非常に大きく成長するのが特徴。大きな個体では体長が50cm近くにまで達する。
アズマニシキ(東錦)
サンショクデメキンとの交配によるキャリコ柄。英名は「キャリコオランダ」、エドニシキよりは遥かに安定している。