キログラム
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グラムとキログラム

グラム(gram, gramme, 記号:g)は質量の単位であり、SIにおいてはキログラムの1000分の1 (10-3 kg) と定義されている。「キログラム」は、明らかにグラムに接頭辞キロをつけたものである。しかし、SIにおいては、グラムではなくキログラムが基本単位となっており、グラムはその分量単位の一つとされている。

グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのには、以下のような経緯がある。

フランスにおいて1790年当時フランス王ルイ16世の号令の元、新しい時代の度量衡としてメートル法を策定すべく、主に科学者達で構成された委員会が結成された。当時その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1で構成された立方体の升に入った水の質量、すなわち1リットルの大気圧下で氷の溶けつつある温度(0度)における水について、grave(グラーブ、記号G)と名称が与えられた質量単位を標準とする事が提案された。その語源はgravity(重力)から由来したものである。

当初はこのgrave(グラーブ)が質量の基本単位として原器が作られる予定であった。またこれを元として、1graveの1000分の1を別の質量単位名でgramme(グラム)ないしgravet(グラベト)、また1graveの1000倍を別の質量単位名を用いてtonne(トン)ないしbar(バー)と称するように名称が考案されたりもした。そしてやがて来るフランス革命の波に襲われ、科学者達の研究は途中で中断するのだが、その後、新しい革命政府が樹立されると再びメートル法が注目されるようになった。しかしそのフランス革命の後、質量の単位は大きな転機を迎える事となる。

1795年の(暫定)メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位をgrave(グラーブ)から、その1000分の1を表すgramme(グラム)へと変更したのである。理由は諸説あるが、有力な説の一つとして、1graveという大きさの質量が当時、メートル法以前の昔から使われてきたいくつかの質量の旧単位と比較しても、大きな単位であるということがある。その為フランスの科学者達は、グラーブは日常的に使う質量単位としては大き過ぎるであろうと危惧し、フランス共和政府と共に、質量の基本単位は1グラーブの1000分の1である1グラムを質量標準として使用すべきであると決定したという説があるが、真相は定かではない。

しかしながら質量標準を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は基本単位とした1グラムの1000倍、即ち当初の予定通り1graveの質量原器を作る事を決めた訳であるが、その名称が使われる事はなくグラムの1000倍を表す為に接頭辞のキロ (k) をつけた名称、"キログラム (kg)"の名前を冠した原器を作る事と決めた。これはあくまでも質量の基本単位をグラムにした事に起因する。こうして当初の質量単位grave(グラーブ)の名称は姿を消すのである。

これが後の1799年に作成された"確定キログラム原器"となった。こうしてメートル法制定当初、長さの単位をm(メートル)、質量の単位をg(グラム)とした基本単位が出来上がった。しかし、メートルとグラムとではその規模が異なる。すなわち、グラムで量られる質量を持つものはセンチメートル台の大きさであることが多く、逆にメートルで測られる大きさを持つものはキログラム台の質量を持つことが多い。そのため、メートルの代わりにセンチメートルを採用し、センチメートル・グラム・秒を基本単位とする単位系が構築されるようになった。これがCGS単位系である。

しかし、電磁気学の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしまう。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・キログラム・秒を基本単位とするMKS単位系へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系 (SI) においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。

キログラムの分量・倍量単位の接頭辞は、キログラムではなくグラムを基準にしてつけられる。これは、SIでは二重に接頭辞をつけることを禁じているためである。そこで、キログラムを基準として接頭辞がつけられるように、キログラムに代わる新たな単位名称をつけようという提案が何度かなされている。quilo(記号:q)やkilon(記号:k)といったものが提案されているが、正式に議論にかけられたものは、現時点ではない。


重量との関係

ある物体の重さがキログラムで与えられたとき、それはほとんどの場合質量を表している。しかしながら、物体の重量が「キログラム」で与えられることが時々ある。その場合、それは「キログラム」ではなく実際には重量キログラム(kgf, kgw, キログラム重)である。地球表面において1キログラムの質量を持つ物体には約9.80665ニュートン(力のSI単位)の重力が働く。980.665 cm/s2(この値が定義されたときはCGS単位系が主として使われていた)という値は、グラム重を定義するために第3回国際度量衡総会 (CGPM) で定められた協定値であるということに注意する必要がある。重力加速度は緯度や高度、場所によって異なるので、この値が定められるまではグラム重という単位は値が不明確な単位であった。


分量・倍量単位

接頭辞は歴史的な理由により、キログラムではなくグラムに対してつけられる。例えば1キログラムの100万分の1の質量は、1「マイクロキログラム」ではなく1ミリグラム(1000分の1グラム)となる。

キログラムの1000倍の質量は、本来ならば1メガグラムと呼ばなければならないが、この名前が用いられることはなく一般にはトンが使われる。他に、マイクログラムもよく用いられる。マイクログラムは「μg」と書くのが正しいが、「μ」の文字を表示できない場合に「ug」と書かれることもある[1]

ヨタグラム(Yg) -- 1024 g (1021 kg, 1018t(1 Et))

例: ウンブリエル(天王星の衛星)、ディオネ(土星の衛星)、セレス


ゼタグラム(Zg) -- 1021 g (1018 kg, 1015t(1 Pt))

エクサグラム(Eg) -- 1018 g (1015 kg, 1012t(1 Tt))

ペタグラム(Pg) -- 1015 g (1012 kg, 109t(1 Gt))

テラグラム(Tg) -- 1012 g (109 kg, 106t(1 Mt))

ギガグラム(Gg) -- 109 g (106 kg, 103t(1kt))

メガグラム(Mg) -- 106 g (103 kg, 1t)

キログラム(kg) -- 103 g (1 kg)

グラム(g) -- 100 g (10-3 kg)

センチグラム(cg) -- 10-2 g (10-5 kg)

ミリグラム(mg) -- 10-3 g (10-6 kg)

1立方ミリメートルの水の質量は1ミリグラムである。

砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。


マイクログラム(μg) (mcg)-- 10-6 g (10-9 kg)

ナノグラム(ng) -- 10-9 g (10-12 kg)

ピコグラム(pg) -- 10-12 g (10-15 kg)

フェムトグラム(fg) -- 10-15 g (10-18 kg)

アトグラム(ag) -- 10-18 g (10-21 kg)

ゼプトグラム(zg) -- 10-21 g (10-24 kg)

ヨクトグラム(yg) -- 10-24 g (10-27 kg)

核子原子分子の質量はヨクトグラムのオーダーである。より軽い粒子のためにはヨクトグラムでも大きすぎるが、現在ヨクトよりも小さな値を表すSI接頭辞は存在しない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen