データの再利用率とその時間的特性を示す言葉。ある領域のデータ転送が行われ、近い期間に再度同一データの転送が行われる可能性がある場合は時間的局所性があるという。CPUにおける命令キャッシュや、ウェブブラウザなどにおけるファイル単位のデータ保持などは、転送が行われた近い期間にループや戻るボタンなどによる再転送要求を期待して、アクセスがあったデータをある程度後まで保持しておく。逆に音声のようなストリームデータなどは時間的局所性はあまりなく、下記にあるキャッシュの空間的局所性に頼った効率化を図る必要がある。
データの格納位置に対する偏在性を示す言葉。ある転送要求データの近傍領域が連続もしくは近い期間に転送要求される可能性がある場合は空間的局所性があるという。真にランダムに転送されるべきデータというのは少なく、大抵のデータには空間的局所性が存在する。一般的にデータ転送でスループットよりレイテンシ、すなわちデータ転送帯域より転送距離が問題となる場合は、小さなデータを何度も転送するよりも少ない回数でより多くのデータを転送することで効率向上する場合が多い。従って転送元は空間的局所性を期待して未要求の近傍データも同時に送り、キャッシュにより未要求データを保持することで、キャッシュ下位レベルとの転送セット回数を削減しようとする。CPUキャッシュメモリのラインサイズは、この空間的局所性に鑑みて決定される。
歴史
1961年 マンチェスタ大学のTom Kilburnらが開発中のコンピュータAtlasに仮想記憶機構を搭載
1962年 Kilburnらが論文"One-level storage system"を発表
1965年 ケンブリッジ大学のMV Wilkesがキャッシュに関する最初の論文"Slave Memories and Dynamic Storage Allocation"を発表(論文ではキャッシュをスレーブメモリと呼んだ)
1965年 ケンブリッジ大学でGordon Scarrottがダイレクトマップ方式の命令キャッシュを実装
1967年 最初のキャッシュ搭載商用マシンIBM360/85が完成(16-32KB, 80-160ns)。1968年発売
1968年 IBMのDonald H. GibsonらがIBM360/85の性能評価に関する論文"Structural Aspects of the System/360 Model 85 I: General Organization."を発表。そのなかで初めてキャッシュという用語が使用された
参考文献
ジョン・L・ヘネシー/デイビッド・A・パターソン著、富田眞冶/村上和彰/新實治男訳、『コンピュ−タ・ア−キテクチャ 設計・実現・評価の定量的アプローチ』、日経BP社、ISBN 4-8222-7152-8
デイビッド・A・パターソン/ジョン・L・ヘネシー著、成田光彰訳、『コンピュータの構成と設計 ハードウエアとソフトウエアのインタフェース 第2版(上/下)』、日経BP社、ISBN 4-8222-8056-X/ISBN 4-8222-8057-8
山崎傑著、『オペレーティング・システムの基礎』、CQ出版社、ISBN 4-7898-3668-1
中森章著、『マイクロプロセッサ・アーキテクチャ入門 RISCプロセッサの基礎から最新プロセッサのしくみまで TECHI Vol.20』、CQ出版社、ISBN 4-7898-3331-3
関連項目
CPU
レジスタ
キャッシュメモリ
バス
ハードディスク
磁気テープ
補助記憶装置
ネットワーク
データベース
グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)
デジタル信号処理機(DSP)
キャッシュアルゴリズム
カテゴリ: コンピュータの仕組み | ハードウェア | プログラミング
更新日時:2008年7月4日(金)10:33
取得日時:2008/08/19 00:04