キノコ
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品種改良

何れの方法を用いても簡単に優れた新品種は現れず、数多くの回数と時間が必要になる。


細胞融合法

キノコの品種改良は、目的のキノコの糸状菌糸をトリコデルマやカタツムリなどから抽出される細胞壁を溶かす酵素液により、細胞レベルに分解しプロトプラストを形成させ別な種の細胞との融合を起こさせる。[16]


交配法

植物や動物では受精後直ちに二つの核が融合し、染色体の数が二倍の核(2n)を形成するが、キノコではほとんどの期間を二核菌糸で過ごし、胞子を作る直前に融合(2n)した後、減数分裂を行う。この特性を利用し、二核菌糸(n+n)の菌糸塊を同一培地上で接触させ、培養する。[17]


毒キノコ

さまざまなキノコが食用となる一方で、毒キノコも数多く存在する。中には致命的なを持つものもある。毒キノコのの成分にはアマトキシン類ムスカリンイボテン酸、コプリン、イルジンなどがある。

毒キノコによる中毒の症状は様々である。摂取すると、嘔吐、腹痛、下痢痙攣、昏睡などの症状を生じ、最悪の場合に至る。長期にわたる体の麻痺を生じるようなキノコもある。変わったところでは、アルコールと一緒に食べると中毒を引き起こすものもある。

毒キノコの中には食用キノコと非常によく似たものがある。また、いくら毒性が弱くても体調によっては深刻な症状となることもある(ツキヨタケのような、比較的弱い毒キノコでも中毒死した例はある)。困ったことには、自然界には食毒の不明なキノコが多数存在し、さらに、一般には毒性がないとされる種であっても生育地域によっては毒性を持つ可能性がある。スギヒラタケは従来、食用とされていたが2004年に突如、食中毒例が報告された。

キノコの同定の経験に乏しい人が野生のキノコを素人判断に基づいて食べるのは非常に危険である。食用キノコか否かを簡単な基準で見分ける方法は(実際に食べてみるというのを除けば)一切知られていない。また、安全と言われてきたきのこが変異または環境の変化などにより毒をもつ例もある。

エノキタケの廃培地からも発生するコレラタケは「食用キノコを収穫した後に生えるから大丈夫」と誤解され食中毒を起こす。

毒があるにもかかわらずフグが珍重されるように、地方・民族によっては毒キノコを食用とする場合もある。この場合、塩蔵する、ゆでこぼす(ゆでた後ゆで汁を捨てて調理する)、さらにその後流水に長時間さらすなどの処理を施してから調理される。ただし全ての種がこれらの手段によっても毒性が消失するわけではなく、また毒が抜けるとされる種でも素人が安易に真似をするのは控えるべきである。


見分け方

毒キノコの確実な見分け方は存在しない。毒キノコは色が派手なものとは限らない。(コレラタケの仲間、ヒメアジロガサ)

「縦に割けるキノコは食べられる」「毒キノコは色が派手で地味な色で匂いの良いキノコは食べられる」「のスプーンが変色しなければ食べられる」「虫が食べているキノコは人間も食べられる」「ナスと一緒に食べれば中毒しない」といった見分け方は何の根拠もない迷信であり、絶対にそれらの基準で判断してはいけない。事実、猛毒であるコレラタケ、ドクササコなどは縦に割け地味な色である。これらのよく知られた俗説が全国区の権威あるものとして広まった背景としては、明治初期の官報に、一部で流布していた俗説を事実であると誤認し、掲載してしまったためであると言われている。

食用か毒かを判断するには、そのキノコの種、さらにはどの地域個体群に属するかまでの同定結果に基づくべきである。また、実際に起きているキノコによる中毒の多くは、既に毒であることが知られたキノコによるものであることをわきまえる必要があろう。キノコ中毒を未然に防止するためには公の機関によるさらなる啓蒙が必要である。


キノコ狩り

日本では、主に秋のキノコ採集シーズンにおいて、各地域のキノコ愛好家団体による同定会が開催されてている。公立試験研究機関や大学のキノコ関連の研究室が開催している場合もある。同定会に参加すれば、判定するための試薬や顕微鏡といった資材が利用できる上、複数の経験者により的確な判断が得られることなど、安全さと正確さを確保することができる上、自分で採集したキノコ以外を観察することもできるので、単なる食・毒の判断にとどまらずキノコ全般や現地の自然環境についての知識を養うことができる。

同定会の前に採集会がセットされているのが通例で、団体で行動することにより山中でのトラブルを避けることができる。山中のトラブルといえば転落事故や熊・イノシシによる攻撃をイメージしがちだが、もっと注意すべきなのは他人の私有地の中に踏み込みそこでキノコを採取したことによる財産権の問題である。特に商品価値の高いマツタケが生育する場所では、マツタケの採取権と土地の所有権とが別に管理されている場合もあり、特に注意しなければならない。

採集会に参加する際は、指導者からの指示をよく守るべきである。特に狭い地域に多人数が押し寄せてキノコを探し回り踏み荒らすと発生環境が乱され、キノコの発生が減少するにとどまらず、そこの生態系に強い損害を与える危険性がある。

キノコを収穫するだけでなく菌糸体そのものに傷を付けたり好適な基物を破壊したりすると、来シーズンの収穫見込みが減るだけではなく、その区域の自然の多様性を損なうおそれもある。友人のため、家族のためという名目で何でもかんでも引っこ抜いて行くというのは慎むべきである。逆に食用きのこの胞子をまいて増やそうとする行為も稀に見受けられる。効果が疑問であり明確に有害だとは言えないが、自然のバランスを乱す行為には違いない。また、人間にとって危険かつ無用な毒キノコだからといって「討伐」するような行為は、何ら益のない単なる自然破壊に過ぎない。

不幸にしてキノコによる中毒が疑われる状態になった場合には、食べたものを吐かせ、直ちに医師の診察を受けなければならない。その際には、食べたキノコの残りがあれば持っていった方がよい。どのようなキノコによる中毒かがわかった方が適切な治療がしやすいからである。調理したものの残りや吐いたものの中にも手がかりがある場合がある。キノコの種類によっては、摂取から発症までに数日を要するものもある。したがって、医師の診察を受ける際には「4日前に山で採集したキノコを食べた」というようなことを伝えることで救命率が改善されると見られる。

比較的古い(昭和中期)資料では、日本国内でも採れる毒キノコである「ベニテングタケ」を猛毒あるいは致死性の高い毒キノコと表記しているものがあった。ベニテングタケは他のキノコ(食用も毒も含めて)に比べて圧倒的に目立ちやすく、誤食した場合の症状が幻覚性であること、長野県のごく一部にて特別な方法を用いて食用とされる事例が存在する(塩漬けにして食用としている。講談社発行『科学大辞典―MEGA』より。しかし不十分な知識で行わないことを警告する。詳細はリンク「ベニテングタケ」を参照のこと。)ことを勘案し、あえて毒性を強く書くことにより事故を予防したものと見られる。ただし、それによってキノコの色彩の派手さこそが毒性の強さの指標となるような誤った認識を助長し、地味な色彩の毒キノコへの警戒心を弱めてしまった側面は否めない。猛毒キノコには地味なものも派手なものもあるが、中毒者数から見た日本の代表的な毒キノコはツキヨタケであり、色彩は地味である。

こうした経緯もあり、最近の植物図鑑やキノコ類の資料においてはこのような記述はなく、「毒キノコの中では比較的毒性が弱い」というような科学的に正確な記述に置き換わっている。当然ながら、弱い毒性であれ人体に有害なのは事実である。幻覚を求めて誤食するようなことは生死に関わる問題である。ベニテングタケの主要な毒成分であるイボテン酸神経伝達物質のアナログであり、脳の神経細胞を異常に興奮させることで不可逆的なダメージを与える可能性がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki