食用キノコ栽培業シイタケは佐賀県、栃木県をはじめ全国で行われ、ナメコ、シメジ、エノキタケなどは長野県、新潟県などで個人経営の農家による小規模なものから、株式会社による大規模な生産も行われている。規模の差はあっても、生産技術的には同質である。現在の日本のキノコ栽培は、トリコデルマやアオカビなどの有害菌の影響を排除し収穫量と品質を安定と少人数での生産を可能にするため、培地(原木や菌床)を高温滅菌し無菌室のような栽培室で育成するだけでなく、農産物でありながら全ての工程で機械化が進み工場と化している。前述の高温滅菌や温湿度を生育条件に合わせ適切に管理するためのエネルギーコストと、廃培地の処理コストの負担は大きく、売価の下落に伴い小規模な生産者や零細農家の廃業が増加している。[12]種菌は、種菌を生産する専門業者からキノコの生産者に向け供給される。培地に混ぜることでキノコの収穫量を高める増収剤は,増収剤を生産する専門業者からキノコの生産者に向け供給される。JAが供給する増収剤の中には成分分析結果を公表しない増収剤があり,JA信州諏訪ではJAが供給する増収剤に対して食品の安全性を明確にできないことが問題視される。[13]
廃培地の再利用、
従来は、堆肥原料として「おから」「家畜糞」「りんごジュース粕」などと共に利用されることが多かったが、堆肥以外への利用検討も進んでいる。
JA中野市では、えのきたけの廃培地を再マッシュルーム栽培に再利用[14]や、2007年には巨峰の促成栽培に使用する重油の代替燃料としての木質燃料化も行われ、実証試験で良好な結果を得ている。[15]
何れの方法を用いても簡単に優れた新品種は現れず、数多くの回数と時間が必要になる。
細胞融合法
キノコの品種改良は、目的のキノコの糸状菌糸をトリコデルマやカタツムリなどから抽出される細胞壁を溶かす酵素液により、細胞レベルに分解しプロトプラストを形成させ別な種の細胞との融合を起こさせる。[16]
交配法
植物や動物では受精後直ちに二つの核が融合し、染色体の数が二倍の核(2n)を形成するが、キノコではほとんどの期間を二核菌糸で過ごし、胞子を作る直前に融合(2n)した後、減数分裂を行う。この特性を利用し、二核菌糸(n+n)の菌糸塊を同一培地上で接触させ、培養する。[17]
さまざまなキノコが食用となる一方で、毒キノコも数多く存在する。中には致命的な毒を持つものもある。
毒キノコの毒の成分にはアマトキシン類、ムスカリン、イボテン酸、コプリン、イルジンなどがある。
毒キノコによる中毒の症状は様々である。摂取すると、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、昏睡などの症状を生じ、最悪の場合死に至る。長期にわたる体の麻痺を生じるようなキノコもある。変わったところでは、アルコールと一緒に食べると中毒を引き起こすものもある。
毒キノコの中には食用キノコと非常によく似たものがある。また、いくら毒性が弱くても体調によっては深刻な症状となることもある(ツキヨタケのような、比較的弱い毒キノコでも中毒死した例はある)。困ったことには、自然界には食毒の不明なキノコが多数存在し、さらに、一般には毒性がないとされる種であっても生育地域によっては毒性を持つ可能性がある。スギヒラタケは従来、食用とされていたが2004年に突如、食中毒例が報告された。
キノコの同定の経験に乏しい人が野生のキノコを素人判断に基づいて食べるのは非常に危険である。食用キノコか否かを簡単な基準で見分ける方法は(実際に食べてみるというのを除けば)一切知られていない。また、安全と言われてきたきのこが変異または環境の変化などにより毒をもつ例もある。
エノキタケの廃培地からも発生するコレラタケは「食用キノコを収穫した後に生えるから大丈夫」と誤解され食中毒を起こす。
毒があるにもかかわらずフグが珍重されるように、地方・民族によっては毒キノコを食用とする場合もある。この場合、塩蔵する、ゆでこぼす(ゆでた後ゆで汁を捨てて調理する)、さらにその後流水に長時間さらすなどの処理を施してから調理される。ただし全ての種がこれらの手段によっても毒性が消失するわけではなく、また毒が抜けるとされる種でも素人が安易に真似をするのは控えるべきである。
毒キノコの確実な見分け方は存在しない。
「縦に割けるキノコは食べられる」「毒キノコは色が派手で地味な色で匂いの良いキノコは食べられる」「銀のスプーンが変色しなければ食べられる」「虫が食べているキノコは人間も食べられる」「ナスと一緒に食べれば中毒しない」といった見分け方は何の根拠もない迷信であり、絶対にそれらの基準で判断してはいけない。事実、猛毒であるコレラタケ、ドクササコなどは縦に割け地味な色である。これらのよく知られた俗説が全国区の権威あるものとして広まった背景としては、明治初期の官報に、一部で流布していた俗説を真実であると誤認し、掲載してしまったためであると言われている。
食用か毒かを判断するには、そのキノコの種、さらにはどの地域個体群に属するかまでの同定結果に基づくべきである。また、実際に起きているキノコによる中毒の多くは、既に毒であることが知られたキノコによるものであることをわきまえる必要があろう。キノコ中毒を未然に防止するためには公の機関によるさらなる啓蒙が必要である。
日本では、主に秋のキノコ採集シーズンにおいて、各地域のキノコ愛好家団体による同定会が開催されてている。公立試験研究機関や大学のキノコ関連の研究室が開催している場合もある。同定会に参加すれば、判定するための試薬や顕微鏡といった資材が利用できる上、複数の経験者により的確な判断が得られることなど、安全さと正確さを確保することができる上、自分で採集したキノコ以外を観察することもできるので、単なる食・毒の判断にとどまらずキノコ全般や現地の自然環境についての知識を養うことができる。
同定会の前に採集会がセットされているのが通例で、団体で行動することにより山中でのトラブルを避けることができる。山中のトラブルといえば転落事故や熊・イノシシによる攻撃をイメージしがちだが、もっと注意すべきなのは他人の私有地の中に踏み込みそこでキノコを採取したことによる財産権の問題である。特に商品価値の高いマツタケが生育する場所では、マツタケの採取権と土地の所有権とが別に管理されている場合もあり、特に注意しなければならない。