ガラス
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概説ガラスを素材として用いた工芸品(イギリス ブリストル産)建築物の外壁に用いられているガラス

ガラスの歴史および種類と応用についての詳細は節を改めて述べる。

ガラスには多くの種類があるが、その多くは可視光線に対して透明であり、硬くて薬品にも侵されにくく、表面が滑らかで汚れを落としやすい。このような特性を利用して、窓ガラスレンズ食器(グラス)など市民生活及び産業分野において広く利用されている。近代以前でも装飾品や食器に広く利用されていた。また金属表面にガラス質の膜を作った「琺瑯(ほうろう)」も近代以前から知られてきた。

ガラスの表面に細かな凹凸を付けたすりガラスや内部に細かな多数の空孔を持つ多孔質ガラスは、散乱のために不透明である。遷移金属や重金属の不純物を含むガラスは着色しており、色ガラスと呼ばれる。

2002年の統計によれば日本だけでも建築用に3,900億円、車両用に1,700億円、生活用品に3,000億円、電気製品等に8,300億円分も出荷されている[2]


組成・製造・構造

ガラスは、主成分となる二酸化ケイ素 (SiO2) 原料(ケイ砂が多い)と副成分となる種々の金属化合物を粉末として混合し、高温で溶融して液体状態としたものを急冷することで製造される。使用済みのガラス製品を破砕して原料(カレット)として再利用することもできる。

副成分として加えられるのは多くの場合は酸化物であるか高温で酸化物となるものである。主な副成分には、酸化ナトリウム (Na2O) 、酸化マグネシウム (MgO) 、酸化カルシウム (CaO) 、酸化ホウ素 (B2O5) 、酸化リン (P2O5) などがある。原料となるこれらの酸化物は役割に応じて大きく次の3つに分類される。
網目状酸化物
それ自身で非晶質化できるもの。網目状のネットワーク構造を形成する。(SiO2) 、(Al2O3) など。
修飾酸化物
それ自身では非晶質化できないが、上記の網目状酸化物の形成するネットワーク構造内では非晶質化が可能(= 網目を修飾する)なもの。(La2O3) などの希土類酸化物が中心。
中間酸化物
網目状酸化物と修飾酸化物の中間的な存在。非晶質化しにくく、網目状酸化物と修飾酸化物との混合によってガラス化する。

上記の溶融法によるガラス製造は古代から知られているが、現在では他の製造法も存在する。CVD法(chemical vapor deposition method, 化学蒸着法)やVAD法(vapor-phase axial deposition method, 気相軸付け法)では、気体のSiCl4を加熱基板上で反応させて酸化物を堆積し、焼結してガラス化する。ゾル-ゲル法では、例えばテトラエトキシシラン (Si(OCH2CH3)4) などの金属アルコキシドを加水分解し縮重合させてゾルとし、水分を除いて生じたゲルを焼結してガラス化する[1][3]

ガラスは図に示すように原子の並びが不規則な非晶質である。結晶では固体の中の結晶界面で光が散乱したり方向により光学特性や力学特性が異なったりするが、ガラスは非晶質なので全体が均一で透明であり、特定方向にだけ割れやすいということもない。

水晶の分子構造 結晶を形成している。ケイ素原子(黒丸)と酸素原子(白丸)からなる。以下の3点のモデルでは二次元構造を示す。

アモルファス構造をとった二酸化ケイ素

ガラスの分子構造例 アモルファス構造をとった二酸化ケイ素が骨格となり、ナトリウム・イオン(薄緑色)、カルシウム・イオン(緑色)を含む。桃色はイオン化した酸素。アルミニウム原子(灰色)が安定剤として働いている。


ガラス状態について

ガラスは液体状態を凍結したような状態(粘度が極端に高くなった状態とも言える)であり、それは準安定状態にあると言える。従って、非常に長時間を経過するとガラスは安定状態である結晶化すると考えられるが、それに対しては異論もある。また、ガラスは固体ではあるが、過冷却およびガラス転移により粘度が非常に高くなった液体であるという捉え方もある。

ガラスとアモルファスは、ほぼ同義のものとして捉えてよい場合が多いが、ガラス転移点が明確に存在しない場合をアモルファスと定義するような場合(分野)もある。ガラス転移とは主緩和の緩和時間が100s〜1000sの温度で起こる。

ガラスと同じ構造、すなわちガラス化する物質は珍しくない。ヒ素イオウなどは単体でガラス化する。酸化物ではホウ酸 (B2O5) 、リン酸 (P2O5) などが二酸化ケイ素の代わりに骨格となってガラスを形成する。ホウ酸塩ガラスは工業的に重要である。例えばパイレックスガラスは重量比で12%のホウ酸を含む。


物理的性質

密度は水の2倍半程度、2.4-2.6g/cm3であるが、鉛を用いたフリントガラスでは同6.3に達する。金属ではアルミニウムが2.7、鉄が7.9であるから、フリントガラスは金属なみの密度であることになる。逆に金属元素を含まない石英ガラスは同2.2である。

引っ張り強さに関しては0.3-0.9×108T/Paである。これは鋼鉄の1/10ではあるが、ナイロンや革ベルト、木材と同程度である。

常温では電気抵抗はきわめて高く、絶縁に用いられることもある。内部抵抗率は109から1016 Ωm、湿度50-60%時における表面抵抗率は1010から1012 Ω/□。これはゴムやセラミックスと同程度である。ただし、流動点に近い温度では電気抵抗がきわめて低くなる。

刃物として用いる場合、非晶質であるため理論上は刃の先端径を0にできる(金属などの結晶体はどうしても結晶の大きさ分の径が残ってしまう)ため、鋭利な刃を作ることが可能である。その刃先は研磨によってではなく割れた断面に生じるが、金属より弾性靭性が乏しいためナイフ・包丁などといった一般的な実用刃物としてはあまり適さない(欠け・割れが生じやすい)。しかし生態組織を顕微鏡で観察する際、樹脂で固めた組織を薄くスライスするカッター(ミクロトーム)として用いられることがある。


化学的性質

化学的には、フッ化水素など、一部のフッ素化合物を除く)には強いがアルカリに弱い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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