オランダ語
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子音

オランダ語の子音つづり発音単語例
p, b(語末)[p]pen [p?n] (ペン)
b[b]biet [bit] (甜菜)
t, d(語末)[t]tak [t?k] (枝)
d[d]dak [d?k] (屋根)
k[k]kat [k?t] (ネコ)
m[m]mens [m?ns] (人)
n[n]1nek [n?k] (首)
ng[?]eng [??] (怖い)
f[f]fiets [fits] (自転車)
v[v]2oven [ov?n] (かまど)
s[s]sok [s?k] (靴下)
z[z]3zeep [ze?p] (石鹸)
ch[x][?]4acht [?xt] (8)
g[x][?]4gaan [?a?n] (行く)
r[r]5rat [r?t] (ネズミ)
h[h]hoed [hut] (帽子)
w[?]wang [???] (頬)
j[j]jas [j?s] (コート)
l[l]land [l?nt] (土地)


註1: 動詞や名詞の複数語尾 -en の n は標準語では発音されない。

註2: 語頭で無声化して[f]となる。

註3: 一部方言において[s]として発音されることがある。

註4: 基本的に後に母音が続く場合は[?]、そうでない場合は[x]とされているが、ほとんど同じように聞こえる。

註5: [r](歯茎ふるえ音)、[?](有声口蓋垂摩擦音)、[?](口蓋垂ふるえ音)、[?](歯茎接近音)などさまざまに発音される。標準語の日常会話では[?]が主流だが、改まった場では[r]が好まれる。

sch は s + ch とみなし[sx]と発音されるが、語尾では[s]となる。

[g]、[?]、[?]は外来語の中にのみ現れる。ときに[g]は[?]として発音される。例: goal [gol], chef [??f], jury [?yri]

そのほか、 sj は[?]、 tj は[c]、 nj は[?]と発音される。(オランダ語の音韻学上これらは単独の音素ではなく、それぞれ/s/+/j/、/t/+/j/、/n/+/j/の異音とみなされる。)

[?](声門閉鎖音)が母音から始まる音節の頭に現れる。(オランダ語においては単独の音素とみなさないのが一般的である。)

同化作用のために、次の語の語頭の子音はしばしば無声化する。例えばhet vee(the cattle)は/h?tfe/になる。この無声化プロセスは一部地域(アムステルダム、フリースラント)では極端になり、[v], [z]及び[?]がほぼ完全に無くなる。さらに、南部では、これらの現象が語中でも起こる。例えば、logenがloochen [lo??] → [lox?]。フランドルではgが口蓋化する(軟g)ため、この差はより大きめである。ただし、本来の有声音である/v/, /z/は/f/, /s/より発音時の息の出し方が弱い傾向にあり、無声化しても音素の対立はある程度認められる。


歴史的な発音の変化

低地ドイツ語から生じたオランダ語は第二次子音推移を受けていない。そのほかに独自の変化も見られる。例えば、-oldや-oltで終わる語はlを失い、二重母音化した。比較すると、英語 old, ドイツ語 alt, オランダ語 oud のようになった。/u/を持つhus(「家」)のような語は、まず/y/を持つ huus に変化し、続いて二重母音/?y/を持つ huis に至った。音素/g/は失われて有声軟口蓋摩擦音 /?/ になったり、またフランダースやリンブルフなど南部では有声口蓋化摩擦音になったりした。


文法


法と時制

時制には、直説法(現在形、過去形、未来形、現在完了形、過去完了形、未来完了形)、仮定法現在形、命令法がある。ドイツ語と異なり、仮定法(ドイツ語の接続法に相当する)はあまり用いられない。


動詞

動詞は主語に応じて人称変化する。1つの主語に複数の動詞・助動詞が対応する場合、人称変化するもの(定動詞)は1つだけであり、他は不定形のままになる。ドイツ語と同様に、分離動詞と非分離動詞が存在する。英語のto不定詞、ドイツ語のzu不定詞に相当するte不定詞も用いられる。分離動詞のte不定詞は、ドイツ語とは異なり、「分離接頭辞」+te+「動詞本体」を離して書かれる(例「到着すること」:独anzukommen、蘭aan te komen)。


語順

平叙文の主節(主文)では、動詞(または助動詞)を必ず文の2番目に置くという語順V2語順、定形第2位の原則)をとる。主語は1番目に置かれることが多いが、1番目に別の要素を持ってきてもよく、その場合は主語は3番目、すなわち動詞の後ろに置かれる。1つの節の中に複数個の動詞が用いられる場合や、動詞に助動詞が付く場合は、主となる動詞(定動詞)または助動詞のみ人称変化して2番目に置かれ、他は不定形のまま文末に置かれる。ドイツ語とは異なり、助動詞は動詞の前に置かれる。決定疑問文("Ja"「はい」、"Nee"「いいえ」のいずれかで答えられる疑問文)では、動詞が1番目、主語が2番目に置かれる。補足疑問文(疑問詞を用いる疑問文)では、疑問詞が1番目、動詞が2番目、主語が3番目に置かれる。

従属節(副文)では、動詞や助動詞は節の最後に置かれる。従属節が主節の前に置かれる場合は、従属節の直後に主節の動詞が置かれる。(従属節全体を主節の1要素と見れば、その次に来る主節の動詞の位置は文全体で見れば2番目である。)


名詞・代名詞

名詞のに関しては、ドイツ語では男性・女性・中性の3クラスに分かれているのに対し、オランダ語では男性と女性が文法上の区別を失って通性(共性)と中性の2クラス化している。ただし、非常に堅苦しい文章では、単数の女性名詞を受ける代名詞は、男性名詞を受ける代名詞と別のものを用いることがある。このため、オランダ語の辞書には今でも男性・女性の区別が掲載されている。

また、代名詞以外の名詞の格変化は、かつてはドイツ語と同様であったが、現在は3語以上からなる固有名詞や一部の定型句に残るのみである。を表す役割は、語順と前置詞が果たすことが多い。

形容詞が名詞を修飾する場合、形容詞が名詞の前に置かれ、不特定単数の中性名詞を修飾する場合を除いて、形容詞に語尾eがつく。

性が通性(共性)と中性の2つとなったことや、格変化がほぼ消滅したことなどは、北ゲルマン語群デンマーク語ノルウェー語スウェーデン語などと共通している。


語彙

地理的関係上、オランダ語にはフランス語からの借用語が多い(しかし英語がフランス語から受けた影響に比べると少ない)。近年英語からの影響は強く、借用語の数は増加している。"uberhaupt"や"sowieso"のようなドイツ語から取り入れられたものもある。


日本との関係

オランダ語起源の日本語を参照

江戸時代長崎貿易を通じてオランダ語から多数の語が日本語に取り入れられ、今日もなお身近に使用されている。幕末の日米和親条約など欧米列強との交渉や文書においても、オランダ語は共通語として用いられた。


「ダッチ」

オランダ語やオランダ人のことを英語ではDutch(ダッチ)と呼ぶ。この語はDuits(オランダ語で「ドイツ語」「ドイツの」の意)と同源で、もともとはドイツ語(とオランダ語を含む諸方言)を意味していたが、オランダの海外進出が著しくなった17世紀頃からオランダ語やその話者のみを指すようになった。なお、ドイツ語では「ドイツの」は deutsch、「ドイツ語」は Deutsch(e) である。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki