単体では銀白色の金属で、常温常圧での安定構造は斜方晶構造(α型)であるが、668 ℃ で正方晶構造(β型)へ、775 ℃ で立方晶構造(γ型)へ相転移する。比重 19.05(25 ℃)、融点 1132 ℃、沸点 3745 ℃。地球上で産出される元素のうち最も原子番号・原子量の大きい元素であるが、原子半径も大きいため比重は白金やイリジウムなどより小さい。
常温の水やアルカリに不溶。ほとんどの酸に溶ける。塩素などのハロゲンや、高温の水素・窒素と反応する。ウランはアクチノイド元素のひとつであり、化合物の原子価は+3価から+6価をとりうる。これはアクチノイド元素の5f, 6d, 7sの電位が極めて近いためである。一般に+6価が最も安定である。3価の溶液は赤色となる。4価は硝酸水溶液および酸化物等では安定な価数であり、溶液にしたときには緑色になる。+6価のウランは一般に黄色を呈するため、イエローケーキと呼ばれる。溶液にした場合にはUO22+のイオンとなる。
酸化ウランの利用は紀元後79年にさかのぼる。イタリアのナポリ付近で製造されていたセラミックには1%程度の酸化ウランが混合されており、黄色の美しい色彩を有していた。19世紀にこのガラス製品が再発見された時点ではウラン源としてはボヘミアのハプスブルク銀鉱のみが知られており、ナポリの地元のガラス工は成分を秘密にしていた。
元素としてのウランはクラプロート(M.H.Klaproth)が1789年に発見した。1781年にウィリアム・ハーシェルにより発見された天王星(Uranus)が語源となっている。1841年にウジェーヌ=メルキオール・ペリゴーが塩化物をカリウムで還元することにより初めて金属単体として分離に成功し、1850年にはイギリスでガラスの成分としての利用が始まった。
ウラン鉱物の放射線は1897年にフランスのアンリ・ベクレルによって発見された。その後、ベクレルの報告に感銘を受けたピエール・キュリー、マリ・キュリー夫妻によってチェコスロバキアのヨアヒムスタール鉱山で得たウラン鉱石からラジウムとポロニウムの抽出に成功し、自然に放射性壊変を起こす元素の存在が世界で初めて証明された。
ウランは地殻や海水中に微量ながら広く分布している元素であり、存在量はスズと同程度である[1]。現在までに知られているウランの70%はオーストラリアに埋蔵されており、なかでもオーストラリア南部のオリンピックダム鉱山が世界最大とされる。一方、輸出量としてはカナダが世界最大で、サスカチュワン州とアルバータ州の北部にまたがるアサバスカ堆積盆地で高品質のウランが産出されている。他、ウラン鉱山としてはコンゴ民主共和国のシンコロブエ鉱山やニジェールのアクータ鉱山などがある。日本では人形峠の鉱床が古くから知られているが、岐阜県土岐市の東濃鉱山も核燃料鉱床として採掘の対象となったことがある。しかし両者とも採算のあう埋蔵量ではなかったため、稼動することのないまま閉山となった。精錬に関しては天然ウランを参照。
ウランの多くは核燃料として原子力発電に利用されるが、核兵器への転用が可能であるため国際原子力機関によって流通等が制限されている。また、トリウムを原料としてウラン233を作成し、核燃料とする研究も進められている。(核燃料としてのウランや副生物の劣化ウランについては記事 ウラン濃縮・劣化ウランに詳しい)
極微量のウランを着色材として加えたガラスをウランガラスと呼び、美しい蛍光緑色を呈する。ヨーロッパが発祥で、食器やさまざまな日常雑貨が作成された。現在では民間でウランを扱うことが難しいため、新たなものは極少量が生産されているに過ぎないが、骨董・アンティークとしてファンも多く、高値で取引されている。詳しくはウランガラスを参照。
Category:ウランの化合物を参照。
その他
手塚治虫作の漫画『鉄腕アトム』に登場する主人公アトムの妹ウランの名はこの元素に由来している。
ウランの原子核の断面はおよそ1バーンに等しい。
関連項目ウィキメディア・コモンズには、 ⇒ウラン に関連するカテゴリがあります。
天然ウラン(ウラン鉱石)
濃縮ウラン