他の類似のプロジェクトと比較した場合、ウィキペディアには次のような特徴がある。
百科事典の作成に目標を限定していること。この点で、例えば議論や情報交換を行う場である掲示板や USENET などと異なっている。
ウィキを利用したプロジェクトであること。他の多くのウィキがそうであるように、多くの利用者が簡単に執筆、編集できる仕組みになっている。ウィキペディアでは参加者の資格制限などを行っていないため、年齢、職業、国籍などの点で多様な執筆者が参加する傾向にある。この点で、百科事典の開発プロジェクトとしては独特である。
オープンコンテント方式を採用。参加者によって投稿された内容をコピーレフト用のライセンスの一種であるGFDLの元に公開しており、複製・配布・改変などが容易にできると謳われている。しかし、GFDLが課す複雑な制約や、GFDL自体の排他性のため、厳密にライセンスに従った利用は難しい。
問題点
記事の信頼性: 米国では、学業のためウィキペディアの内容をそのまま引用した学生が、史実と異なっていたためレポートで落第点をとったという事例がある[6]。ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズはウィキペディアを学術研究の出典として利用するのを止めるよう訴えた。
個人や団体に対して、プライバシーに関わることや、真偽の不明確なゴシップを断定的に書いたり、意図的な嘘の投稿がされることもあり、他の利用者が見過ごしてしまうことにより、しばらく訂正されないことがこれまであり、書かれた個人や団体から抗議・批判がなされることがある(ジョン・シーゲンソーラー ウィキペディア経歴論争を参照)。
著作権法や著作権についてのウィキペディアの方針に対する理解不足から、記事を書く際に書籍やネット上の文章をそのままコピーした文章が投稿されることがあり、著作権侵害への対処として削除の手続きが取られる。
巨大掲示板サイトの2ちゃんねるでは、一部の悪質なユーザによる犯罪予告の書き込みが後を絶たないが、Wikipedia日本語版でも対象を明記した爆破予告や殺傷予告などの書き込みも目立ってきている。2008年4月24日、同年4月26日(北京オリンピック聖火リレーの当日)の長野駅への爆破予告が書き込まれ、インターネット上のニュース[7]や読売新聞(同年4月25日付夕刊)でも報道された。
「ウィキペディアに関するお問い合わせ」では、問題のある記事に関しては「自らが編集する」、「ノートページで問題を提起する」、「ウィキペディアのボランティアグループにメールを送る」など、あくまで問題提起者自身の努力によるWikipedia内での解決を主張している。また責任の所在に関しては「編集責任を負う組織が存在しない」「記事に書かれている内容は、いかなる場合においても、ウィキメディア財団の公式な見解によるものではありません」 ⇒[1]などしている。Wikipedia:免責事項にはWikipediaの利用者に対する免責事項が記載されているが、これはWikipediaを利用していないにも関わらず、Wikipediaによって被害を受けている人物・団体などには関係のない主張である。
編集合戦政治や宗教、価値観のように意見対立が起きやすいテーマにおいては編集合戦がしばしば起こり、記事が投稿できない保護の状態におかれ、一定期間、中には長期に及び、編集できない状態になることがある。
正確性上記にあるように、不特定多数の人が編集をしているため、記事によっては正確性がなくなってしまっている場合がある。そのため、ディベートなどの正確性の求められる競技などではウィキペディアを使うことはほとんどなくなってしまっている。
ウィキペディアは比較的大規模なプロジェクトであり、運営方針や編集・執筆方針などについて多くの問題を抱えてもいる。編集・執筆のレベルでは、非登録ユーザーを含む多くのユーザーに開かれているが、同時にルールが一切存在しないわけではなく、また、そうしたルールを定めるための意思決定が行われないわけでもない。
プロジェクトはその初期ジミー・ウェールズおよびインターネット会社 “Bomis” によって資金を提供されていた。“Bomis” は彼が以前CEO(最高経営責任者)を務めていた会社である。後に財団が設立されてからは、寄付金や外部の団体から無償提供されたハードウェアの占める割合が増えた。運営団体によるハードウェアの購入は2004年以降、全額寄付金に依存している。ウェールズが2004年からCEOを務める企業 “Wikia” からも帯域の経費などの資金援助がなされている。
記事が中立的な観点から書かれるべきだとする方針も、ウェールズによって全ウィキペディアの共通方針だと定められた。また、ウェールズは、後述するプロジェクト全体の問題についての議論に参加し、質問や意見を述べ、あるいは採決に加わる。彼の発言は必ずしも議論を終結させるものではないが、その意見は他の参加者の意見よりも尊重される傾向にある。
ウェールズはまた英語版の運営については比較的具体的な問題に関しても意見を述べる傾向がある。英語版の初期には、登録済ユーザーのアカウントを停止する場合には、彼の了承を得るようにとの要請があった(2004年以降、この決定は選任されたユーザ代表に任されている)。他言語のウィキペディアで同様の問題が発生した場合にどうなるべきかについては特に明確にされていない。一方ウェールズが英語以外の言語は話さないこと、利用者の自治を尊重することもあり、英語以外の言語版の運営にウェールズが積極的な関与を行うことはほとんどない。ただしウェールズが利用者の紛争の調停に当たったり、あるいは利用者のアクセス権限についての決定を行う場合もある。これは関係者がみな英語を解する場合、かつ自治の枠組が問題の解決においてうまく機能していない場合に行なわれることが多い。
ソフトウェア開発のモデルである「善意の独裁者」をウィキペディアに当てはめることがしばしば行われる。ウェールズはこれを否定しないが、一方でウィキペディアが常につねに編集可能であることにより、自身の関与が常に及ぶわけではないことをもって、自分は厳密な意味でこうしたモデルにはあてはまらないと発言している。
開発者権限やサーバへのアクセス権限などは一部の人物に限られている。ソフトウェアの改変や非常時の対処などは彼らに任されているが、基本的には自由参加型であるため、一定期間の活動を経て信用を築いた者にはそうした権限が与えられることになる。また、ソフトウェアの仕様変更については開発者とそれ以外の利用者を含めた公開・自由参加型の議論が行われている。
プロジェクト全体の問題は、公開のメーリングリストで扱われる。基本的には全て英語で、ごく稀にフランス語などが混ざる。