インディアン
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南東部での宗教

クラン(氏族)を中心とした、農耕と狩猟に関係した精霊群への祈祷が基本である。ムスコギー族セミノール族は、地元で採れるヤポンノキ(Yaupon、 ⇒Ilex vomitoria)の葉を煎じた黒い飲み物「ブラック・ドリンク」を儀式の際に飲用する。この飲み物は儀式にとって非常に重要で、オクラホマに強制移住させられたグループは、代替物を煎じている。セミノール族の英雄オセオーラの名は、この「黒い飲料」の儀式の「音頭をとる者」という意味である。

アタカパ族やカランカワ族は、敵対者や指導者の心臓や肉を、パワーを得るものとして宗教的に食した。このため、「人食い人種」と誤解された。

大西洋岸からミシシッピー沿岸にかけては、約二千年前に「マウント・ビルダー」と呼ばれた部族群が、数100bもある動物を象った、無数の土塁・塚を建造している。その直系であるナチェズ族は、18世紀にフランス人に文明を破壊されるまで、インカマヤのように太陽神を頂き、都市を築いてピラミッド型の神殿をいくつも建造していた。「神官・僧侶」の社会階級を持っていたのは北米でナッチェズ族だけである。


ゴースト・ダンスサウスダコタ州パイン・リッジにおけるオガララ・ラコタ族によるゴーストダンス、 ⇒フレデリック・レミントン

19世紀末に、パイユート族の預言者ウォボカが教祖となって始まった信仰である。ゴースト・シャツと呼ばれる聖なる衣服を身にまとい、死者の霊の歌を歌いながら男女が手を繋ぎ、円を描いてぐるぐると回ることで、信者の衣服は白人の弾を跳ね返すようになり、さらにはバッファローの群れなす大草原が還ってくるという教義は、保留地への強制移住によって飢餓状態に陥ったインディアン達により熱狂的に支持され、大平原、さらに北西部に瞬く間に広がっていった。

弾丸を通さなくなるというゴースト・シャツの教義を始めたのは、スー族の呪い師キッキング・ベアだった。このため、白人政府は、この教義でインディアンがより反抗的になるとして、ことにスー族に対し徹底的に弾圧を加え、ウーンデッド・ニーの虐殺が起こった。この大虐殺で、信者が弾丸によって全滅してしまったことで、ゴーストダンスは急速に廃れていった。100年を経ても白人が、銃弾を厭わなくなるこの教義をいかに恐れているかは、スー族の伝統派やAIMが1973年のウンデッド・ニーの占拠の際や1975年に、ウンデット・ニーでゴースト・ダンスを復活させた際、FBI捜査官が繁みに隠れてこれを監視していたことからも推し量れる。

テキサス州のカド族保留地(カドハダチョ連邦)では、ゴースト・ダンスは弾圧の対象とならず、現在まで続く年中行事である。ただ、踊りの作法などが違っており、厳密に上記の儀式と同じものかは分からない。


鷲の羽根法

インディアンは自らの宗教を実践するのに連邦の許可証を必要とする、アメリカ合衆国唯一の民族集団である。「鷲の羽法( ⇒Eagle feather law)」は、連邦が承認する部族を祖先に持つことが証明可能な個人だけが、ハクトウワシイヌワシの羽を宗教的または霊的に使用する権限を与えられることを規定している。インディアンと非インディアンの両者とも、法が人種差別的で部族の主権を侵害しているとして、たびたびこの「鷲の羽法」の価値と妥当性を争ってきた。インディアンが非インディアンに鷲の羽を与えることは昔から行われてきた慣習であり、同法はこれを禁じているが、形骸化している。


備考ラコタ族の聖なるパイプ(柄のみ)

インディアンにとって聖なる数は「4」である。この数は、全ての真理の基本とされる。

インディアンの宗教的指導者は、英語では一般に『メディスンマン』と呼ばれており、人類学ではシャーマンの一種に分類される。

多くのインディアンが、部族の宗教儀礼に参加することを、宗教というよりはむしろスピリチュアリティの一つの形ととらえているが、実際には宗教(religion)とスピリチュアリティ(spirituality)はしばしば同義に用いられる。


どんな部族でも儀式の際には、「ピースパイプ」または「メディスンパイプ」と呼ばれる聖なるパイプを用いた喫煙が行われる。パイプは天上の精霊との通信役を担い、タバコの煙はその媒体の役目をする。20世紀のスー族のメディスンマン、ヘンリー・クロウドッグは、土産物屋でインディアンのパイプが売られていることの是非について問われた際に、これを肯定し、「インディアンにとってのパイプは、白人にとっての聖書と同じだ」と述べている。また、パイプはパスポートの役目も持っていた。


1960年代頃からの白人のニュー・エイジ世代によって、インディアンの宗教儀式を商売として利用するものが現れ、それに乗って、儀式行為と引き換えに金を要求する「エセ呪術師」が横行している。伝統派の指導者たちは、こういったエセ宗教者を『プラスチック・メディスンマン』と呼んで警告している。「我々は白人のように勧誘などしない。また、すべての儀式は無償のものである。」というのが、伝統派宗教指導者の姿勢である。


インディアンの宗教儀式や行事は、かつては数日間かけて延々と行われるのが普通だった。しかし、保留地時代に入ると、これを長すぎると考えた白人の保留地監督官たちの強制によって、多くの儀式・行事が「独立記念日」だとか「クリスマス」、「退役軍人の日」といった白人の記念日にまとめて行うようになった。また、儀式によっては白人に禁止され、半世紀以上行われていないものも少なくない。


インディアンにとって「踊り」とは、祈りの表現である。部族独自の伝統的な踊りといったものは、1970年代頃から全米に拡大した「パウワウ」(部族間交流の盛大な踊りの祭典)によって、再興しつつある。パウワウ自体は祭典であり、儀式ではないので自由公開されている。


近代の歴史


移民との衝突

インディアンはヨーロッパの風土病に対する免疫を持たなかったため、ヨーロッパ人と初めて接触したインディアンはしばしば容易にヨーロッパからの伝染病に感染し、斃(たお)れた。先住民の人口は激減し、先住民社会は深刻な打撃を被った。また、初めて見る馬や兵器によって、インディアンはパニックに陥り、たった十数人のスペイン騎士に対して何千人ものインディアンが敗走するという自体も招き、こうした闘争によって土地を奪われていった。17世紀の前半から18世紀末までの長い闘争の歴史を一括りにして、インディアン戦争と呼ぶ。

レナペ族とフィラデルフィアワンパノアグ族とプリマス植民地コンコードのように、入植者とインディアンが和平を結んで短期間共存した例もあるが、入植者の人数が増え、新たな入植地の需要が増すと共に破綻している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki