近年、人里に出没するニホンイノシシの数は増加傾向にあり、特に過疎地や高齢者集落において、農林業被害(食害、踏みつけ、掘り起こし)を及ぼすことが問題となっている。広島県や兵庫県などでは住宅地付近にまで出没し、民家の庭や路上のゴミを荒らす生活環境被害や、噛み付いたりして人間に危害を加える人的被害も頻出。行政も対策に頭を悩ませている。被害対策としては爆竹音を鳴らしたり、石油臭を利用するなどの方法があるものの、イノシシは高度な学習能力を持つためいずれも継続的な効果は期待できない。完全に防ぐには電気柵や強固な鉄柵を張るしかないが、経費の問題もありあまり現実的ではない。広島県の呉市や竹原市などは防護柵の設置に補助金を支給し、神戸市は全国で初めてイノシシへの給餌などを禁止したイノシシ条例を制定した。
このニホンイノシシの個体数の増加傾向の原因として、畜産用に飼われていたイノシシとブタとの間の一代雑種であるイノブタが飼育中に逃亡し、野生のイノシシと交配し、ブタの多産性質を広めているという説がある。またイノシシが絶滅したはずの千葉県に近年出没する個体はハンターが放したイノブタであるとも言われ、意識的にイノブタを放す者が一部に存在すると考えられる。一方、中山間地の過疎化による休耕地の広がりがイノシシに格好の餌場を提供し、そのために人里近くまでイノシシが出没するようになったことが原因であり、イノシシの個体数そのものは、従前とあまり変わらないのではないかとの考えもある。
この他、ライフルなどを利用した捕獲は人家近くでの発砲が出来ないため、捕獲範囲が限られている。またハンターの中には、市などから駆除を依頼されたにもかかわらず、大物しか狙わないふとどき者も存在するため、本格的な駆除には至ってない。 また、一般市民が罠などを利用し捕獲する場合は、自治体への届け出が必要となり、手続きに手間取ることも多い。さらに、罠を設置して、生け捕りにしても、ハンターなどにより解き放たれてしまい、ハンターと住民の間でトラブルになることもある。
別項「猪突猛進」を参照。
禁を犯して一時的にいい思いをしても、後で必ずそれ相応の悪い報いを受けるという意味。
いのしし肉をよく食べる兵庫県の丹波地方では、本当は「しし食った。温(ぬく)い」で、いのししを食べると精力がつき、体が温まるという意味だが、他人様には食べさせたくないので、「しし食った報い」と言うのだという説があるそうだ。鹿肉も「しし」と言うことがあり、いのししにかぎらず、獣肉を食べるとさわりがあるという意味だとも言われている。
関連項目
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
イノブタ
猪子石
グリンブルスティ
日本の哺乳類
狛猪 神使の一
参考文献
習性、特徴及びニホンイノシシに関して
阿部永ら著・財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂版】』東海大学出版会、2005年、ISBN 4-486016-90-4。
リュウキュウイノシシに関して
沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、2006年。
鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
環境省自然環境局野生生物課編『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物1 哺乳類』 財団法人自然環境研究センター、2002年、ISBN 4-915959-73-2。
外部リンクウィキメディア・コモンズには、 ⇒イノシシ に関連するマルチメディアがあります。ウィクショナリーに ⇒猪の項目があります。
⇒天城いのしし村
カテゴリ: 生物分類表使用 | 偶蹄目 | イノシシ科 | 日本の哺乳類
更新日時:2008年9月28日(日)09:48
取得日時:2008/09/30 11:21
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